軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

迷宮と遭遇

ギガンテスを討伐した私達は、7階層に到達した。

この7階層もまた森林地帯となっている。

しかし、7階層に降りてすぐの岩場の奥に魔物が入り込みにくい地形があり、そこには魔物避けの結界が張られ比較的安全に休息できる場所になっている。

「アレは……」

「先客か」

その安全地帯には既に1組の冒険者パーティが居た。

この場合、冒険者同士のマナーに関しては私やティーダは明るくないのでユウやエルザに任せるつもりだ。

私達が安全地帯の結界内に入ると、先客である冒険者パーティから2人、剣士風の男と魔導士風の女が此方に向かって歩いてきた。

「おそらく男の方はパーティリーダーだろう。私達が女だけのパーティと見てパーティメンバーの女性を連れてきた、というところか」

私がエルザに視線を向けると小声で説明してくれた。

男達は私達から少し間合いを空けて止まる。

「俺たちはCランクパーティ《光の道》だ。

お前達は下層から来たのか?」

「いや、上層からだ」

「⁉︎」

男達は驚き顔を見合わせる。

「ギ、ギガンテスはどうした?このすぐ上の階層の階段前をずっと陣取っていたはずだろ?」

「ギガンテスなら先程、我々が討伐した」

「討伐⁉︎」

男達が再び驚きの声を上げ、更に背後にいた《光の道》のメンバー達も慌ててこちらに駆けてきた。

私は咄嗟に剣に手を伸ばすが、《光の道》のメンバーはリーダーの男に押し留められる。

「お前ら!落ち着け!…………済まない。

こちらに敵意はない。

俺たちは数日ダンジョンに篭って狩りをしていたんだが、いざ帰ろうとするとアイツが階段前に居座っていて立ち往生していたんだ」

「そうか、階段前の1体は討伐したが、他の個体が居る可能性はある。帰るなら気を付けろ」

「ああ……その……悪い、疑うわけではないんだが、本当に討伐したのか?」

「本当だ。ユウ」

「はい」

ユウがマジックバッグにしまっていたギガンテスの討伐証明の右耳を取り出した。

「おお!ギガンテスの耳だ!」

「本当か!」

「か、帰れるのか……」

「ありがとう……ありがとう……」

《光の道》のメンバーに口々にお礼を言われる。

Cランクパーティである彼らでは命を賭けてもギガンテスを倒せるか、難しいところだ。

幸い食料などはダンジョンで狩りができるため、問題無かったが、精神的な限界が近かったらしい。

「ありがとう、あんた達は命の恩人だ。

ところで名前を聞いてもいいか?

ギガンテスを討伐できるほどの実力のあるパーティは町に居なかったはずだから、あんた達は外から来た冒険者だろう?」

「私はエルザ、Aランク冒険者だ。臨時で組んでいるからパーティ名は無い」

「私はユウカです。同じくAランク冒険者ですよ」

「エリーよ。私は冒険者じゃなく商人よ」

「ティーダと言うッス、お礼なら言葉ではなく現金で……あだっ!」

ティーダの頭にチョップを落としておく。

「卑しいわよ」

「酷いッスよ〜、この場合、謝礼を請求するのは正当な権利ッスよ!」

「…………そうなの?」

まぁ確かに行商人が街道などで襲われているところを通りすがりの冒険者に助けられたら謝礼を払うのが常識だ。

払い渋れば義を欠く恥知らずとして後ろ指を差されることになる。

この場合もそれに近い状況と言えるのかも知れない。

《光の道》のリーダーもティーダの言葉に頷く。

「当然だな。今は大した手持ちは無いんだが……素材でも良いか?もし現金が良いならギルド経由での支払いにしてもらいたい」

「いや、それには及ばない」

そう提案する《光の道》のリーダーだが、エルザはそれを拒否した。

「アレは私達の目的のために討伐しただけだ。

礼の必要は無い。ティーダも良いだろう?ギガンテスの討伐報酬も入るのだからな」

「まぁ、そうッスね」

エルザはそう言って謝礼を断った。

「私はよく分からないけど、良いの?」

「う〜ん、助けたのが商人さんとかなら、ちゃんと報酬を貰うのがお互いの為なんですが、冒険者同士ですからね。

同格なら気にせず報酬を要求するものですが、私達は高ランク冒険者です。横暴な相手なら別ですが、下手に出ている下位の冒険者相手に小銭をせびるのは、少々みっともないと思う人も少なくないですよ。

勿論、下位冒険者を無条件で助けなければいけないというわけではありません。

気まぐれ、ボランティアの類いですね」

そういうものらしい。

「というわけだ。礼の必要は無い」

「いや、そういうわけにはいかない」

「…………ふむ、そうまで言うなら1つ頼みたい。私達は急いでいてな。

ギガンテスを解体する暇が無いんだ。

このまま放置すれば明日の夜にもダンジョンに吸収されるだろう。

そこで、君達が解体してギルドまで運んでほしい。今回の謝礼と、解体と運搬の手間賃を差し引きして売却額の1割は君達にやろう」

「え⁉︎い、いや、それは貰いすぎだろ……」

「構わない、どうせ放置すれば消える金だ。

お前達もランクが上がれば下の者に支援してやれ。皆はそれで良いか?私は売却金は要らないぞ」

「わたしも要りませんよ。あ、でもギガンテスの眼球は欲しいです。後で容器を渡すのでお願いしても良いですか?」

「あ、ああ勿論だ」

「私もそれで良いわ、売却金は急遽来てもらったティーダへの追加報酬ってことでいいんじゃない?」

「ほ、本当ッスか⁉︎ギガンテスの売却金の9割ッスよ?」

「まぁ、それなりの額にはなるだろうな。

当初の予想よりダンジョンのレベルが高いし、それくらいの上乗せは構わないだろ」

「そうですね。わたしも賛成です」

「おお!皆さんについてきて良かったッス!

さぁさぁ、《光の道》の皆さん!怪我とかしている人は居ないッスか?魔法で治すッスよ?元気になって沢山素材を持ち帰ってくださいッス!」

ティーダは嬉しそうに《光の道》の怪我人を治療し始めた。

実に現金な奴だ。