作品タイトル不明
異形のフリード②
暴食の魔導書に記録されている数多くの魔法を雨霰と打ち出す。
反撃も回避も許さない怒濤の連撃を受けたフリードは身動きすら出来ずに悲鳴をあげる。
炎で肉が焼け、風で切り裂かれ、氷に貫かれる。
しかし、痛みで苦しむ反面、その傷は直ぐに治癒してしまう。
「損傷した箇所での治癒速度の違いは見られないわね」
「治癒能力が高い魔物は核を持っているのが定番なのだがな」
システィアの言う通り、上位種のスライムの様な高い治癒能力を持つ魔物は、核から離れた部位ほど治癒速度が遅くなる。
そこから核の位置を特定するのが冒険者の定石らしい。
だが、フリードにはその特徴が無い。
魔物の治癒とは違う能力なのかも知れない。
「【泥槍】」
「ぐごぼっぉ」
私の魔法が途切れたタイミングでシスティアがフリードの足下から鋭い泥の槍を突き出す。
システィアの複合魔法【泥槍】は【水槍】の鋭さと【土槍】の頑強さを併せ持つ強力な魔法だ。
それを腹に正面から受けたフリード。
胴に大きな風穴を開け、口から大量の血を吐き出す。
「【聖光】」
「ぎやあぁぁ!!!」
そのまま倒れこむ所に詠唱を完成させたティーダの追撃が入る。
天から降り注ぐ聖なる光がフリードを焼き尽くす。
目が眩む閃光が収まった後に遺されていたのは僅かな灰だけだった。
「流石にこれだけやれば再生出来ないッスね」
「ああ、生物である以上、これで生きている筈はないだろう」
「……バアルやミレイ達は?」
視線を向ければ少しふらついているバアルの姿が有った。
足下には血の海に倒れ伏すグレナム。
「バアル、無事の様ね」
「問題ねぇ……と、言いたい所だが、正直かなりキツイ。
魔力が殆ど残ってねぇ」
「そう、ミレイ達は?」
「妙な魔法で転移させられたみたいだぜ」
「え⁉︎」
「心配はねぇよ、かなり限定的な魔法に見えた。
ミレイの姐さんなら無事戻って来るだろう」
バアルがそう言うと、まるで計ったかの様に空間が歪みミレイ達が戻ってきた。
かなり消耗している様だが、3人とも大きな怪我は無い様に見える。
「ミレイ達はバアルと……っ⁉︎」
私が3人にこの後の行動を指示しようとすると、フリードだった灰から魔力が吹き出したのだった。