軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

辺境の村解放戦①

小高い丘の上から小さな村を観察すると、所々に明らかに村人では無い武装した男達が我が物顔で屯していた。

「アイツらがサージャス王国の兵ね」

「多分正規兵では無いと思う」

狐人族の斥候、マルティが頷き答える。

「女性が連れ込まれた家って言うのはどれ?」

「あの1番大きな家だよ」

マルティが指さしたのは村の入り口から見て真正面に有る家だ。

おそらく村長の家だろう。

この手の農村では村長の家が宿屋や集会所を兼ねることが多く、その為村長の家は他の村人の家の2倍程広く作られている。

「マルティが確認した敵兵は10人だったわね?」

「うん、30分程見張って、外に出た武装した男達は10人だった」

私は目を凝らして男達を観察する。

「装備はそこそこの物を使っているけど、動きは素人ね。

多分、募兵に応じた農民辺りを簡単に訓練したって感じかしら?」

「そうだな、奴らの動きは戦う為に鍛えた者のそれじゃない。

だが、体付きは悪くない。

日頃から体を動かす仕事をしているのだろう」

エルザが私の予想を肯定してくれる。

「彼らが軍人なら分隊規模、多くても12人くらいだと思うわ」

「うむ、指揮官は流石に正規兵だろうな」

「まぁ、こんな無法者達を率いている指揮官が優秀とは思えないけどね」

「違いない」

私とエルザはお互いに顔を見合わせてクスリと笑う。

彼女はサッパリとした性格で話していて気持ちの良い人だ。

思えば私の周りに居る人間は皆、癖が強すぎる気がするわ。

「それで、どうする?我々なら正面から戦っても苦戦はしないだろうが……」

エルザが彼我の戦力差を考えて言う。

確かにそれが1番簡単な方法だ。

だか、そうする訳には行かない。

それはエルザもわかっている事だろう。

「正面からは無しね。

村人達を人質に取られると厄介だし、敵の正確な人数も不明だから」

「そうだな。ならやはり闇に紛れるか」

「ええ、村に入ったら二手に分かれて各個撃破で」

「了解した。二手に分かれるならメンバーは私とマルティ、エリー殿とシシリーだな。

リサは待機、サリナはリサの護衛だ」

エルザが手早く役割を振る。

治癒魔法師であるリサは襲撃後、村人の治療などをしてもらう必要があるし、盾士のサリナは大楯と金属鎧を装備している為、隠密行動には向かない。

此処で待っていて貰うべきだろう。

エルザ達は素早く武器を確認する。

私も腰の剣と、革製のホルスターに入れて反対側に吊るした魔導書を確認し、エルザ達と共に丘を駆け降りて行った。

村の近くの背の高い茂みに身を隠した私達は、息を潜めて機会を窺っていた。

すると、武器をもった男が1人、茂みの近くの岩に腰掛けて煙草を吸い始めた。

嗜好品である煙草は田舎の農村などではあまり出回らない物だが、軍に属しているなら配給される可能性もある。

やはり、コイツらは軍属の徴募兵か。

私はエルザ達に『私が行く』と身振りで伝え、雲の影が重なる瞬間を狙い茂みから飛び出すと、男の口を塞ぎエルザ達の待つ茂みに引き込んだ。

「ん〜!!!」

男は抵抗しようとするが、直ぐにエルザとシシリーに両腕を押さえられる。

「【 遮音(サイレント) 】」

私は、内側の音を漏らさない様に魔法を唱えると、男の喉元に短剣を突きつけた。

「魔法であなたの声は仲間に届かない。

今から口を押さえている手を離すけど、騒いだり抵抗しようとすれば即殺す。

理解したらゆっくりと一回瞬きしなさい」

少し殺気を滲ませながら脅すと、男は涙目になりながらゆっくりと瞬きをした。

さて、コレで少しは敵方の情報が分かれば良いのだけれど。