軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

招集と要人

「商業ギルドから?」

「はい」

まず間違いなくこの病の関係か……。

「通して頂戴」

それから幾許もしないうちにミーシャが商業ギルドの制服を着た男を連れてきた。

「失礼します、レイス会長。

商業ギルドグランドマスター、アルバート・グイードより書状を預かって参りました」

「拝見するわ」

私は使いの職員から封書を受け取った。

封蝋には商業ギルドの印が押されており、コレが正式な書状であることを示していた。

机からペーパーナイフを取り開封し、書状を読む。

「コレは……緊急招集命令ね」

基本的にギルドに所属していても、そのギルドから何かを一方的に命令されることはない。

ギルドはあくまで互助組織であり、所属するギルドメンバーと運営メンバーは対等であることが前提とされている。

しかし、そこにはいくつかの例外が存在する。

災害などの国家の非常事態にはいくつかの条件をクリアすることで、ギルドは所属するメンバーへの指揮権限を得ることが可能なのだ。

正当な理由なく、この命令を拒否すれば、罰金や除名などの罰則もある。

グランドマスターからの書状にはその条件が全て満たされている。

流石に無視はできないわね。

「ミーシャ、呼び出しを受けたから出るわよ」

「は、はい!」

「表に馬車を用意しております」

私はミーシャを伴ってギルド職員が用意してくれた馬車に乗り込んだ。

「いったい何の用事でしょうか?」

「多分、この病についてでしょうね。

私は水魔法が使えるから、その関係での招集かも知れないわ」

「なるほど……あれ?商業ギルドを通り過ぎましたよ?」

「本当ね?この先は…………臣民議会かしら?」

臣民議会は平民のみで構成される議員が国に対する嘆願などを話し合い上申する組織だ。

その議場はギルドなどが集まる区域の中心にある。

馬車は予想通り臣民議会の議場で停まり、私達は1番奥の会議室へ案内された。

「此処からはレイス会長のみご入室をお願いします」

「分かったわ。ミーシャは待っていて」

「はい」

私は扉を開き中へと踏み込んだ。

「⁉︎」

部屋の中にいたのは錚々たる面々だった。

私を呼び出した商業ギルドのグランドマスター、グイード伯爵、冒険者ギルドのギルドマスターなどの各ギルドの代表や臣民議会の議長、更に帝国の官僚クラスの貴族。

末席にはAランク冒険者、エルザの姿もある。

そして入室した私の正面、最上位者の席に座る方を私は知っていた。

ユーティア帝国の皇太子、オーキスト・ユーティア殿下だ。

オーキスト殿下とは数回、夜会で挨拶したことがある。

向こうも私を認識しているはずだ。

勿論、相手は既に成人して政治に関わる皇族だ。亡命した私のことは知っているだろうが、どういう対応をされるのか……。

「よく来てくれた。トレートル商会の商会長、エリー・レイスだな。

私はユーティア帝国皇太子、オーキスト・ユーティアだ」

なるほど、私達はお互いに自己紹介をする間柄という感じで通すつもりか……。

「お初に御目に掛かります、殿下。

トレートル商会の商会長を務めております、エリー・レイスと申します」

「うむ、不躾に呼び出して済まないな。

取り敢えず座りたまえ」

「失礼致します」

空いていたエルザの隣に腰を下ろすと、オーキスト殿下が仕切り、話を始めた。

「さて、レイス会長。

今日、君に来てもらった理由なのだが……うむ、状況も状況なので単刀直入に話そう。

君の神器は大量の物資を収納できると聞いたが、本当か?」

「はい、相違ありません」

【強欲の魔導書】のことね。

まぁ、紛争であれだけおおっぴらに使えば情報も伝わるか。

私の答えにゆっくりと頷くと、オーキスト殿下は事情を話し始めた。