作品タイトル不明
10トンダンブカーを購入
そのあとも、次々と冒険者達が階段を降りてきてすれ違った。
全てが会釈を互いにして別れただけ。
犯罪者は、ダンジョンに入ることが出来ないという大前提があることもあり、深くは干渉して問題を起こすような真似を起こす人間はいないようであった。
ただし、人が見ていないところではモンスターを放置して階層を移動するパーティや人もいるようだが。
俺達の力はあまり見せたくないので、なるべく他の冒険者とは狩場を共有どころか目撃してほしくない。
そのため地下16階層に上がり、人の気配がないことを確認したあと俺は地下17階層に戻る。
「MAPを確認した限り、地下16階層から、この階層にくるパーティはいないようだから先に進むとしよう」
「OK」
「分かりました」
浩二とミツハと共に、ドームから出る。
そのあとは地下18階層に向かって移動する。
道中は、モンスターがまったくでないことから、先行した冒険者一団が倒したのだろう。
「狼が10匹くるぞ」
周囲を確認していたところ、森から飛び出てきた狼をアイテムボックスの上空からのMAPチェックが捉えた。
「了解!」
弟の浩二が自身のアイテムボックスから剣鉈を取り出し、ライオットシールドで防備を固めた。
そして20秒ほどで日本狼の姿が確認できた。
「アイスランスX10」
空中に作り出した氷の氷柱を音速の速さで飛ばす。
3匹、俺のアイスランスに反応し避ける。
残りの7匹は、アイスランスにより串刺しになり即死。
「よけられたか」
「問題ない!」
浩二がダッシュでライオットシールドを構えながら突っ込んでくる日本狼と衝突。
鈍い音と共にライオットシールドが撓って日本狼が吹き飛ぶ。
地面を転がっていく様子を見逃さずに、ミツハの高圧のウォータージェットが、日本狼の体を両断した。
「残り2! アイスランス!」
浩二に襲い掛かろうとしていた2匹の狼の内の一匹。
「きゃうん!」
その腹を俺の作り出したアイスランスが横から貫く。
アイスランスに貫かれた日本狼は吹き飛び、ミツハのウォータージェットにより首を切り飛ばされた。
そして残り1匹は、浩二がライオットシールドで防ぎ、犬の態勢を崩し剣鉈で首を切り飛ばしていた。
戦闘が終わったあとは魔鉱石を回収する。
すると日本狼の切り飛ばされた頭だけ光の粒子になって消え、その胴体だけ魔鉱石ごと俺のアイテムボックス内に入った。
「どうやら、魔鉱石が存在している胴体と切り離されてると頭は消えるみたいだな」
「それって、繋がっていると魔鉱石の一部って認識されるってことか? 兄貴」
「わからん」
一応、ダンジョンに来る前に日本狼の事に関しては調べたが、日本狼の魔鉱石は解体しないと取り出せないから最初期は解体している冒険者もいたが、買い取り価格が高くないし風を生み出すくらいしか能がないから日本狼を倒したあとは解体もせずに放置するのが基本だと日本ダンジョン冒険者協会の掲示板には書かれていた。
まぁ、そりゃ日本狼の魔鉱石とゾンビの魔鉱石の買い取り価格が同じならゾンビの方がはるかに倒しやすいからな。
そりゃ日本狼をわざわざ倒してまで解体するような冒険者はいないだろう。
俺だって日本狼は解体せずにアイテムボックスにまるごと死蔵してる状態だし。
「でも、兄貴」
「どうした?」
「車では移動しないのか?」
「ほかの冒険者が徒歩で移動している中、車で移動していたらアレだろ?」
何か言われそうだ。
少なくとも、掲示板には書かれそうだ。
「気にしなくてもいい思うけどな」
「まぁ、車を使うのは人が居ない時だな」
幸い、先行冒険者達が向かった先とミツハが指を指した地下18階層へ通じる階段への行き先は同じなので、俺達は道中に出てくる日本狼を殲滅しながら地下18階層へ通じる道を歩く。
「遠いな……」
「だよな」
「でも、ゾンビの時と違って日本狼は魔鉱石を討伐しないと取り出せないんだよな」
そうなると乗用車だと不便だ。
「今度、トラックでも持ってくるか。荷台に乗って魔法で討伐して回収すればいいだろうし」
「兄貴、人に見られたら困るという話はどこに?」
「何時間も歩いたら流石にそんなきれいごとは言ってられない。ということで、今日は帰還してトラックを買いにいくぞ!」
スキル【ワープ】で自宅に戻ったあとは、近くの中古販売店に駆け込み、すぐに運転が出来る10トンダンプカーを購入した。