軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

アリア姉妹達と武器

エレンがお披露目した新たな武器である長弓。

これを目の当たりにしたアリア達姉妹は目を輝かせている。

「ねぇ、お兄ちゃん。この巡邏、センチネルってどういう意味なの?」

「うん。二つとも、『見張り』とか『監視』って意味があるんだ」

僕がアリアに答えると、エレンもどや顔をしながら話に加わった。

「ではでは、僕とリッド様で使い方などについて説明するね」

その後、僕とエレンで彼女達に『魔槍弓』について説明を始めていく。

魔槍弓は、エレンとアレックスだけが持っているという『魔鋼』の加工技術によって造られた長弓だ。

『魔』は素材である『魔鋼』と使い方から取っている。

『槍』というのは、文字通り長弓の先端に刃先がついており近接戦においては『槍』としても使用可能だからだ。

刃先については、十文字槍にするという案もあったけど、扱いが難しいだろうということで見送られた。

アリア達の実力次第では、将来的に刃先を変更する可能性もあるけどね。

ある程度の説明が終わり、今度は僕が実演してみせると話すと、アリア達は少し驚いた表情を見せる。

「え、お兄ちゃんも弓も使えるの?」

「知りませんでした。本当に扱えるんですか」

「……びっくり」

アリア達の感想に、僕は思わず苦笑する。

「あはは、ほとんど見せる機会もないからね。僕は、基本的な武具全般は扱うことは出来るよ。槍、剣、素手、弓、は勿論ね。あと暗器も……一応、使えるかな」

僕の武術訓練をしてくれているのは、クロス、カペラ、ディアナの主に三人だ。

武具の扱いに関しては、基本的なものはルーベンス、クロス。

暗器関係はディアナとカペラが教えてくれているんだよね。

最近だと、獣人族の子供達も複数人相手をしてくれているかな。

何やら、僕が覚えて使えるようになるのが楽しいらしくて、皆あれもこれもと教えてくれている。

まぁ、僕も楽しいから別に良いんだけどね。

使える武具について話すと、この場にいるディアナ以外は何やら目を丸くするが、アリア達姉妹はすぐに表情を切り替えて目を輝かせた。

「お兄ちゃん、凄いね‼ そんなに色んな種類の武器が扱えるなんて、カッコいいよ」

「兄さん、素晴らしいです」

「……お兄、凄い」

彼女達の言葉に思わず照れ笑いを浮かべて答える。

「え……そ、そうかな。あはは、そう言われるとちょっと嬉しいよ」

「そうか……つまり、どんな武器でもリッド様なら使いこなしてくれるのか。ふふ、アレックスとの武器開発が捗るかも」

僕とアリア達姉妹の話をよそに、何やらエレンが不敵な笑みを浮かべている気がするけど、気のせいだと思うようにしておこう。

その後、僕はエレンが用意してくれた魔槍弓をおもむろに手にすると、使い方の説明を始める。

「えっとね。魔槍弓は通常の弓として使って十分に強いんだけど、一番の特徴は使用者の『魔力』を溜めることができるんだ」

「魔力を溜める?」

アリアが僕の説明に、きょとんとして面持ちを浮かべて、エリアとシリアも顔を見合せている。

まぁ、溜めると言われてもすぐには想像できないだろう。

僕は早速、実演を始める。

「はは、そんなに難しい話じゃないよ。魔法を使う要領で『魔槍弓』に魔力を流すのさ。こんな風にね」

彼女達に答えると、僕は手元にある弓に魔力を流し始める。

その瞬間、弓が青白い光を発しながら『キーン』という高い音が辺りに響く。

やがて、青白い光が一杯になるとあたりに『バチン‼』という破裂音のようなものが轟いた。

突然の音にアリア達は驚いたようだけど、僕はニコリと笑みを浮かべる。

「驚かせてごめんね。これが、魔力を込めた状態の『魔槍弓』さ。この状態で、矢を放つと射程と威力が増大するんだ。合わせて、矢に魔力付与や魔法付与もすればより使いやすくなるかな」

「はぁ―……本当に面白い弓だね」

「アリア姉さんの言う通りです」

「……早く使ってみたいかも」

アリア達姉妹は、驚きはするもそれ以上に好奇心を持ってくれているようだ。

僕は、矢を手に取ると構えて、エレンがしれっと準備してくれた的に視線を移す。

「じゃあ、射ってみるね」と、僕は呟く深呼吸をして的に集中する。

折角だからと僕は『魔法付与』を行った。

『魔力付与』というのは、魔力を武具に付与することで属性や威力を上げる。

『魔法付与』というのは『魔法の属性の他に特性』も武具に一時的に付与するものだから、似ているようでちょっと違う。

わざわざ、武具に魔法や魔力を付与しなくても、直接魔法を使えばいいのでは? と想像しがちだけど、実は魔法発動する時に『媒介』となるものがあれば、魔力消費を軽減できる。

術者的には体力温存と効率性が良くなるというわけだ。

僕は確実に的を射貫くように、視界に捕えているものを追尾する『雷槍弐式』の魔法を矢に付与してから狙いを定めて矢を放った。

その瞬間、辺りに落雷でも落ちたかのような轟音が響き、雷槍を纏った矢が的に向かって飛んでく。

しかし、それは一瞬の出来事であり、エレンが用意してくれた的は、矢が当たると……いや、通り過ぎたと言ったほうが正しいかもしれない。

的の部分は無くなり、的の支柱だけが残っている状態になってしまった。

あまりの威力に、僕自身も少しびっくりしたけど、咳払いをしてからおもむろに皆に振り返る。

「あはは……まぁ、あんな感じかな」

皆の表情を見渡すと、エレンはドヤ顔。

ディアナは少し表情を引きつらせている。

アリア達はきょとんとしてたけど、僕と視線が合うと満面の笑みを浮かべた。

「……す、すっごーい‼」

「兄さん、凄いです‼」

「……うん、凄すぎ」

どうやら彼女達は、目の間に起きた一連の光景に感動してくれたらしい。

「ありがとう。でも、これはアリア達も皆出来るようになるからね。じゃあ、早速、試してもらってから飛行服と合わせて色々と感想を聞かせてもらってもいいかな」

「はーい」

その後、アリア達は武具である『飛行服』と『武具』を使い、様々な感想を出してくれた。

エレンも大いに喜び、アリア達姉妹の武具の完成度はさらにあがっていくことだろう。

彼女達にここまでの武具を用意したのには理由がある。

バルディア第二騎士団において、『飛行部隊』を設立する為だ。

飛行部隊は、四つの飛行小隊から成り立つ部隊で、一六人いるアリア達姉妹を四分割、四人一組の構成で一小隊とする。

バルディア領内においての巡回をお願いする予定だ。

魔槍弓の名前である『巡邏』と『センチネル』は巡回をしてもらう彼女達に渡すことから、見張りという意味を含んだ名を充てている。

通常の騎士団も、巡回はしているけどやはり空からの巡回に勝るものはないだろう。

地上と空の両方から、巡回することで犯罪防止。

後、『木炭車』や『懐中時計』が公になった時に予想される、他国からの諜報活動にも備えるのにも役立つはずだ。

いずれ、彼女達が自由に空高く飛び上がり、照準器で的に狙いを定め、魔槍弓で射る……という光景を目にする機会もあるかもしれない。

あまり、そうなって欲しくはないのが本音なんだけどね。

僕が少し考え込んでいたその時、アリアの声が空から地上に向けて響き渡った。

「センチネル、ロングレンジ攻撃‼」

「はい……?」

その瞬間、雲一つない空から地上に用意されていた『的』に向かって雷撃が落ちる。

瞬く間に、辺りに轟音が鳴り響き、暴風と砂埃が舞い上がった。

何も知らない人が見ればそれは、青天の霹靂とも言える現象だろう。

アリア達も、楽しくてはしゃぎ過ぎたのかもしれない。

しかし、地上の的近くにいて、砂埃と暴風をもろに浴びた僕、ディアナ、エレンは砂だらけになってしまう。

皆、驚きはしたけど怪我はない。

だけど、服や髪が砂で凄いので僕を含めてこの場にいた皆は思わず「ゴホゴホ、ケホッケホ‼」としばらく咳き込んだ。

その後、アリアは恐る恐る地上に降りて来ると、バツの悪そうな顔を浮かべて呟いた。

「えへへ……ごめんなさい。やり過ぎちゃった」

アリアは、言い終えるとあざとく『テヘペロ』をして見せる。

「アリア、やり過ぎちゃった……じゃないでしょう。僕も皆も砂だらけだよ‼」

「リッド様の言う通りです。アリア……もう少し考えなさい」

「ご、ごめんなさい……」

しゅんとするアリアに、砂だらけになった僕とディアナが『ワナワナ』と怒り震えながら、しばらくお説教したのは言うまでもない。

この時、エレンが僕達をみて何やらボソッと呟いていたようだ。

「リッド様もアリアと同じようなことをいつもしているから、あんまり人のこと言えないと思うけどなぁ」

だけど、僕はアリアのお説教に夢中で、彼女の言葉は耳に入っていなかった。

武器のお披露目が終わると、エレンはアリア達姉妹の感想を紙にまとめた。

その後、魔槍弓は彼女達の意見を参考にしながら、改善に取り組むことになる。

中でも、飛行中の携帯性に指摘が出ており「ずっと手に持つのは邪魔だから、腰の後ろに付けたりできないかな」とアリア達姉妹に言われて、エレンは新たに頭を抱えることになるのであった。