作品タイトル不明
妖精のカンテラ②
「不思議な感覚ですね」
今日、初めて手にした私の神器。
しかし、その使い方は、初めから知っていたかの様に理解できる。
この【妖精のカンテラ】の効果は影を繋ぐ事。
一定の範囲内の影と影を自由に繋げて行き来出来ると言う物だ。
ルノアとミーシャは最低限の説明で上手く合わせてくれている。
あとは私の魔力が尽きる前に梟を倒せるかだけだ。
【妖精のカンテラ】に魔力を込めて能力を発動させる。
足下の影が揺らめき、一瞬で視界が切り替わる。
そこは梟のすぐ背後。
「っ⁉︎」
梟はその優れた反射神経で突然視界から消えて背後に現れたミレイに、勢いの乗った裏拳を繰り出すが、ミレイはすぐさま自分とミーシャの位置を入れ替えた。
梟の裏拳は、ミレイよりも頭2つ程背の低いミーシャの頭上を通過し、ミーシャの短剣は脇の下の鎖帷子が薄くなっている場所を狙って突き出される。
「……っ」
深傷ではないが、浅くもない。
そんな傷を時間を掛けて、しかし確実に、積み重ねてゆく。
「ふぅ、ふぅ、ふぅ」
梟は既に全身から流血し、意識も定まっていない事が分かる。
そして……。
梟の体がグラリと揺れ、その場へと倒れ込む。
すると、どこまでも荒野が続いている様に見えた空間に罅が入り始め、視界を覆う程に広がるとパリンと言う意外にも軽い音と共にミレイ達はナイル王国の王城の敷地内に戻っていた。
梟に意識が無い事を確認し、化け物と化したフリードやブラートと戦っている筈のエリーの方に目をやろうとする。
しかし、膝がいう事を聞かず、崩れ落ちそうになり、ミーシャに支えられた。
「大丈夫ですか!ミレイ様!」
「ミレイさん!」
「私は……大丈夫です。それよりエリー様は……?」
私はまだ戦闘音のする場所へと視線を移すのだった。