軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

13 癒され国王様

その日の夜、俺が自室で休んでいると、廊下に複数人の足音が聞こえ、扉がノックされた。

入ってきたのはフォルシーナとミアール、そしてマリアンロッテとクーラリアだった。

「どうしたそのような人数で。なにかあったのか?」

一瞬だけ追放ルート発動か? などと思ってしまったのは、彼女らが妙にそわそわした様子だったからだ。

だがよく考えたら、フォルシーナとミアールはともかく他の2人は王の私室に来るというのはそれなりに覚悟がいるだろう。ああでもクーラリアはなにも考えてないかもしれない。

「いえお父様、お食事の時のお父様の様子が少し気になりましたので、皆でお話をしてはどうかということになったのです」

「私の様子? どう見えたのだ?」

「少しばかり気を落とされていたご様子でした。もしやあの2人について、気を病んでいらっしゃるかと思いまして」

「ふむ……。そのようなこともないのだが、お前がそう見たのであれば無意識のうちになにかを感じていたのかも知れぬ。例の『不帰の森』の件もある。少し話し相手になってもらおうか」

「はい! ミアール、お茶を」

「はいお嬢様」

ミアールがお茶を用意して、5人全員でソファに座る。さすがにミアールとクーラリアは遠慮したのだが、無理に座らせた。

俺の隣に座ったフォルシーナが、俺の右手を取ってくる。

「お父様は、2人をあのように処することは避けたかったのですか?」

「そうだな。死を与えるのは常に避けたいとは思っている。が、そうもいかぬのが王だ。それは納得はしているゆえ、彼らを死なせたことを悔いているわけではない」

「それではなぜ陛下はそのように辛そうな目をなさっておいでなのでしょう?」

こちらはマリアンロッテだ。彼女も俺の左手を取って顔を覗き込んでくる。

う~ん、よく考えたらちょっとこれ恥ずかしい場面だな。おっさんが娘とその友人に慰められてる図とか、絶対に人には見せられない。

「なぜ彼らがあのような行動をするようになったのか、それは少し考えた。死を前にした彼らは、およそあのような行動をする人間には見えなかった。わずかな踏み間違いによって道を誤ってしまったのだろうと思うと、我が身を振り返って少し恐ろしくなったというのはある」

「そんな、陛下は道を間違えるような方では決してありません。それは私が心から保証いたします」

「それは頼もしいな」

「それはもちろん私もですお父様。お父様のお心は凡人とはまるで違う高みにあります。他の人間と比べて不安になる必要はありません」

「そうだぜですご主人様。あんだけ強いご主人様が道を踏みはずすなんてありえないと思いますです」

「私もそう思います」

フォルシーナやクーラリア、ミアールも真剣な顔で言ってきて、俺は非常にこそばゆくなってきた。

うんごめん。なんか今それっぽいこと言ったけど、実は食事中、ゲーム内で死ななかったロークスとゲントロノフが、本来死ぬべきだった俺の手によって死んだのが皮肉だな、とか考えていただけなんです。遺体を見た時は、少しだけ罪悪感とか、喪失感みたいなのもなくはなかったけど。

もちろんそんなことは言えず、その後しばらくは少女4人に慰められ元気づけられるおっさんの図が展開されることになった。

そして結局『不帰の森』探索の話はできなかったのだが……まあ水場がないとか程度の話だったのでそれは後でいいだろう。

ともかく王都奪還から始まって、王宮内の政治システム再構築、情報収集、俺の即位、そしてロークスとゲントロノフの刑と、内政的にやらなければならないことは一通り終えることができた。

もちろんこれからも王都の復興、魔族への対応、周辺国との外交など問題は山積みだ。最終的にはこの大陸と危機から救わなければならないし、俺自身どこに破滅ルートが埋まっているかもわからない。ゲーム知識があるとはいえ、この世界それだけではやっていけないことはすでにはっきりしている。

幸い手元には非常に強力な人材が多数集まっているので、そこだけは心強い。ただ女性の扱いに関してはフォルシーナやヴァミリオラの目があるので要注意だ。 俺(マークスチュアート) は女性関係に関しては潔癖に近いはずなのだが、なぜか疑われることが多いようだし、追放ルートを避けるためにも細心の注意を払わなければならないだろう。

細かいことはいずれにせよ、これで、『インテクルース王国』は、『神聖インテクルース王国』として名実ともに再出発することになる。

ちなみに『神聖インテクルース王国』という中学生並の感性が光る国名は、原作ゲーム通りのものであって俺が考えたものではないことだけは言っておきたい。