軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

カーティスと第二騎士団4

「陸上隊第六分隊所属、分隊長、狐人族のラガードです。主な任務は第五分隊と同じですが、隊員は種族混合です」

彼は自信ありげ会釈すると、一歩下がった。

ラガードは鉢巻戦の時、同じ狐人族の女の子であるノアールと一緒に僕に挑んできた子だ。

狐人族の子は、そのほとんどが工房に所属になったけれど、一部の子は陸上隊を希望した。

ラガードとノアールは、その中でも特に実力が抜きん出ている。

この場に居ないけれど、ノアールも実力を評価されて第六分隊の副隊長になっている。

そして、彼女は『焔譲燐火』という特別な魔法が使えるのも特徴だ。

焔譲燐火とは、術者の魔力を『特別な燐火』に変換して対象の身体能力を強化するという補助魔法なんだよね。

この魔法で強化された現在のラガードは、短時間であれば第二騎士団の中において一番強いかもしれない。

蛇足になるけど、僕とサンドラ達で『焔譲燐火』の仕組みも研究しているから、将来的に疑似的な強化魔法を創造できるかもと期待している。

すると、白い髪を靡かせて女の子が一歩前に出た。

「陸上隊第七分隊所属、分隊長、狼人族のシェリルです。主な任務は第五、第六と同じであります。また、隊員は狼人族が中心となっております。以上、失礼します」

シェリルは、第二騎士団の子達の中で一番真面目であり、バルディアに対する忠誠心が強い女の子だ。

その理由の一つは、彼女の弟である狼人族のラストという男の子の事があるだろう。

彼はバルディアに来た時、僕の母上と同じ『魔力枯渇症』を既に患っている状態だったのだ。

そこで、治療をする代わりに忠誠を誓い、治験に協力して欲しいと持ち掛けたのである。

弱みに付け込むようだけど、『魔力枯渇症』に関する治療研究の目的は、母上を救うことだ。

それに、研究も一部の人しか知らない極秘事項である。

従って、忠誠を誓えない人には、教えることもできなければ、治療を施すこともできないという理由があった。

でも、二人はその申し出に快く頷いてくれたのだ。

そして、シェリルは実力を示して第七分隊の分隊長となってくれた。

ラストは、レナルーテの研究所で『魔力枯渇症』と『魔力回復薬』の実験……ではなく治験に協力してくれている。

僕が身体属性強化を会得する為、訓練に用いている『新しい魔力回復薬』。

これも、ラストの協力があったからこそ出来た物だ。

彼の犠牲……いや、違う。

協力は非常に有難い。

なお、第七分隊の副隊長は狼人族のベルジアという、ちょっと怖い目つきの男の子だ。

彼はぶっきらぼうだけど、実は仲間を大切にする意識が強い子だ。

それに、野生的というか勘が鋭いところもあるんだよね。

彼女が丁寧に一礼して下がると、白く長い耳をピンと立てた兎人族の女の子が意気揚々と前に出る。

「陸上隊第八分隊所属、分隊長のオヴェリアだ。主な任務は、第五、第六、第七と同じだぜ。んで、あたしんとこの隊員は、ほぼ兎人族で構成されてるな。以上だ」

彼女がそう言って自信満々に白い歯を見せると、ディアナが「はぁ……何度言っても言葉遣いが直りませんね」と首を横に振った。

兎人族のオヴェリアが率いる第八分隊は、第二騎士団で最も攻撃的な戦闘特化の部隊と言っていいかもしれない。

兎人族自体の身体能力が優れていることもあるけれど、オヴェリア達はバルディアに来る前から故郷で組織的に暴れていたそうだ。

その為、意外にも組織力が強く隊としての動きも的確で素早い。

また、第八分隊の副隊長を務める兎人族のアルマという女の子は、オヴェリアと負けず劣らずの実力者でありながら冷静でもある。

隊長と副隊長の調和も取れているから、部隊としての完成度も高い。

先程、オヴェリアが見せた表情もそこから来る自信の表れなのだろう。

彼女が一歩下がると、僕は視線を鳥人族のアリア達に向けた。

「陸上隊は以上だから、次はアリア達、『航空隊』だね」

「はーい、えっとね。第二騎士団航空隊、第一飛行小隊所属、鳥人族のアリアです。航空隊の主な任務は、領内の巡回、情報収集だね。それと、航空隊の隊員は全員鳥人族だよ」

「……航空隊第二飛行小隊所属、鳥人族のエリア」

「第三飛行小隊所属、鳥人族のシリアです」

アリアの言葉に反応して、二人が続いて一歩前に出て口上を述べる。

それから間もなく、彼女達と同じ色をした髪を後ろで纏めた、少し細く鋭い目つきで青い瞳をした子が前に出た。

「第四飛行小隊、鳥人族のサリアです。よろしくお願いします」

サリアは、長女のアリアから数えて十一番目の妹だ。

彼女も鉢巻戦以降、体調が良くなってから頭角を現した子の一人である。

高い飛翔能力と身体能力を活かした身軽かつ独特の動きで、アリア達に負けずとも劣らない実力を示して、第四飛行小隊の隊長となった訳だ。

なお、飛行小隊は四人一組で構成されており、バルディアにやってきたアリア達姉妹全員が所属している。

彼女達が一礼して下がると、カーティスが「ふむ……」と相槌を打った。

「リッド様。恐れながら、彼女達は皆似た顔つきをしておりますが姉妹ということでしょうか?」

「うん、そうなんだ。実はね……」

そう言って頷くと、小声で彼の質問に答える。

アリア達姉妹は、獣人族にある『強化血統』の考えの元に生まれた姉妹だ。

強化血統とは、獣王を目指す為、優れた者同士で子を成していくことらしい。

前世で言うところの『競走馬』を人でやっている……と言えばわかりやすいだろう。

その点を簡単に説明すると、合点がいったらしく彼は頷いた。

「なるほど。委細承知しました」

「あんまり驚かないね。カーティスは、強化血統の事を知ってたの?」

「はい、大分永く生きておりますからな。獣人族の獣化、強化血統についても聞き及んでおります」

「そうなんだ。じゃあ、別の機会に知っている事を教えてもらってもいいかな?」

「畏まりました」

彼が会釈すると、僕達は視線を第二騎士団の子達に戻す。

「じゃあ、最後は特務機関の皆だね」