軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第271話 楽観的

一体何が起こっているかは分からないが、俺ができるだけのことはしただろう。

本当ならもう少し手伝っても良かったが、早くヨークウィッチの街に帰りたいという気持ちに変化はないため、俺も俺がやらなくてはいけないことを優先する。

「色々と分からない部分が多すぎるが、正直これ以上やりようがない」

「兵士のトップである俺ですらどうしたらいいか分からねぇからな! とりあえず部外者なのにも関わらず、色々と協力してくれて助かった! 情報提供だけでなく、作戦まで手伝ってもらっちまったからな! その上でこっちは失敗しちまったんだから、本当なら恥ずかしくて顔を見せられねぇ結果だ」

「アクシデントがあった中で、地下通路と倉庫は押さえたなら上出来だと思う」

「いや、何があろうと今回は成功させなきゃいけなかった! ……反省を聞かせる訳にもいかねぇし、とりあえず三日後に兵舎に来てもらうことはできるか? 今回の礼をさせてもらう!」

三日後に兵舎か。

アルフィの退院を見届けたら今日にでも帝都に向かおうと思っていたため、結構な足止めを食ってしまう形になる。

「早めることはできないか? 今日にでも帝都に行こうと思っていたから、三日間は正直待ちたくはないな」

「おー、やっぱり帝都に行くのか! 色々な都合上これ以上期間を早めることはできないが、帝都に行くっていうなら三日間は待った方が絶対にいいぜ!」

「……分かった。そこまで言うのであれば、三日後に兵舎に行かせてもらう」

「おう! 期待していてくれ! きっと役に立つと思うぜ!」

近くにセルジがいたからか、詳しいことについては話してくれなかったが、クロについて調べる上で役に立つ何かを用意してくれるってことだろう。

兵士長とは関わってまだ日は浅いが、信頼における人物であると思っているため、心配はせずに待つとしようか。

「俺とアルフィは明日から通常業務すか?」

「いや、三日間は休んでいいぞ! 褒美ってほどのことじゃないが、二人はヴィクトルを捕らえてくれた訳だから休みをやる! その間の給料も発生するから遠慮なく休め!」

「こりゃアルフィは飛んで喜ぶと思うすよ。ジェイドも三日間は暇なんだろ? 作戦自体は失敗したみたいだが、俺達は成功したんだし打ち上げでもやろう。退院祝いも兼ねてな」

「それは楽しそうだな。……まぁこれまでも常に打ち上げしていたような感じだったが」

「いやいや、あんなのはしっぽり吞んでいた方だ」

「おいっ、しっぽり呑んで二日酔いで大寝坊かます奴がどこにいんだ!」

セルジが口を滑らせ、隣にいた兵士長にゲンコツを食らっていた。

この場にアルフィがいれば、先にアルフィが口を滑らせていてセルジは無事だっただろうな。

兵士長を含む、この三人の関係性はかなり好きだ。

「とりあえず兵士長。そういうことなんで打ち上げの金ください。休んでいる間も給料が発生するのも嬉しいすけど、手持ちの金がないんで遊べないんすよ」

「知らねぇよ! ……って言いたいところだが、もてなすってことなら払わねぇといけねぇか! あんまハメ外しすぎんなよ! 今回活躍したからと言って、何か大きな問題を起こしたら即クビにするからな!」

渋々といった感じだが、懐から金の入った麻袋を取り出すとセルジに手渡した。

その麻袋は新品のようだし、最初から用意していたであろうことが分かった。

「あざす。大丈夫すよ。アルフィはちゃんと見張っておくんで」

「アルフィだけじゃなくお前も心配なんだが、まぁいいや! ジェイドが二人を見張っていてくれ!」

俺にお願いしてきたが、二人が暴走した際に止められる自信はない。

できない約束はしない主義なため、兵士長への返事はしないまま俺はセルジと共に牢屋を後にした。

「よっし! 休みに加えて金まで貰えたぜ。良い感じで時間も潰せたし、治療院に戻ってアルフィを拾おう。検査も終わって退院の準備もできてるだろ」

「セルジは切り替えが早いな。結構ショッキングな光景だったはずだが」

「まぁ正直いい結果とは言えなかったし、もちろん解決してくれた方が気持ち的にはいいことには違いないが……。仮に時を戻せたとしても俺達がどうこうできる問題じゃねえし、こういった時は何も考えずに遊んだ方が人生は楽しい」

特に何も考えずに発言したことだろうが、俺にはやけに刺さるな。

未だに過去に縛られている節があるし、二人ほど楽観的に考えるのは無理とはいえ、俺もある程度は適当に物事を考えた方が楽になるとは思う。

見習うところは限りなく少ないが、メンタル面では多少見習いたい。

「たまにだが、その精神が羨ましく感じる」

「真剣に考えすぎなんじゃねぇのか? 色々と頼んでおいてなんだが、もっと楽していいぞ。そのせいで全部駄目になったら、兵士長に頼んで兵士にしてもらえばいい。俺らと三人で楽しく底辺兵士生活を送ろう」

セルジはそう言うと楽しそうに笑った。

残念ながら今は商人として働く気しかないが、二人となら兵士としても楽しく過ごせるだろう。

嬉しい提案にそんな未来も思い浮かべながら、俺達は治療院へ向かった。