軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

窮地の村人達

整備された街道から踏み固められただけの道に入り、木々の間を進むことしばらく。

前方に木で作られた粗末な柵に囲まれた村が見えてきた。

「彼処が目的の村ですか?」

「ええ、ミリスタ村よ」

ミリスタ村は小さめの湖の側に寄り添うように作られた村で、主な産業などは無く、村人は僅かな農耕と森での狩猟、湖での漁で細々と暮らしている。

アクアクローラーの生息環境に合致する村を探して見つけた場所で、セイントバードを使って手紙を運び、何度かやり取りをした結果、トレートル商会の傘下としてアクアシルクの生産を請け負ってもらえることになったのだ。

村に向けて馬車を進めると、なんだか違和感を覚えた。

「何かおかしいわね?」

「おかしい、ですか?」

「ええ、なんだかピリピリした感じと言うか……」

「⁉︎」

村の門に差し掛かったところで、門の陰から5人の男達が飛び出してきた。

手には木を削って作られた粗末な槍を持っている。

私は御者台のミーシャを飛び越えるように幌から飛び出すと、腰の剣に手を掛けながら馬車の前に立った。

「これは何の真似かしら?」

「女⁉︎」

男達が少し驚いた顔をする。

「お、お前達は盗賊団じゃないのか?」

「盗賊?私は商人よ。トレートル商会、ミリスタ村の村長に近々伺うと言っていたはずだけど」

「トレートル商会!おい、お前ら!武器を降ろせ!彼女達は盗賊じゃない、村長が言っていた客人だ!」

男達のリーダーらしい脚を引き摺っている男が仲間に武器を降ろさせた。

「すまねぇ、あんたのことは聞いている。

村長の所に案内するからついてきてくれ」

馬車を停めた私とミーシャは男に付いて村長の屋敷に向かって歩いていく。

村の中には手に槍を持った男達しか見えず、皆悲壮な顔をしている。

「何かあったのかしら?さっき盗賊とか言っていたけど?」

「ああ、ちょっと問題が起こっていてな。

詳しくは村長に聞いてくれ」

そう言って男は村長の屋敷の扉を開いた。

「じっ様、前に言っていた商人が来たぞ」

「失礼しますわ」

「失礼します」

男に続いて屋敷に入ると、村長と年嵩の村人が数人、難しい顔をして机を囲んでいた。

「商人?ああ、トレートル商会の方ですな。

わざわざ来ていただいて申し訳ないのじゃが、今は非常に不味い状況での。

お主らも早々に村を立ち去ってもらいたい」

「いったい何があったのですか?もし何かお困りなら力になりますわ」

「しかし……お嬢さんではのぅ」

「村長、話だけでも聞いてもらえば良いんじゃないか?」

「そうだな、旅慣れた商人殿なら町の冒険者ギルドまで行ってもらえるかも知れない」

「それに今村を出るのも危ないぞい」

「うむ……」

村長と村人は何やら話し合った後、説明してくれた。

それによると、昨日の昼間、突然盗賊が村を襲ったそうだ。

その盗賊は村の門番を殺し、酒と食料を奪っていったらしい。

そして去り際に明日……つまり今日、また酒と食料、そして若い娘を用意しておくように言ったとのことだ。

多分、昨日は村の戦力などを確認するための威力偵察のようなもので、今日、本格的な略奪を行うつもりだと思われる。

この村は立地的に町に向かうための道が限られているので、多分そこに見張りを置いているのだろう。

「エリー様、野盗と盗賊はどう違うのでしょう?」

「明確な定義はないけど、一般的に街の外で人を襲ってお金や荷物、時には命を奪うのが野盗よ。大体4〜5人、多くても20人くらいで行動しているわね。

盗賊っていうのは、更に多くの野盗が徒党を組んだ奴らのことで、略奪を行う他に、殺人を請け負ったり、人を攫って違法奴隷にしたりする犯罪集団よ。多くの場合は大きな街の犯罪組織や悪徳貴族と繋がりを持っているわ。

人数が多くて大きな盗賊団になると、構成員は数百人になることもあるのよ」

総じて盗賊の方がタチが悪い。

村長は私の説明に頷く。

「奴らは装備もよく、ただの野盗とは違うように見えましてのぅ。

村の門番は歳で引退した元冒険者じゃった。

彼奴が殺されたのではワシらではとても勝てぬ。

そこでお嬢さんに町の冒険者ギルドへ救援依頼を出しに行ってもらいたいのじゃ。

森を行けば奴らに見つからずに町まで行けるかも知れん」

「ですが、それでは時間がかかり過ぎますわ。道を外れて進めば町まで数日は掛かりますし、依頼を出しても直ぐに受けてくれる冒険者が現れるとは限りません」

「しかし、このままこの村に留まれば、お主らも危険なのじゃ」

「大丈夫ですわ」

私は安心させるようにゆっくりと頷いた。

「その盗賊団、私が叩き潰して差し上げましょう」