軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

諜報機関の原案について

「それじゃあ続きをお願い、カペラ。あ、ちなみに『聞かれなかった』はダメだからね。さっき『聞かれたことだけ』って言ったけど人間、絶対に聞き忘れはあるからさ」

「……承知致しました。その前に、私からも質問をしてよろしいでしょうか?」

カペラは僕の質問に何やら疑念が沸いたようで、少し怖い目で僕を見ている。

僕はそんなカペラに笑顔で頷きながら「いいよ。どうしたの?」と聞いた。

「リッド様はレナルーテの『忍衆』について詳しく聞かれて、いったい何をするおつもりなのですか?」

「……差し出がましいようですが、私も気になっておりました。良ければお聞かせくださいますか?」

「あれ? 言っていなかったっけ?」

そういえば、この事について言っていない事を思い出す。

でも話の流れから二人ならわかりそうな気はするんだけどなぁ。

僕はそう思いつつもニコリと微笑んだ。

「それは、もちろん『諜報機関』を将来的に作るつもりだからさ」

「はぁ……リッド様、まさかとは思っていましたが、本気で考えていらっしゃるのですか?」

僕の答えに呆れた様子のディアナが返事をすると、そのまま話を続る。

「リッド様、差し出がましいですが『諜報機関』は見方によっては『軍』となります。そのような機関を作れば、下手をすれば国家反逆罪となってしまうのですよ? いくら情報を集めるとは言え危険過ぎると思います」

ディアナは僕が本気だと感じたのだろう、強い口調で言葉をはっきりと言った。

カペラはその様子を黙って見ている。

「ディアナの言う通り、確かに危険な部分はあるかもしれないね。だけどバルディア領を発展させるうえで『諜報機関』は絶対に欠かせないよ。国家反逆罪になる前に領地が滅んだらどうにもならないからね。大丈夫、バレないようにするよ」

「……私は、リッド様のご意見に賛成です」

僕とディアナのやりとりを見ていたカペラが、サッと僕の意見に賛意を表明した。

そして、そのままの流れで彼は説明を始める。

「バルディア領が今の規模のままであれば、ディアナさんの言う通りだと思います。情報を得るリスクに対して国家反逆罪は釣り合わないでしょう。ですがバルディア領がリッド様により、大きく発展するのであれば話は別です。領地が繁栄すれば、当然の事ながら各国や国内の諜報員達が来るはずです。それらを抑止、摘発する意味でも諜報機関は必要です」

「カペラ、説明をありがとう。……というわけだからさ、ディアナも協力してくれるよね?」

カペラの言う通り、諜報機関を作る目的は情報収集だけじゃない。

情報流出を防ぐ意味合いも強いのだ。

騎士団はあくまで外的要因や犯罪の取り締まりなどを主としている。

現状で諜報活動や流出の取り締まりなどを増やせば、業務効率が落ちるのは確実だ。

ディアナは諦めた様子でため息を吐いた。

「はぁ……わかりました。私はリッド様の従者となりました。リッド様がすると決めたのであれば、私も力の限りお支え致します」

「うん。ありがとう。一応、この件は父上にはまだ秘密でお願いね。絶対反対されそうだからさ」

僕の言葉に二人は苦笑しながら頷いた。そして、僕は二人にあるお願いをした。

「本当はカペラから全部聞いた上でお願いをしたかったんだけど、ぜひ二人に協力して作って欲しい物があるんだ」

「私達、二人が協力ですか?」と言いながら二人は怪訝そうな顔を見合わせると、ディアナがハッとしてツンとなる。

カペラは無表情のままだ。僕は深呼吸をしてからおもむろに言った。

「二人に作って欲しいのはね、諜報員を育てる為の教育課程なんだ。レナルーテの暗部を深く知るカペラ。バルディア騎士団で叩き上げのディアナ。二人の意見をまとめれば、きっと素晴らしい諜報員を育てることが出来ると思うんだよね」

まぁ、二人が本気で作った教育課程を学んで出来る人材は多分、前世で言う所の「特殊部隊」な感じになりそうなんだけど。

僕の言葉を聞きながら、思ったよりも二人は興味深げに考えに耽っている。

その中で最初に口を開いたのはディアナだった。

「確かに、バルディア騎士団は白兵戦における連携や団体戦闘などには特化しておりますが、諜報活動、暗殺などの技術は残念ながら弱いと言わざるを得ません。その点から考えれば、情報を守る意味では力不足です」

「忍衆は情報戦、暗殺、謀略には長けますが基本は単体、少数行動が主です。また、戦闘は極力控えるように学びます。故に、白兵戦における連携や団体戦は苦手としております。リッド様の仰る通り、忍衆とバルディア騎士団、それぞれの教育課程を混ぜて隊員を育てれば、一人でも雑兵百人いや、それ以上の戦力を得られるでしょう……‼」

続いてカペラも意見し、何故か申し合わせた様に二人の意見は合致していた。

二人共、優秀が故に互いに足りない部分を理解していたのだと思う。

一人で百人以上の戦力なら少数精鋭の諜報機関にはもってこいかな?

ディアナとカペラは意気投合したかのように顔を見合わせ頷くと、僕に力強く言った。

「リッド様、やりましょう‼ バルディア騎士団を超える、リッド様専属部隊を作りましょう‼」

「私も同感です。我が経験を持って、忍衆以上の部隊を作り上げてみせます……‼」

「う、うん、よろしく……あ、人員確保はまだ先の話になるだろうから、まずは二人で教育課程をまとめてみてほしい。それとこの話は内密にお願いね」

二人はかなり熱くなっていたが、僕の返事には静かに頷いていた。

カペラには今後の為に、諜報機関設立にあたって忍衆の教育課程などの仕組みを聞ければと思っていた。

従って、話し合いはひとまず成功と言って良いかな。

……何やら二人の目が爛々と輝いているのは、僕の気のせいだと思っておくことにしよう。

その後、話は本題に戻ってディアナが質問した件をカペラは教えてくれた。

驚いたことに、一部の華族を炙り出すのにレイシスを囮に使っていたらしい。

ディアナはその話を聞いて嫌悪感を抱いた様子だ。

僕は何となくそんな感じはしていたので、さほど驚きはしなかった。

「……一国の王子を使ってまでする必要があったのですか?」

「忍衆は頭目が決めた事に従うのみです。恐らくその方法が一番良いと判断したのでしょう」

何とも言えない空気になってしまったので、僕は咳払いをして話題を変えることにした。

「ゴホン……ところで、カペラが暗部で使っていた魔法を教えてもらっても良いかな?」

僕は二つ目に彼から聞きたかった質問を始めるのであった。