軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

12 戦の準備 チート仕様

翌日、俺はローテローザ公爵領内にある、とある荒れ地に『転移』していた。

『神に捨てられし地』などという大層な名前のついた、乾いた土がむき出しの広大な土地である。一軒家ほどもある岩の突起があちこちにそそり立ち、大小の岩がゴロゴロと転がっているのだが、よく見るとそれらはなぜか通路を形作っている。身も蓋もない言い方をすれば、要するにゲーム的なフィールドである。

「ここも久しぶりだな」

『転移』できたということは、マークスチュアートの冒険者時代に一度来ているということである。もちろんゲームでは数えきれないほど入ったフィールドだ。

特にそれ以上の感慨もなく足を踏み入れると、お約束のようにモンスターが現れる。『ニードルシューター』という、尻尾の先の毒針を飛ばしてくる大型のサソリ型モンスターだ。

俺は風切り音を響かせながら飛んでくる杭のような毒針を避けながら、『ニードルシューター』を次々と一刀両断にしていく。

その後巨大コブラの『デーモンアイ』、ハイエナ型の『デッドイーター』などを薙ぎ払いながら進んでいくと、家ほどもある巨岩が三つ並んだ場所にたどり着く。真ん中の岩に手を触れ魔力を流すと、魔法陣が浮かび上がって人が1人入れるくらいの横穴が開く。

「ここもゲーム通りだな。さて……」

独りごちながら、俺は2つめの『隠者の試練場』へと足を踏み入れた。

『隠者の試練場』は、前にも言ったがゲームではバランスブレイカーとなるほどのスキルや武具を得られる隠れフィールドである。

俺が久々にそんな場所を訪れた理由は、王家との戦にそなえて新しい 隠しスキル(チート) を得るためだ。もちろん『転移魔法』の取得によって、遠方へのアクセスが容易になったということもある。

さて大岩にあいた穴だが、内部はそのまま岩の洞窟になっていた。

奥に向かって歩いて行くと、岩の壁から剥がれ落ちるようにして岩石型のモンスターが現れる。一抱えあるほどの岩に手足がついた『ボムロック』は、名前の通り自爆攻撃を仕掛けてくる初見殺しの厄介なモンスターだ。

攻撃は自爆以外は転がりによる体当たりしかないが、その重量から繰り出される突進攻撃はもちろん脅威である。

俺は転がってくる『ボムロック』を避けつつ、後ろから風魔法『ウインドパイル』を撃ち込んで倒していく。時々『ボムロック』の自爆攻撃が発動して大爆発を起こすが、距離を取って避ければ問題はない。

「とはいえさすがにフォルシーナたちはまだ連れては来られんな」

ゲームでは、この『隠者の試練場』は、止めを刺したキャラ以外が自爆攻撃で次々と戦闘不能になるクソフィールドだったのだ。ゲームでは回復薬『エクストラポーション』と『エリクサー』を山ほど持ち込んでゴリ押しできるのだが、さすがにリアルではそうはいかない。

そんなクソなザコモンスターを倒しながら進んでいくこと1時間ほど、石板でできた扉が目の前に現れる。ボス部屋への入口だ。

中は広いドーム状の空間になっていた。真ん中に立つのは、岩の表皮を持つ巨大クモ型モンスターである。大きさは乗用車を横に1.5倍にしたくらいだろうか。

「『ロックドレスタランチュラ』もそのままのようだな」

俺がミスリルの剣を構えると、ロックドレスタランチュラは巨体に似合わぬ素早さでこちらへとにじり寄ってきた。噛みつき攻撃だろうが、一噛みで腕一本くらいは簡単に持っていかれそうだ。

俺は高速移動スキル『縮地』で巨体の突進を躱しながら、8本ある足を切断していく。岩の表皮だろうがなんだろうが、俺の切断力上昇スキル『一刀斬』で斬れないものはない。

足を5本落としたところで、ロックドレスタランチュラの動きが一気に鈍くなった。苦し紛れに糸を飛ばしてくるが、風魔法『ブルータルトルネード』ですべて巻き上げて無効化する。

「『 破星(はせい) 冥王剣(めいおうけん) 』」

こちらを睨むロックドレスタランチュラに向かって、俺は剣を振り下ろす。

その刃の軌跡から光の帯が伸びて、巨大クモの身体を真ん中から真っ二つにする。中ボスお約束の飛ぶ斬撃的な必殺技である。

「やはり剣の錆にもならぬな」

勝ちゼリフとともに、ロックドレスタランチュラの身体は光の粒子に還っていった。

残されたのは緋色の長槍『スカーレットプリンセス』。明らかにメインヒロイン・アミュエリザ用の槍である。しかしこれを渡すとまた姉のヴァミリオラに睨まれそうだな、と思いながら、そのままマジックバッグにしまう。

『よくぞ試練をくぐり抜けた。褒美として神の能力を一つ授けよう。ただしお前にその能力を得るだけの下地がなければならぬ。注意せよ』

現れた光の球は、前回と同じ問いを発してきた。

「無限の魔力を」

『よかろう。「魔の源泉」のスキルを授ける』

バランスブレーカースキル第二弾、魔力がほぼ無限になる『魔の源泉』がこれで手に入った。

とはいってもゲームでもリアルでも魔力回復用の『マジックポーション』があるので、その有用性は『神速』ほどではない。

ただ大魔力を一気に扱えるようになるのは大きい。これでうまく行けば、ただでさえチートな『転移魔法』がさらに上位チート化することになるはずなのだが、さてどうなるか。上手く行けば戦はもう勝ったも同然、なんて言うとフラグになりそうだな。