軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

因縁④

ジーク宰相の神器【氷牙】には強力な凍結能力がある。

その効果を使い、私の姿をした【氷人形】を凍結させた。

通常の【氷人形】は姿形を似せるだけの魔法だ。

だが、私は【暴食の魔導書】の能力を併用し、動き喋る【氷人形】を作り出したのだ。

それによって騙されたジーク宰相の隙を突き、背中から心臓を貫き、首を刎ねた。

「さて……」

【白霧】を解除してレッサーデーモンと戦っている精鋭騎士達の姿を確認する。

流石は精鋭、死者を数人出しながらも何とか持ち堪えている。

リスティアード卿が召喚するレッサーデーモンは弱い。

しかし、その数は驚異だ。

いくら倒しても次々と召喚されるレッサーデーモンに心を折られる者もいるだろう。

このままリスティアード卿に任せていても彼等を殲滅する事は可能だろう。

正直、彼等の戦力は惜しい。

だけれどブラート王に忠誠を誓う彼等は最後まで寝返る事は無いだろう。

ならば此処で殺しておく方が今後の為か。

リスティアード卿に目配せすると、彼は頷き、レッサーデーモンの配置を操作し、ハルドリア軍を包囲する様に布陣させた。

「はぁ、はぁ、エ、エリザベート様……」

「悪いわね。貴方達には死んで貰うわ」

「…………」

「それとも私に付いて来る?」

「…………それは出来ません。我々はブラート陛下に剣を捧げております」

「そう、残念だわ」

騎士達を斬り捨てようと踏み出した瞬間、飛来する魔力を感じて反射的に跳び退がった。

私と騎士達の間に暴風を纏った人影が突き刺さる。

土煙が辺りを覆い隠すが、すぐに突風によって吹き飛ばされた。

そこに立っていたのは小柄な人影。

私はその人影にゆっくりと近づいた。

小柄で中央部大陸では珍しい黒髪を腰まで伸ばしており、その瞳は翠、チグハグな印象を持つ髪と瞳が不思議と調和した美しい少女だった。

剣の間合いの少し外で足を止めて視線を合わせる。

「久しぶりね、アデル」

「お久しぶりです。エリザベート姉様」

数年振りに会ったアデルは、私の記憶にある頃よりも頭2つ程大きくなっていて、私の後を『姉様〜』と言ってついて来ていた頃の愛らしさと、重責を負う王族としての風格の両方を宿していた。

身に着けているのはハルドリア王国の軍服、その上に艶やかな花と風を図案化した南大陸風の上掛けを羽織っている。

相当な魔力を発している事から、高位のマジックアイテムか……いや、神器ね。

アデルは背後にハルドリア王国軍の生き残りを庇い、私の目を見て言った。

「エリザベート姉様、此処は引いて頂けませんか?」

「無理ね。彼等の戦力は無視出来ないわ。王国を裏切る可能性も無いとなると、殺せる時に殺して置かなければならないでしょ?」

「ボクが彼等に手を出させないと言ってもダメですか?」

「ダメね」

アデルの顔に僅かに緊張が増す。

「貴女は以前、お互いに手出しをしないと言う協定を結び、それを反故にした。

貴女の意思では無かったのかも知れないけれど、契約に反した事は事実。

故に貴女をすぐに信用する事は出来ないわ」

「ボクは!……ボクはこの戦いを止める為に来ました。

既にハルドリア王国の王宮はボクが掌握しています。

父上と兄上の凶行を止めに来たのです」

「そう。その言葉はきっと真実なのでしょうね」

「エリザベート姉様!」

「でも、全て嘘で私を騙し帝国に侵攻する計画である可能性もある」

「そんな……」

私はアデルの言葉を手を差し出して止める。

「信用を失うとはそう言う事よ、アデル」

「…………」

「私も貴女とは戦いたくは無いのよ。

投降して頂戴。捕虜として丁重に扱う事は約束するわ」

「…………それは出来ません、今はまだ」

「そう」

悲しいがコレが戦争だ。

私は魔力を練りながらフリューゲルと短剣を構えるのだった。