軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

カーティスと第二騎士団5

「辺境特務機関、特務実行第一分隊所属、分隊長。兎人族のラムルです。主な任務は、指示と情報に基づいた特殊任務の実行ですね。隊員は部族混合です」

「同じく、特務実行第二分隊、分隊長。馬人族のアリスです。任務内容、隊員構成も第一分隊と同様です」

二人が一礼して下がると、今までの皆と比べて少し小柄な男の子と女の子が前に出た。

「特務諜報分隊所属、狸人族のダンです。主な任務は、様々な情報収集ですね。隊員は、ほぼ狸人族です。よろしくお願いします」

「特務機関情報局所属、鼠人族のサルビアです。主な任務は、諜報分隊を始めとする様々な部隊から集まった情報精査と情報伝達となります。役割は第二騎士団の後方支援となりますので、現場に出ることはほとんどありません」

ダンとサルビアは会釈すると、すぐに元の位置に戻った。

辺境特務機関は、レナルーテの暗部に所属していたカペラに管理を任せているバルディア家の諜報機関である。

化術を扱える狸人族の子達が街中や怪しげな人物達に混ざって情報収集を行い、集まった情報を情報局の鼠人族の子達が精査して第一と第二騎士団に通信魔法を用いて情報を共有。

そして、必要に応じて臨機応変かつ迅速に動き、取り締まりを行うのが特務実行部隊という訳だ。

第二騎士団に所属する分隊長達の口上が終わると、カーティスは感心したように「なるほど」と呟いた。

「これは、中々に個性的な面々で実によろしいですな」

「ふふ。でも、個性的だけじゃないよ。バルディア騎士団が扱う帝国式とカペラから教わったレナルーテ式を統合した独自の武術も開発して彼等に学んでもらっているんだ」

「ふむ」と相槌を打つと彼は、目尻を下げて不敵に笑った。

「それはつまり、『流派バルディア』を創設したと言ったところですかな」

「あはは。まぁ、そんな大袈裟ものではないけど。でも、いずれそう呼ばれる可能性も皆の活躍次第ではあるかもしれないね」

そう答えつつ、第二騎士団の皆に微笑み掛けると、皆の瞳が何やら途端に輝き出した。

はて、そんなにおかしなことを言ったかな? ふと、ディアナとカペラに視線を向けると、二人も何やら感慨深げな表情で口元に手を当てている。

それから間もなく、カーティスが豪快に笑い出した。

「はっははは! これは良い。組織だけはなく、武術の流派すら創設されたという訳ですな。いや、リッド様の場合は魔法もあります故、流派バルディアは唯一無二の魔武両道。実績を積み上げ、名声が上がれば、それこそ学びに来る者が後を絶たないでしょうな」

「そ、そうかな? でも、名声が上がれば学びに来る者が後を絶たないか……」

確かに魔法が一般的ではないこの世界では、魔武両道である第二騎士団の武術は唯一無二の存在だろう。

第二騎士団の活躍で魔法の理解を深めて、騎士の子供達。

次いで、一般市民の子供達に魔法を学んでもらうつもりだった。

だけど、『流派バルディア』を立ち上げて名声を上げることで領外から優秀な人材を呼び寄せるのも一つの手かもしれないな。

「……父上に流派創設を打診してみようかな」

そう呟くと、カーティスが首を傾げた。

「何か仰いましたかな?」

「え? あ、いやいや。言われてみると、第二騎士団の皆に学んでもらっている武術体系の名称が無いのもどうかと思ってね。今度、父上に『流派バルディア』で聞いてみるよ」

すると、分隊長の一部の子達が「おぉ!」と色めき立った。

そして、カーティスはその答えを聞くなり目尻を下げる。

「それは良いお考えですな。是非、正式な流派の名が決まりましたら教えて下され」

「はは。まぁ、どうなるかわからないけどね」

その時、兎人族のオヴェリアが「リッド様、質問してもよろしいですか?」と手を上げた。

彼女の質問内容は、ある程度察しがつくけどね。

「……うん、どうしたの?」

「いや、バルディアに来てから武術だけが全てではない……ということは学びました。しかし、カーティス殿はあたし達の上に立つお方。それなら、やはり実力を知っておきたいというのが獣人族の性でございます」

彼女はそう言うと、ニヤリと口元を緩めた。

思った通りの内容に、思わずやれやれと首を横に振る。

「はぁ……。オヴェリア、君が闘い好きなのは良く良く知っているけどさ。カーティスは、アスナの祖父で、彼女より実力がある。それだけで十分じゃない?」

しかし、僕の言葉に答えたのはカーティスだった。

「良いではありませんか。私の実力を示すことに異存はありませんぞ。それに、私の武をリッド様にお見せする良い機会にもなりましょう。こう見えても、レナルーテでは生涯に負けなしでございます。このような、可愛らしい小童共にはまだまだ遅れは取りませぬ」

「そ、そう? まぁ、カーティスが良いって言うなら止めはしないけど」

そう答えると、オヴェリアが嬉しそうに白い歯を見せる。

「よし、それなら早速始めましょう。ちなみに、レナルーテって言うと大陸の一番東でしたよね?」

「そうだね。レナルーテは大陸で一番東にあるダークエルフの国だよ」

問い掛けに答えると、彼女は何やら口元に手を当て思案する。

「なるほど……つまり、東大陸不敗でダークエルフの達人か。なら、略してマスターエルフだな!」

「は……?」

オヴェリアがドヤ顔で発した言葉にこの場にいる皆の目が点となる。

しかし、それから程なくしてカーティスの豪快な笑い声が響いた。

「はーっはははは! 『マスターエルフ』か。なるほど、良い呼び名だ。構わん、マスターエルフでも何でもお前達の好きなように呼ぶが良い」

「え、いいの⁉」

驚く僕をよそに、オヴェリアは「おぉ!」と嬉しそうに彼の前に出た。

「あんた、話がわかる人だな。よろしく頼むぜ、マスターエルフ」

何やらカーティスとオヴェリアは意気投合したらしく、握手を交わすと二人で笑い始めた。

その様子に、第二騎士団とこの場にいる皆は釣られるように笑い始める。

だけど、ディアナだけはそんなオヴェリアの様子にやれやれと首を横に振っていた。