軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

量産型:属性素質調べる君Ⅱ改

「呼ばれて、やってきてジャジャジャジャーン‼ これぞ、リッド様の無茶ぶりに応え、叶えてくれる発明品。そして、僕とアレックスの汗と涙の結晶……その名を『量産型:属性素質調べる君Ⅱ改』でございます‼」

「あはは……開発ありがとう。エレン」

僕はいまディアナやカペラに加え魔法の教師陣のサンドラ達と共に、宿舎の大会議室でエレン、アレックスの二人に開発品を披露してもらっていた。

鉢巻戦も終わり、獣人族の子達が僕に積極的に協力をしてくれることを約束してくれたいま様々なことを急ピッチで進めている。

その為の第一段階が、皆の属性素質を調べて今後の方針と効率の良い魔法修練を行っていくことだ。

エレン達にはカペラを通して連絡。

すぐに完成品を宿舎に納品をお願いして、いまに至ると言うわけだ。

エレンは悦に入りながら、量産型:属性素質調べる君Ⅱ改について語っている。

「……というわけで、リッド様に量産を依頼されてからアレックスと僕はどうすれば良いのか? 毎日毎日考え抜いていたわけですよ‼」

「う、うん、頑張ってくれたのは凄くわかったよ。エレン、本当にありがとう。じゃあ、早速、使い方を教えてくれるかな?」

「あ⁉ すみません、そうでしたね」

エレンは僕の問い掛けにハッとすると、アレックスと二人で使い方の説明を始める。

だが、使い方と言っても特別なことはない。

調べたい当人が箱の上に置いてある水晶玉に手を乗せれば、魔力に反応して水晶の中で決まった順番で属性素質による色彩変化を起こす。

それによって、属性を判断できるというものだ。

エレンとアレックスの説明が終わると僕は、先日雷の属性素質を持っていたことが発覚したディアナに視線を向ける。

「ディアナ、折角だから調べてみなよ。今後の魔法にも役に立つはずだよ」

「そうですね……では、お言葉に甘えて……」

彼女は頷き、量産型:属性素質調べる君Ⅱ改(以降・属性素質鑑定機)の水晶にゆっくりと手を乗せる。

それから間もなく赤、黄色、深い青が順番に浮かび上がると、また赤が表示される。

エレンは、表示された色を紙に書き記すと微笑んだ。

「ディアナさんは、火、雷、氷の三属性ですね」

「なるほど……これは素晴らしいですね。私は、先日まで火の属性素質しか持っていないと思っておりました。雷だけでも驚いたのに、氷まで持っていたとは考えたこともありませんね」

ディアナは感嘆しながら、自身の掌を見つめて感慨深げに呟く。

すると、興味深そうな視線を送っていたカペラが僕に問い掛ける。

「リッド様、良ければ私も試してよろしいでしょうか」

「え、うん。いいよ」

「ありがとうございます。では……」

彼は僕の答えに頷くと、ディアナと入れ替わり属性素質鑑定機に手を乗せる。

心なしか、エレンに緊張の色が見える気がする。

そんな様子とは関係なく、水晶の中で色が変わっていく。

深い緑、黒と変わり、また深い緑となった。

エレンはこれも紙に書き記すと、はにかんだ。

「えーと、カペラさんは樹と闇ですね」

「……なるほど。闇だけと思っておりましたが『樹』もあるとは、これは面白い」

無表情だが、その雰囲気から何やら楽し気な様子を感じる。

何やら、ワクワクしているようだ。

サンドラ達もやってみたいと言い出すが、まずは獣人族の子達が先である事を伝えて我慢してもらう。

それから、獣人族の子達を種族毎に呼び出して順番に属性素質を調べていくことになった。

子供達は、自身の属性素質を知れることに驚愕するがとても喜んでくれる。

特に兎人族の戦闘狂ことオヴェリアは歓喜して、目を爛々と輝かせていた。

「……おお⁉ あたしは水、氷、光か‼ リッド様、忠誠も誓ったし、早速魔法を教えてくれよ‼」

「オヴェリア……先程、リッド様が自身の属性素質は軽々しく口にしないようと言われたばかりでしょう……」

「あはは……今日は無理だから、また近日中にね」

彼女の喜びようにディアナはやれやれと首を横に振り、僕は苦笑する。

僕達の答えを聞いたオヴェリアは思案顔で俯くが、すぐに顔を上げると期待に満ちた視線を僕に向けた。

「近日中か……よし。リッド様、あんたはあたし達のご主人様なんだろ? なら、率先して約束は守ってくれ……下さりますかね」

「ご、ご主人様って、その呼び方は何か少し違う気がするけど……でも、約束は守るよ。だから、今日はここまでね」

兎人族の面々は、僕の言葉にオヴェリアを含めて目を輝かせながら頷いていた。

本当に強くなることが好きな子達の集まりらしい。

ディアナと僕はそんな彼らに苦笑するのであった。

その後の他種族における戦闘好きというか、強くなりたいと思っている様子の子達は、概ねオヴェリア達と似たような反応を見せていた。

彼らの成長がこれからが楽しみでもある。

なお、属性素質を僕達が調べることができることは機密扱い。

今回調べたことでわかった自身の属性素質は、秘密にするように口止めを行った。

いずれ、属性素質鑑定機は世間に公表する予定ではあるが、今はまだその時期ではない。

従って、少しでも外部に漏れないようにするための処置となる。

その後、子供達の人数も多い為、全員の属性素質を測り終えるのにほぼ丸一日掛かってしまった。

しかしその結果、僕達は興味深い発見をすることになる。

「可能性は考えていたけど……まさか、ここまでハッキリするとはね」

「ええ、これはとても興味深いです。今後、研究を行っていくべきです」

僕に返事をしてくれたのはサンドラだ。

彼女が研究を行うべきと進言した内容は、獣人族の子達の属性素質が種族ごとでハッキリと偏りが見られたことである。

兎人族の属性素質を例にすれば、十人以上調べたが全員が『水、氷、光』の属性素質を持っていたのだ。

兎人族を例にしたけど、他の種族もそれぞれに必ず持っている属性素質がある。

種族ごとによる『基礎属性素質』という感じかも知れない。

なんにしても、属性素質は種族もしくは両親からの遺伝などにより、何らか規則性を持って親から子に受け継がれる可能性が高いのだろう。

ただ、この事実の扱いは気を付けないといけない。

それは、すでに鳥人族のアリア達で行われている『強化血統』のような考えを、属性素質でも生み出しかねない事実でもあるからだ。

僕は思案顔のまま、サンドラに険しい視線を向けた。

「この事実は研究を行うべきだと思うけど、サンドラが信用できる人達だけで内密に調べてみて。父上には僕から報告しておくよ」

「承知しました。この場にいる者以外には秘密にして研究をしてみます」

彼女も、この時ばかりは真面目な様子で僕の言葉に頷いている。

しかし、新しい発見以上に僕は明日からの動きが楽しみでしょうがない。

僕と同程度に魔法を扱える子を、僕自身で育て上げるのだ。

そうすれば、バルディア領の発展は間違いないだろう。

それは、やがてバルディア領を守り、断罪を防ぐことに必ず繋がっていくはずだ。

こうして僕は、獣人族の子達の教育に力を注いでいくのであった。