軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

54 女神様、再び

「――はぁい、ひさしぶりね」

俺の眼前に、女神様がいた。

そして足元には、大気圏外から見たマルクェクトが広がっている。

毎度おなじみの、女神様ルームだ。

ガゼインとの決闘の後、俺は少年班やネビルの仲間たちといった面々と協力して、〈 八咫烏(ヤタガラス) 〉の幹部連中や特務班員のような反抗する恐れのある御使いを拘束していった。

最悪、少数で多数を相手にすることも覚悟していたのだが、ガゼインが悪神に喰われた(正確には喰われかけた)のがよほどの衝撃だったらしく、大多数の御使いは虚脱状態にあった。

念のため彼らについても武装解除して居住用地下空間の一角に軟禁させてもらうことにした。

その際にも彼らは一切抵抗しなかった。

必要はない気がしたが、念のためネビルの仲間が輪番で見張りに立っている。

もともと、住居用空間は、他の空間へのトロッコ道がひとつしかないため、少人数でも簡単に見張ることができる。

もちろん、この塒を作ったガゼインたちがそれを計算した上で設計したのだろうが。

いくつか、計算外のことはあった。

まず、「牧師さま」を取り逃がしてしまったことだ。

牧師さまについてはミゲルとネビルの仲間数人を張り付けて監視を頼んでいたのだが、いったいどうやって監視をかいくぐったのか、いつのまにか姿を消していた。

もうひとつは、虚脱するのではなく、パニックに陥った御使いたちが少数いて、そのうちの数人が 塒(ねぐら) から飛び出して行ってしまったことだ。

追っ手をかけるだけの余剰人員がいないため、とりあえずは逃げるままにしておくしかない。

様子からして、悪神への信仰を失ったことは確かだろうから、害になることはない……と思いたい。

が、ヤケになっておかしなことを考えたり、絶望して自殺したりする可能性もある。

できれば保護しておきたいところだったのだが、まずは塒の掌握を優先せざるをえなかった。

逃げ出した御使いたちについては、ガゼインとの対決の経緯と合わせて、妖精郷経由で急ぎアルフレッド父さんに連絡を入れておいた。

連絡が届き次第、父さんの方でも対策を考えてくれるはずだ。

一連の手配を終えた頃には、もう夜が明けかけていた。

ガゼインを倒した直後から、俺はぼんやりとした眠気を感じていた。

もちろん、徹夜作業で眠くなったわけではなく、ガゼインを倒したことによる成長眠だ。

もっとも、ランズラック砦の時とは異なり、気を張ってさえいればいきなり眠りに落ちることはないようだった。

とはいえ、ずっとそのままでは鬱陶しくてしょうがない。

事後処理が一段落したところで、ネビルとエレミアに後事を託して俺はいったん眠らせてもらうことにした。

そうして、実に4ヶ月ぶりとなる眠りへとついた俺は、例のごとく夢の中で目覚め、女神様との再会を果たしたというわけだ。

「ああ、ひさしぶりだな、女神様。

ええっと……4ヶ月ぶりくらいか」

挨拶を返す俺の背後から、ここで聞こえるはずのない声が聞こえてきた。

「えっ……えっ!?

ここは一体どこなのよ!?」

驚いて振り返ると、俺の背後には混乱しきった様子のメルヴィが浮かんでいた。

「ど、どうしてメルヴィがいるんだ?」

「どうしてって……知らないわよ!」

俺は再び振り返り、女神様に疑問の視線を向ける。

「あらあら。

メルヴィさんもついてきちゃったのね。

わたしはあなただけを呼んだのだけれど、あなたとメルヴィさんの結びつきが思った以上に強かったみたい」

「そ、そんなんでついてきちゃうものなのか……?」

「メルヴィさんはギフトで構成された妖精だから、ね。

他の人……たとえばジュリアさんが一緒に呼び出されるようなことは起こらないわ」

「そ、それで、一体何なのよ、この状況は!?

そちらの綺麗な方は……えっ、まさか……」

「初めまして、メルヴィさん。

わたしは輪廻を司る女神アトラゼネクよ」

「えっ、ええええええっ!?」

メルヴィは口をあんぐりと開けたまま固まってしまった。

女神様はそんなメルヴィににっこりと微笑みかけると、俺に向き直り、話を戻す。

「ゆっくりと久闊を叙したいところなのだけれど、今回は成長眠が短いから、単刀直入に行くわよ。

まずは恒例、スキル譲渡の時間ね。

――今回は、これとこれ」

女神様が肩の高さに両手を広げる。

右の手のひらの上には、灰色の霞のような何かが、左の手のひらの上には、滑らかに回転する赤い警告灯のような何かが浮かんでいる。

【鑑定】すると、それぞれ、《【幻影魔法】のギフト》《【危険察知】のギフト》と出た。

「今回、あげられるのはこの2つのどちらかだけね。

〈 八咫烏(ヤタガラス) 〉の首領ガゼイン・ミュンツァーは、悪神とは取引をしているのみで、呪禍を得ていたわけじゃなかったし、身体の方を悪神に呑まれてしまったから。

申し訳ないけれど、《善神の加護》の強化はお預けだわ」

「それは、しかたがないな。

俺の落ち度だし」

俺は、2つのギフトを見比べて、少し考えてから、【危険察知】のギフトへと手を伸ばした。

ギフトは赤い粒子に分解されて、俺の身体へと吸い込まれた。

【鑑定】。

エドガー・キュレベル(キュレベル子爵家四男・サンタマナ王国貴族・《 赫ん坊(ベイビー・スカーレット) 》・《底無しのオロチ》・《 交渉者(ネゴシエーター) 》・《 竜を退けし者(ドラゴンバスター) 》・《妖精の友》・《精霊魔法師》・《阿弥陀様の遣い》・《 導師(グル) 》・《びっくり箱野郎》)

レベル 32/40(レベルアップ待機状態)

HP 94/94(↑27)

MP 5641/5641(↑2473)

スキル

・神話級

【不易不労】-

【インスタント通訳】-

・伝説級

【サイコキネシス】5(↑4)

【精霊魔法】5(↑3)

>>【危険察知】1(NEW!)

【鑑定】9(MAX)

【データベース】-

【念話】5(↑3)

・達人級

【投擲術】7(↑5)

【手裏剣術】6(↑4)

【飛剣術】5(NEW!)

【鋼糸術】5(NEW!)

【暗殺術】5(NEW!)

【見切り】5(NEW!)

【物理魔法】9(MAX)

【火精魔法】5(↑4)

【地精魔法】8(↑4)

【風精魔法】3(NEW!)

【光精魔法】1(NEW!)

【雷撃魔法】5(NEW!)

【付加魔法】6(↑3)

【魔力制御】8

【無文字発動】8

【魔力検知】5(↑4)

【魔法言語】5(↑2)

【気配察知】7(↑3)

【暗視】7(↑5)

【音響探査】3(NEW!)

【隠密術】5(NEW!)

【三角蹴り】2(NEW!)

【彫刻】7(↑4)

【調合】4(NEW!)

・汎用

【投槍技】5

【短剣技】5(NEW!)

【格闘技】5(NEW!)

【飛剣技】9(↑4、MAX)

【手裏剣技】9(MAX)

【投斧技】2

【ナイフ投げ】9(↑4、MAX)

【鋼糸技】9(↑5、MAX)

【暗殺技】9(↑4、MAX)

【鉤縄技】4(NEW!)

【竜爪技】2(NEW!)

【竜鱗防御】5(NEW!)

【跳躍】9(↑5、MAX)

【火魔法】9(MAX)

【水魔法】6(↑2)

【風魔法】9(↑2、MAX)

【地魔法】9(MAX)

【光魔法】9(↑1、MAX)

【雷魔法】9(↑2、MAX)

【念動魔法】9(MAX)

【魔力操作】9(MAX)

【同時発動】9(MAX)

【魔力感知】9(MAX)

【暗号解読】2

【聞き耳】9(MAX)

【遠目】5(↑1)

【夜目】9(MAX)

【忍び足】9(MAX)

【木彫り】9(MAX)

【調理】5(↑3)

【調薬】9(MAX)

【指揮】2(NEW!)

《善神の加護+1(アトラゼネク)》

《善神の加護(カヌマーン)》(宗教を司る神カヌマーンの加護。神術系スキルの習得・成長に小補正。加護対象のカリスマ性を高める。加護対象の言葉の説得力が上がる。二つ名がつきやすくなる。また、他者への二つ名付与に対する影響力が大きくなる。)

……うん。

いろいろつっこみたいのはわかるけど、まずは【危険察知】が習得できていることを確認してくれ(「>>」の箇所だ)。

それにしても、ステータス、長っ!

いい加減、整理の仕方を考えないと混乱するな……。

「そっちを選んだ理由を聞いてもいいかしら?」

「【幻影魔法】も魅力的だが、【危険察知】には散々苦しめられたからな。

一見地味でも、敵に回したら面倒極まりないスキルだろ。

それに、今回の一件で、いくらスキルがあっても、腕の立つ暗殺者に狙われたらかなりヤバそうだってのが身にしみてわかった。

まあ、あれほど腕の立つ暗殺者が、そうそういるとも思えないけどな」

「〈 八咫烏(ヤタガラス) 〉に関しては、ことを起こされる前に対処することができてよかったわ。

もし、連中があなたに手を出していなかったら、今頃サンタマナは悪神の地上王国になってるところだったわね」

「怪我の功名って奴か」

俺としては、暗殺者に狙われてよかっただなんて、とうてい思う気にはなれないけどな。

「それで、女神様の用件は、ギフトだけか?

こっちはたくさん質問を用意してあるんだが……」

「それにはもちろん答えるけれど、その前にひとつ、見てほしいものがあるの。

――ええっと、これね」

女神様がパチンと指を鳴らすと、俺たちの前に見覚えのあるものが現れた。