作品タイトル不明
緊急国際会議 第三side
――日本政府がEUの石油備蓄量が尽きるという発表をした3日後、カタールの首都ドーハにて緊急国際会議が開かれていた。
日本からは、9割の政治家が死んだ為に人材不足から川木官房長官が出席していた。
「私の仕事ではないのに……」
「我慢してください」
そんな川木を支えるように付き添っていたのは外務省の面子であった。
外務省も事務次官から参事官、さらに職員に至るまで2000人近くのクビが落ちて、省庁としては動けてはいたが余裕が無かったため、川木官房長官の付き添いは平の公務員であった。
本来であるなら、課長職に上がるまでが限界な国家一般職で就職した者たちであったが、上に君臨していたキャリア組が一掃された為に参事官に抜擢されてしまったのだった。
「ところで、たしか君は舛添君と行ったか?」
「はい」
「今回の緊急国際会議の話は、内容は聞いているのか?」
「具体的な内容ですと、日本に対する経済制裁勧告に近いものかと」
「そうか……。だが、いま日本は経済制裁をされても全てを国内で需給できるからな。そこまで問題ではないよな……」
「それは、そうなんですが……」
川木官房長官の呟きに、外務省参事官の舛添も苦笑いを見せる。
現在の日本の状況を正しく理解しているなら、経済制裁なんて愚の骨頂だということは、子供でも分かることであった。
何よりも一番大きいのは食糧需給率。
それが既に2000%を超えており、石油製品については太平洋ゴミベルトのゴミを半年前からゴミを片付けるという名目で膨大なプラスチックゴミを数万人の冒険者を雇用して回収に当たらせているのだった。
「とにかく、日本政府がEUの石油備蓄量について報道したことは、EU諸国からかなりの不興を買ったようです」
「そう言われてもな……。遅かれ早かれ分かることだから、我が国の魔鉱石エンジン発表と同時に、石油備蓄量が限界に来ることは説明するべきだろう? 商機を含めて」
「それはそうなんですが……。――とにかく、日本政府としての立場としては、魔鉱石エンジンの技術は流出させない方向でお願いします。魔鉱石エンジン技術は、大型発電設備技術と連動しておりますので――」
「分かった」
川木官房長官が、各国首相や代表が並んでいる光景を見てから日本国の定位置に座る。
そこはアメリカ合衆国大統領の隣であり、
「川木。聞いたよ。神様を怒らせたって?」
「……色々とありまして」
「なるほどね。――で、前回の話はどうなったのだ?」
「どうなったとは?」
「だからアメリカとEUが連携して対応に当たる予定の樺太の話だよ」
「……」
「どうして、そんな絶句した表情を……まさか……」
「どうやら、前首相の謙島は、国会の場においてアメリカからの提案について話すかどうか検討することを検討していたようで、話が来ていなかったようです」
「……つまり、何一つ、話は進んでいないと?」
剣呑とした雰囲気をアメリカ合衆国大統領ルーズバルトは醸し出す。
「大統領」
「何だね?」
「我が国、日本を援護して頂けるのなら樺太の件は国土こそ日本ですが対応はアメリカ合衆国ということで一任することを考えています」
「ほう……。つまり魔物に占領された樺太の扱いは我が祖国アメリカに任せた上で領土だけは主張すると?」
「そうなります。もちろん魔物から出た魔鉱石などは全て持って行ってもらって構いません」
「ふむ……。よかろう。――で? それの見返りが日本を擁護するという事だが、何かあるのか?」
「魔鉱石エンジン技術について、諸外国には提供しないということを明確にしたい為、アメリカ合衆国大統領の力をお借りしたい」
「それは難しくはないのか? 分解されて解析されたら意味はないだろう?」
「そこは大丈夫と聞いております」
「ふむ……。それで川木よ。魔鉱石エンジンの技術だが同盟国には――」
「技術をお渡しする事はできません。あくまでも企業が開発したものですから。ただし、魔鉱石エンジンについては、同盟国であるアメリカに率先して回すことをお約束しましょう」
「ふむ。それならばいい。――では、アメリカ合衆国は日本の擁護に回るとしよう」
アメリカ合衆国大統領と、川木の内緒な話が一段落ついたところで、緊急国際会議が始まった。