軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

鼠人族の三姉妹は個性的……?

「私達がリッド様に見せた魔法が『鍵』というのはどういうことでしょうか……?」

鼠人族の姉妹達は、僕の言葉にあまり思い当たる節がないようで、顔を見合せている。

「突然で驚くよね。じゃあ、ちょっと皆にも説明するね」

僕は皆を見渡すと、鼠人族の子達が僕に見せてくれた魔法について説明を始める。

鉢巻戦以降のこと。

実は狸人族の子達が僕に『種族魔法』を見せてくれた後、他の獣人族の子供達にも特別な魔法を使える子がいるんじゃないか? という疑問を抱いた僕は、皆に使える魔法を見せて欲しいというお願いした。

結果、皆は喜んで協力してくれて様々な魔法を見ることが出来たというわけだ。

中には興味深い魔法もあり、その一つが今回の鍵となる鼠人族の姉妹が僕に見せてくれた魔法になる。

説明がある程度終わった時点で、僕は鼠人族の姉妹に視線を移して微笑んだ。

「……というわけで、僕に見せてくれた魔法をここで皆にも披露してもらえるかな。それと、折角だから皆に自己紹介もお願いするよ」

「はい。承知しました」

彼女達は僕に向かって頷くと、三姉妹で顔を見合せて深呼吸を行う。

それから、この場にいる皆が見える位置で、横並びになると僕達から見て右側の一番長身の子が挙手をした。

「では、まず三女である私から自己紹介致します」

まずは三女から自己紹介してくれるのか、と思いながら彼女に視線を移す。

すると、間を置かずに背丈が三姉妹の真ん中に位置する左側の子が挙手をして一歩前に出る。

「いやいや、ここは次女の私がすべきだろう」

「いえ、やはり三女の私からすべきだと思います」

三女の後に次女が前に出て、また三女が前に出る。

そして、何やら少し険悪な雰囲気で睨み合いを始めてしまう。

その時、二人の間に割って入るように一番身長の低い子が、少し怒りながら前に出る。

「こら、あんた達はこんな時にも喧嘩しないの。もういい、最初は長女の私からするからね⁉」

長女の子が前に出ると、次女と三女の子は一歩引いて「姉さん、どうぞ、どうぞ」とむしろ彼女を前に押し出した。

同時に、長女の子は「こら⁉ あんた達‼」と怒り心頭の様子を見せている。

何やら、愛されて止まない熟練技というか、とても見覚えのあるような光景だ。

三姉妹の慣れた動きに、ディアナは少し呆れて、カペラは無表情。

しかし、僕を含めたそれ以外の面々は微笑する。

鼠人族の三姉妹は、以前からこんな感じなので驚きはしない。

だけど最初は、彼女達の言動に僕が困惑したのは言うまでもないだろう。

面白いけど、さすがにずっと見ているわけにもいかない。

僕はわざとらしく咳払いを行い、彼女達に優しく話しかけた。

「あはは、面白いけどさすがにそろそろ自己紹介をお願いしてもいいかな」

「あ、はい。すみません。では、三女から自己紹介しますね」

僕に答えてくれたのは長女の身長が低い子だ。

しかし、思わず、「あ、結局三女から自己紹介するんだね……」と突っ込んでしまう僕である。

彼女達の息の合った動きを見て楽しんでから間もなく、三姉妹は改めて僕達を見回すと丁寧にお辞儀をしながら自己紹介を元気よく始めた。

「では、気を取り直して鼠人族の三姉妹が三女、『セルビア』……つまり、セルちゃんです」

「同じく、鼠人族の三姉妹が次女、『シルビア』……シルちゃんです」

三女と次女は、自己紹介が終わると少し可愛らしい顔を見せてくれる。

だけど、最後の長女は少し浮かない顔で自己紹介を行った。

「最後に、鼠人族の三姉妹が長女、『サルビア』……です」

サルビアの自己紹介だけ何故か簡単に終わってしまい、気になった僕は思わず突っ込んでしまった。

「……うん? そこは『サルちゃん』……です。じゃないの」

「うっ⁉ 仰っていることはわかります。ですが、私は『鼠人族』なんです。『サルちゃん』って名乗ると、色んな方に鼠人族なのに猿人族と『あだ名』されるんです。サルだ、サルだと……失礼にも程がありますよ」

なるほど。

鼠人族なのに名前の呼び方で猿人族と揶揄されれば、確かに良い気はしないだろう。

周りが好意的に投げかける言葉でも、言われた本人がどう受け取るかが問題だしね。

しかし、彼女の言葉を聞いた猿人族のトーマが、眉間に皺を寄せながら不満げに呟いた。

「……ちょっと待て、猿人族と『あだ名』されることの何が失礼なんだ。それはそれで俺達、猿人族に対して失礼だろう」

「えぇ⁉ い、いや……決してそういう意味で言ったわけでは……」

思いもよらぬ反応がトーマから返ってきて、サルビアはペコペコと頭を下げながら困惑の表情を見せている。

トーマはそんな彼女に、少し怒り気味に問いかけた。

「ほう。じゃあ、『失礼』とはどういう意味なんだ」

「いやいや。君達、それはもう後にしよう……話が進まないよ」

さすがに話が脱線しているので、僕は呆れ顔で浮かべながら彼らの会話を仲裁するのであった。