軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ドワーフ姉弟(2)

「いやー……世の中には凄い子供がいるのだね。僕達の世界がいかにせまいか思い知ったよ……」

「本当だよ…… 俺も魔刀をすぐに変化させられるほど、魔力の扱いに長けた子供なんて見たことない……」

ドワーフ姉弟の二人は僕が魔刀に魔力を通せたことにずっと驚いている。

まったく知らなかったけど、魔刀に魔力を通すためにはある程度魔力の扱いに長けていないとダメらしい。

でも、僕が出来たということはサンドラも出来るのではないか?

そういう思いが強かった。

ちなみに魔刀は魔力を通すのを止めたら色は徐々にもとに戻っていった。

僕は乾いた笑いを浮かべながら魔刀を鞘に戻しながら聞いてみた。

「アハハ……ちなみにだけど、魔刀ってこの一振りしかないのかな?」

すると、これも予想外の質問だったのかドワーフの二人は少し目を丸くして見合わせてから、エレンが言った。

「……魔刀は『魔鋼』と言われる特殊な金属が必要なのですが、あまり手に入らなくて、その一振りしか作れてないのです……」

「そっか。それは残念だな……」

もしもう一振りあればサンドラに良いお土産なっただろう。

でも、魔鋼ってそんなに珍しいのかな?

僕はエレンに質問した。

「その、魔鋼っていうのは珍しい金属で手に入りにくいの?」

「いえ、大体どの国でも産出されます。ただ、使い勝手が悪いということで、市場にあまり出てきません。なので、魔鋼を欲しい場合は自分で取りに行くか、人に頼まないといけないので……」

なるほど、「物がない」のではなく「流通していない」のか。

でも、それなら何とかなるかも知れない。

エリアスに商流の後ろ盾の依頼もしているから、クリスと連携すればいけるはずだ。

それと、魔刀は今後のことを考えても絶対に本数もいる。

僕は思案してから言った。

「……ものは相談なのだけど、二人って隣のマグノリア帝国、バルディア家に仕える気とかないかな?」

「へ……?」

エレンとアレックスは僕の一言でポカンと呆気にとられた表情になった。

その表情は段々と怪訝な顔に変わっていく。

そして、エレンが言った。

「あのね、いくら僕達でもそんな嘘みたいな冗談は好きじゃないよ。こっちはもうすぐ、借金の形に連れていかれるかも知れないのにさ」

僕の言葉はあまり好意的に受け取られなかった様子だ。

エレンは肩をすくめながら言葉を続けた。

「しかも、バルディア家っていったら帝国でも有名なところじゃないか。そこに仕えるとかどうとか、君のようなメイドの女の子じゃ決められないでしょ?」

忘れていた。

確かに、僕はいまメイド服を着ている子供だ。

そんな僕にエレンは畳みかけるように言った。

「……君が、バルディア家の息子とかならまだ話はわかるけど、貴族の息子がメイド姿の女の子になるわけないし。そりゃあ、僕達だって本当に仕えることが出来るならいきたいけどさ……」

貴族の息子がメイドの女の子になるわけがない。

この言葉を聞いて一緒に来た僕以外の三人全員が噴き出して「クスクス」と笑っている。

さすがに僕は彼女たちに少し怨めしい目線を送った。

すると、ディアナが咳払いをしてから助け船を出してくれた。

「ゴホン、ティア様は止む得ない事情でこのような姿をしておりますがバルディア家の所縁の方です。その点はご安心ください」

「へ……?」

エレンとアレックスはディアナの言葉を聞いて目が丸くなった。そして、ゆっくりと僕を見ると、アレックスは呆れた様子で言った。

「……本当に? 本当に所縁のある方なのかい?」

「そうですね……初対面でこのような姿なのは甚だ遺憾ですけどね……」

僕の言葉を聞くとエレンはハッとして一礼して言った。

「……ごめんなさい‼ 僕、凄く失礼なこと言いました‼」

「気にしなくて大丈夫ですよ」

エレンに声をかけながら僕は彼女の顔を上げさせながら魔刀について質問した。

「ちなみに魔刀を私が買ったら借金返済は出来る?」

「あ、どうだったかな。アレックスわかる?」

「はぁ……姉さん、残念だけど足りないよ」

なるほど、結構な金額を借りているのか、はたまた利子が凄いのかな?

僕は二人に向かって言った。

「わかった。まず大前提だけど、二人はバルディア領に来るつもりはあるかな? もし、来てくれるなら、魔刀の金額以上の借金は私達で肩代わりするよ。足りない分は働きながら返してもらうことにはなると思うけどね。どうかな?」

二人は少し見合ってから警戒するような険しい顔になった。

そして、最初に口を開いたのはアレックスだった。

「……俺たちに何をさせるつもりなんだい?」

「そうだね。魔刀も作って欲しいけど、それだけじゃなくて色んなものを開発して欲しい。日用品でも良いし、武具、食器、なんでもいいからさ。勿論、こちらからもお願いすることはあると思う。けど、基本は好きにしてもらって良いよ」

僕の言葉を聞くと二人はまた呆気にとられた様子で目を丸くしている。

そうだ、折角だからアレを是非作って欲しい。

そう思って僕は言った。

「例えば、馬車のサスペンション……地面からの振動を吸収して馬車の内部の揺れを抑える部品とか作って欲しい。馬車の揺れが酷くてさ……」

僕は苦笑いしながら二人に言った。

すると、その言葉を聞いたドワーフの二人は「クスクス」と笑い始めた。

そして、面白そうにアレックスが言った。

「アハハ、まさか俺たちに武器や防具じゃなくて日用品を作ってくれなんて初めて言われたよ」

「フフフ、本当だね。でも、借金返済のために毎日こき使われて何かを作らされるよりよっぽど楽しそうだね、アレックス」

どうやら、二人の中で僕に対する警戒心がやわらいだ様子だ。

僕は目を輝かせながら言った。

「じゃあ、バルディア家に来てくれるかな?」

「うん、僕はいいよ。どうせ、ここじゃ食べていけないしね」

「俺もいいよ。姉さんを借金の形に連れていかれるぐらいなら、バルディア家にいくよ」

やった‼ これで、もっといろんな事が出来るようになると僕は小さくガッツポーズをしながら喜んでいた。

「ありがとう‼ じゃあ早速、君たちの借金を返しに……」

その時、僕の声を遮るようにお店の外から、下卑た怒号が聞こえてきた。

「エレェエエエン‼ アレェックスゥゥウ‼ お迎えに来たぜぇええ‼」

何事かと思い僕達が店の外を見ると、そこには三人の人族の男達が立っていた。

一人は、モヒカン頭で革ジャンスタイルの背の小さい男。

一人は、意味もなく汗をかき続けている体格の良い、いやかなり太った男。

一人は、頭が太陽の光に反射しており、無駄に長身のスキンヘッドの男。

一回見たら忘れられそうにない三人組がこちらを下卑た目で睨んでいた。