軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

辺境の村

「【石壁】」

私の魔法により、地面から石の壁が現れる。

高さは低めで1メートルと少し程、視界を確保する為、胸くらいの高さにしておく。

更に地属性魔法を使える冒険者や傭兵達が堀を作っている。

これで敵軍の騎兵突撃をある程度牽制できるだろう。

「エリー様、周囲の探索に出ていた斥候達が戻りました」

「報告を聞きましょう」

場所を司令本部の天幕へ移した。

戻って来たのは南の森と北の山岳地帯を調査していた者達だ。

「では報告をお願いします」

「ああ、北の山岳地帯は特に異変は無かった。多少魔物が多いと感じたくらいだ」

「東から軍が近づいているからでしょうね。

ゴブリンなんかの多少知恵の回る魔物なら東から逃げて来てもおかしくないわ」

「そうだな、南の森でも魔物の影が濃く感じられた。それと、遠目にだがサージャス王国軍だと思われる斥候の姿を確認した」

「もう森にまで入っていたのね」

「だが本格的な進行と言う感じでは無かったな。森の浅い場所を軽く下見している程度だ」

2組の報告を受けている時、天幕に村がある東側の偵察に出ていた冒険者達が戻って来た。

「た、大変だ!東の村は武装集団に占拠されていたんだ!」

エルザのパーティメンバーである狐人族の斥候が慌てて報告する。

「占拠?」

妙な話だ。

情報によると、東にある村はあまり大きくない農村だったはずだ。

そこを占拠する事にどんな意味があると言うのか。

農村が戦争で受ける被害と言えば食料などの強制接収が筆頭だろうが、わざわざ占拠までする必要はない。

「詳しく話して」

「それが丘の上から村の中を窺ったんだけど、村のあちこちに武器を持った男達が居て、村人の姿はほとんど見えなかった」

もう1人、彼女と共に偵察に出ていた《灼熱の拳》の斥候の男もそれを肯定する様に頷く。

「それに家から逃げ出そうとした女を男達が引きずって家に連れ帰って行くのを見た。

それに水で流した跡が有ったが村の所々に赤黒いシミのような物が見えた。多分血痕だと思う」

「村が襲われたって事?抵抗した村人が殺されて、女性が囚われていると?」

「多分な」

私の周囲から騒めきが起こる。

民間人の生命に危害を加えたり強姦や強奪は戦時国際法違反だ。

そんな事をすれば、我関せずと静観している周辺国にまで非難される上、地元の住人全てが敵となりなりふり構わず抵抗する様になる下策中の下策だ。

食料の強制接収だとしても最低限の金品を渡すのが暗黙の了解と言うものだ。

そもそも、今回のサージャス王国の目的は領土の奪還だと聞いているが、奪い返すつもりの住人を弾圧するなど馬鹿としか言えない。

「一部の部隊の暴走かしら?」

「それが1番有り得そうだな」

「村を占拠している敵軍の規模はどう?」

「大体10人くらいだったよ」

私は顎に手を当てて考える。

囚われている村人を助けるべきか、様子を見るべきか……。

「村を助けましょう。敵兵を捕らえて尋問すれば少しはマシな情報が入るかも知れないわ」

「よし!いっちょ暴れてやるか!」

《灼熱の拳》のリーダー、トーマスが拳を打ち鳴らすが、私は彼を肩を叩いて宥める。

「貴方は留守番よ。

まだ陣地の設営が終わってないわ。

此処の守りを疎かには出来ないわ」

「じゃあ、誰が行くんだ?」

私は集まっている者達を見回して決める。

「私とエルザさんのパーティで行くわ。

陣地設営の指揮はミレイ、防衛の指揮はトーマスさんにお願いするわ」

「おいおい、なら俺達が攻め込んでエルザ達が防衛でも良いじゃねぇか」

「女性が囚われているのでしょう?

なら厳つい男達が助けに行くより女性パーティの方が良いわ」

「む……そうだな」

「貴方達には後々暴れてもらうから今回は此処を守って頂戴」

「……分かった、今回は譲ろう」

「ありがとう。そう言うことだからエルザさん、10分後に村に向かうわ」

「分かった。直ぐに準備しよう」