軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

鳥人族の姉妹

会場設営が終わる頃、現場にメイドのニーナがやってきた。

彼女は、突然出来た会場に驚愕し、茫然としていたようだ。

存在に気付いた僕が話しかけると、ハッとしてアリア達が執務室にきたことを教えてくれる。

僕とディアナは、作業も一段落していたので、そのまま執務室に戻るのであった。

「ごめんね。お待たせ」

執務室に入ると、アリアとは別に彼女とよく似た少女が二人いた。

彼女達は三人でソファーに座って並んでいる。

アリアは、座ったまま僕に振り向くと少し怒ったような面持ちで頬を膨らめた。

「ぶぅ~。お兄ちゃんとお姉ちゃん、来るのおっそ~い」

「アリア姉、その言い方は失礼だよ」

「……うん。失礼」

しかし、そんなアリアを諫めたのは彼女より少し落ち着いた雰囲気をしている妹達だ。

二人に諫められたアリアは愕然として、二人に視線を移す。

「えぇ~、裏切りものだぁ……」

彼女達の横に佇む、カペラはその様子を無表情に見つめている。

いや、興味深そうに見ている気もしないでもない。

僕と一緒に執務室に入ってきたディアナは、彼女達の様子に小さくため息を吐いている。

アリア達とカペラやディアナの温度差に、僕は思わず苦笑しながら彼女達に近寄っていく。

「ふふ、遅くなってごめんね。『鉢巻戦』の会場を設営していてね。良ければ、君達二人の名前を教えてもらってもいいかな?」

彼女達の机を挟んで正面にあるソファー腰を降ろしながら、僕は優しく問いかけた。

すると、二人の少女がその場に立ち上がり、僕に視線を向ける。

「私は、アリア姉さんから数えて十二女のシリアです」

「……私は、アリア姉から数えて四女のエリア……です」

わかっていたけど、改めて姉妹であることを直接知らされた僕は少し驚いた。

しかし、アリア、エリア、シリアか。何か名前に意味があるのだろうか?

「シリアとエリアだね、名前を教えてくれてありがとう。どうぞ、座って。でも、お姉さんのアリアと名前が良く似ているけど、ひょっとして何か意味があったりするのかな?」

僕の問いかけが答えづらいものだったようだ。

二人は腰を降ろしながら、顔を見合せるとバツの悪そうな面持ちを浮かべる。

「それは……」

「……アリア姉、言っていい……の?」

シリアは俯いて口を閉ざすが、エリアは姉であるアリアに視線を移す。

アリアは僕とディアナに視線を向けると、ゆっくりと頷いた。

「うん……お兄ちゃんとお姉ちゃんは、優しい瞳をした人達だから大丈夫」

二人に姉として優しくも力強い眼差しを送ると、アリアは僕に視線を移す。

「お兄ちゃん、私達は故郷で『リア姉妹』って呼ばれていたの」

「リア姉妹……か。わかった。少し話が長くなりそうだね。ディアナ、僕に紅茶をお願い。それから、彼女達にお菓子を用意して上げて」

「承知致しました」

ディアナはその場で会釈すると紅茶の準備に取り掛かる。

アリア達は『お菓子』という言葉に目を輝かせ、先程の緊張した面持ちは一瞬で緩んでいた。

彼女達の様子に僕は微笑みながら、視線をカペラに移す。

「それから、カペラ。ビジーカとサンドラのどちらかを呼んできてほしい」

「畏まりました。サンドラ様は、お屋敷に居るかと存じますのでビジーカ様を呼んで参ります」

「わかった、お願いね」

頷いて答えると、彼は会釈して執務室を後にする。

アリア達の話を聞く前に、ビジーカを呼んだのは、『リア姉妹』という言葉から『強化血統』に関わる話だと感じからだ。

もし、そうなら今後の彼女達の体調管理に繋がる有力な情報となるだろう。

しかし何故、彼女達は三人で執務室に来たんだろう? と思い、僕は優しく問いかけた。

「それにしても、今日はアリアだけで来るのかなと思っていたんだ。エリアとシリアの二人は、どうして来てくれたんだい?」

僕の問いかけに、エリアとシリアはきょとんして顔を見合せたあと、姉のアリアに視線を移す。

二人の視線に、アリアは何やら怪訝な面持ちを浮かべている。

「な、なに? 二人してお姉ちゃんにそんな目を向けて……」

「アリア姉さんは、時折暴走しますから」

「……うん、暴走する」

妹二人の言葉にアリアは顔を真っ赤にして「二人してひどい‼」と怒りだした。

その様子はとても微笑ましい。

でも、初めてアリアと出会った時は確かに『暴走』していたな。

彼女達のやりとりに、僕は思わず笑ってしまう。

「あはは、つまり、お姉さんのことが心配だったんだね。君の妹達は、お姉さんであるアリアのことを大切に思ってくれているんだよ」

「え⁉ あ、うん……そ、そうだね。えへへ」

アリアは僕の言葉でハッとすると、嬉しそうに照れ笑いを浮かべる。

エリアとシリアの二人も気恥ずかしそうに、はにかんでいた。

その時、ディアナが優しく声を発する。

「リッド様、紅茶とお菓子をお持ち致しました」

「うん。ディアナ、ありがとう」

彼女は慣れた手つきで僕に紅茶、アリア達にお菓子を差し出す。

ちなみにお菓子は『クッキー』だ。彼女達は、目の間に置かれたお菓子に目を輝かせているようだ。

しかし、そんな彼女達をディアナが一瞥してから声をかける。

「貴方達、『マナー』を学んだのでしょう? 丁寧に食べないと、お菓子は取り上げます。リッド様、よろしいでしょうか?」

ディアナは彼女達に丁寧に言い放つと、僕に視線を向ける。

まぁ、こういう場においてのマナーは、大切ではあるよね。

僕は苦笑しながら頷いた。

「あはは……まぁ、お菓子でもこういう部屋では、綺麗に食べないとダメだからね。これも経験かな」

「ありがとうございます。差し出がましい事を言いまして申し訳ありません。さ、貴方達も良いですね?」

「えぇええ⁉」

彼女は僕の答えに一礼して、アリア達に視線を移す。

しかし、当の彼女達は『お菓子』を前に、思いがけない試練を迎えて悲鳴を上げるのであった。