軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

米農家の知り合いがいるらしい

考えも纏まったところで、携帯電話を取り出す。

そして実家の電話番号へコール。

数コール鳴ったところで、通話開始のアイコンに表示が変わるのを確認してから

「おれおれ」

「俺俺詐欺は受けつけてないわよ」

「お宅の息子は預かった。返してほしければ――」

「お金はありませんので好きにしてください」

「ひでえ……」

「ふふーん。それよりも、あんたから電話なんて何かあったの?」

電話に出たのは俺の母親。

相変わらず適当な会話で通話が始まるな。

「昨日、ダンジョンに行ったんだが、野菜とフルーツを大量に採取してきたんだけど食べる?」

「あれば食べるわよ」

この送っても、まったく有難みを感じない言葉。

流石は、俺の親なだけはある。

「分かった。適当に着払いで送っておくから」

「それなら、持ってきなさいよ。どうせ、仕事をクビになって暇なんでしょう? それに動かないと太るわよ?」

「そこは、もう少し、手心を加えたりはできないのか」

「しても現実は、あんたは無職なんだし。さっさと働かないと、そのボロアパートの家賃すら滞納になるのよ? そうなったら、あんたに名義を貸しているお父さんに支払いの催促がくるんだからね」

「わかった。わかったから」

どうして、俺の母親は、こうもボディーブローを的確に言葉に乗せて放ってくるのか。

「じゃ、あとでそっちいくから」

電話を切ったあと、自転車に乗り30分ほど距離のある実家へと向かう。

実家に到着すると、俺を出迎えてくれたのはペットの小次郎であった。

シーズーの小次郎は、もう15歳という老犬で歩くのも大変な体調だが、俺が実家に行くといつも出迎えてくれる。

「よーし、よしよしよし」

動物王国の人の如く、15歳の老犬シーズーである小次郎を労わる。

あー、癒される。

ボロアパートに一人で暮らしていて彼女がいない俺の身としては、アニマルセラピーっぽい何ががある小次郎とのふれあいが、心を洗濯してくれるようだ。

「ほら、さっさと入りなさいよ。虫が入ってくるでしょ?」

そして俺の母親の言葉は棘が酷い。

「まったく。せっかく息子が顔を出したというのに酷い言われようだ」

「別に息子だから遠慮なく言っているだけよ? それより手ぶら?」

「きちんと持ってきた」

キッチンに移動し、アイテムボックスから野菜を取り出していく。

「とりあえず、どのくらい野菜いる?」

「食べられるだけあればいいわよって!? あんた、どこから野菜を持ってきたの? 手品?」

「アイテムボックスだよ。たぶんニュースとかになっていると思うけど」

「そういえば、昨日の夜にアイテムボックスという非現実的な事象が起きたってニュースになっていたわね」

「へー」

昨日の夜の時点でニュースになっていたのか。

思っていたよりも、マスコミと日本政府との繋がりが太いようだ。

もしくは、それだけ急いで情報を拡散させる必要があった?

「あんた、当事者なんだから、ニュースくらい見ておきなさいよね」

「悪いが! 俺の家にはテレビはないんだ!」

「はあー。それよりも、あんたがアイテムボックス持ちね。もしかして色々な野菜が入ってる?」

「野菜どころかフルーツもあるぞ」

俺は、ちょっとばかり自慢するかのようにスイカやメロン、バナナなど20種類くらいのフルーツを出していく。

「ダンジョンってすごいわね……」

「それだけじゃない。なんと! 新米があった!」

「本当に? 最近、米が高くて困っていたのよね。流石、自慢の息子だわ!」

「そんなに持ち上げても何も出ないからな」

まったく調子の良い母親だ。

俺はアイテムボックスから稲穂つきの新米の束を取り出してキッチンの上におく。

「稲穂付きで持って来なくていいから、玄米にして持ってきて」

「注文の多い親だ」

「そりゃ親ですもの」

「だが! 精米にする手段がない! つまり、しばらくは新米にはできないからアイテムボックスの中に死蔵かな?」

「なんですって!? 酷いわ! 白米の代金も高いのに!」

「いや、そもそも、俺は米を置いていくとは一言も言ってない。それに、さらっと白米とか言っているのドン引きなんだが……」

「そりゃ親ですもの」

「親って言葉で何でも許されると思うなよ」

「仕方ないわね。それなら、お父さんが農家さんと知り合いだから精米できるかどうか聞いてあげるわ。それで何キロくらいありそうなの?」

「稲穂付きだから分からないが、5トンくらいある」

「よく分からないわね。何トンの白米になるのか」

「まぁ、俺も母さんも農業やったことがない素人だからな」

「ちょっと待って! お父さんに電話してみるから」

しばらく電話をしたあと母親が俺を見てくる。

「玄米までは精米してくれるみたいよ? でも、3割くらいは手数料としてほしいみたいだけどどうする?」

「それって玄米に精米してくれる知り合いの農家に3割渡すってことか?」

「そうそう」

「それなら是非と言っておいてくれ」

「分かったわ」

よし、これで何とか玄米にする手段が確立できたな。

稲穂つきの米とか、ダンジョン産ではあるが若返りの効果のあるやつとないやつが混在しているし、99%は普通の米なので、取扱はそこまで気にしなくてもいいだろう。