軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

177・猫の肉球圧迫面接(前足)

士官学校の学祭見学から、ホルト皇国の外交官・リスターナ子爵への懐柔工作を経て――

ルークさんが「秋の王都」で今回予定していたお仕事は、ある程度、きちんと消化できた。

詳細は省いたが、ペーパーパウチでお世話になるクロスローズ工房にも顔を出したし、ルーシャン様ともトマト様の交易・販売に関する打ち合わせを済ませてある。

とゆーか工房のクイナさんには、リーデルハイン領での工場建設のために、先日から何度も往復してもらっているのだ。工場の設計や動線などに関しても相談に乗ってもらっており、実は本社+社員寮(一つ目)までもう完成している……

こちらは建設会社・雉虎組の皆さんがあっという間に作ってくれたのだが、領内の工事業者に発注がなかったことから、「一体誰が、いつの間に……?」と噂になっているらしい。

……なお、建築主は謎多き「トマティ商会」であり、領主のライゼー様は土地の使用許可を出しただけで、(表向き)関与していない……

経済を回すために地元の工事業者さんに仕事を振りたかったのは山々なのだが、今回は設計面で試してみたいことが多く、こちらの世界としてはかなり先進的とゆーか、変な間取りやギミックを搭載したので……また工期の都合もあり、こちらで進めてしまった。

具体的にはキャットウォーク(俺用)とちっちゃいゲート(俺用)がたくさんある。俺用の執務室(狭い)とか俺用のオフィス家具(小さい)とかもある。警備を担当するサバトラ抜刀隊の詰め所まであり、ちょっと人間の大工さんにはお願いしにくい変な仕様が山盛りになってしまった……猫用のビリヤード台とかね……どこに需要があるんだっていう……(福利厚生)

さて、本日の予定であるが。

「ルーク、商人ギルドに出しておいた『トマティ商会』の求人なんだが……短期間の掲示だったにもかかわらず、応募者が十五人もいたそうだ。一人あたり十五分で面接の時間割を組んでもらったが、昼休憩を挟んで四時間くらいはかかりそうだぞ」

「十五人! それは楽しみですねぇ」

ライゼー様からの嬉しいお知らせに、俺は目をキラキラさせた。

クラリス様達の留学は、どんなに早くても年明け後の話……

その前に! まず! トマティ商会の! 事務員の! 確保を!

……そう。このままだと来年、どう考えてもルークさんの実務系の負担がヤバいことになる……

王都で頼れそうな商人をスカウトしたかったのだが、『じんぶつずかん』でチラッと見て有能そうな人というのは、だいたいがすでにどこかの商会で働いている。当たり前の話である。

かといって有能人材の引き抜きとなると、先方に迷惑がかかったり悪評が立ったりもするので……「どうしたものかなぁ」と思案していたら、「……いや、こういう時のための商人ギルドだろう。普通に求人を出したらどうだ?」と、ライゼー様からご助言いただけた。

求人! そういうのもあるのか!

……いや、間抜けは百も承知なのだが、そもそも前世で経営者になったことがないルークさんには、「求人を出す」という発想が抜け落ちていた……人材はスカウトで集めるものとばかり……

商人ギルドは求人を仲介してくれるだけではなく、面接用のスペースまで貸してくれるらしい。もちろん有償であるが、価格設定は良心的だった。元商人のライゼー様はさすが、このあたりの事情にもお詳しい。

そして今回、求人を出したのは、『リーデルハイン領』へ移住し、本社側の事務や諸々の作業をこなしてくれる人材。

王都側には協力を申し出てくれた同じ軍閥のスターリット・ホルムズ男爵や、アイシャさんの孤児院の子らもいるし、人手が必要になるのは開店の時期である。

しかしリーデルハイン領の『トマティ商会』本社には、現状、社員が俺一匹……(※経営者)

リルフィ様や冒険者チームのケーナインズ(※入社は内定済み)もお手伝いしてくれているが、まだ商会の 体(てい) を成していない。やっている業務もメテオラへの物資支援とか領内に建てた本社や社員寮・工場の建築申請とか設計とかトマト様の耕地拡張とか……やっぱり猫がやるべき仕事ではないな……?

今回は、なにせ 僻地(へきち) への移住が前提となるので、希望者がいるかどうかはかなり不安だったのだが……十五人も集まるとは想定外。これぞまさしくトマト様のご加護であろう。

トマト様の下僕候補として全員採用したいくらいなのだが、スタートアップ段階ではさすがにそうもいかないので、まずは幹部候補となる数字や帳簿に強い人を三人くらい確保したい。

そんなわけで、リルフィ様やクラリス様達にキャットシェルターで見守っていただきつつ、俺はウェルテル様に抱っこされ、ライゼー様と共に商人ギルドへ!

そう。今回の面接官はこのお二人、ライゼー様とウェルテル様である。

「領主と領主夫人じゃねぇか!」と突っ込まれそうだが、筋書きとしては「トマティ商会のルーク・トマティ氏に、友人として王都での採用面接代行を依頼された。今回は領民としての移住も前提になるため、これを請け負った」という流れである。

通常ならば有り得ない 措置(そち) だが、ライゼー様は元商人でウェルテル様は商家の娘。王都の商人ギルドにも古くからの知人がおり、「貴族から商人に戻りたくなりました?」なんて冗談まで言われていた。

ライゼー様はにっこり笑って「うん」と頷いたが……相手が困っちゃうからそこは否定しとこ……?

なお、もちろん面接には猫も同席する。テーブルの上でおとなしくしている予定だが、採用・不採用の決定権は猫にある。にゃーん。

……しかし採用面接か……砂神宮でパスカルさんを受け入れた時にもやったが、あれは相手が有能すぎて、採用面接というよりコンサルティングのよーな感じであった。今回はさすがにあのレベルの人材からの応募はあるまい。

……あったら怖い。パスカルさんは普通に裏社会の人である……

さて、王都の一等地に建てられた商人ギルドは、レンガ造りの威風堂々たる佇まい。「おかねあるよ!」と見た目で主張してくる頼もしさ。

ギルドの長は公爵家のお貴族様であり、国営ではないものの、それに準ずる機関となっている。

ちなみにネルク王国の各種ギルドは、魔導師ギルドのトップが慣例的に「宮廷魔導師」、商人ギルドは「公爵家」、冒険者ギルドは「国王」という……いや、あくまで「建前上は」という話であり、ルーシャン様以外は実務にまでは関わっていないのだが、要するにお貴族様の庇護下にある。

冒険者ギルドのトップが国王なのは、「魔獣の駆除」とか「迷宮の管理」が、国益とゆーか国家の戦略とも密接に関係するためで……本来は、他の貴族による圧力とか変な利権化を防ぐ目的もあったらしいのだが、そのせいで先代陛下の浪費癖に巻き込まれて予算を削減され、一時期やべぇことになってしまった。

リオレット陛下が即位してから早い段階で是正を約束したものの、疲弊した現場からの反応は期待半分、不安半分という感じ……しかし、ここにリーデルハイン領から「新規ダンジョンの発見、その調査依頼」「さらにケーナインズからの確定報告」という朗報が舞い込み、上層部はこっそり沸き立っているとかなんとか。

このタイミングでの迷宮発見報告は陛下にまで感謝されてしまった。

しかし、商人ギルドの窓口や登録者にまでは、この噂もまだ伝わっていないので――今日の面接希望者達は「ダンジョン発見!」のことまでは知らぬ。

ダンジョンが公表された後なら、十五人どころではなく希望者が殺到したのだろうが、そうなると今度は求めていないタイプの人材も増えてしまう。じんぶつずかんで見分けるのは可能にしても、そういうマイナス方向の労力はなるべく避けたい。

そう、今回欲しいのは「一攫千金!」を狙う野心家や山師ではなく、トマト様の日々の繁栄を共に支え、堅実に商売を広げていける良識ある身内なのだ。なるべく長く働いて欲しいので、「将来的には独立を考えてます!」的な人も避けておきたい。

我々が面接用のレンタルルームに入ると、すぐに最初の一人目が誘導されてきた。案内係はケーナインズの魔導師、シィズさん!

さきほども軽く触れたが、ケーナインズの皆様はもう社員として内定している。事務手続きの都合で、まだ採用の書類こそ作っていないのだが、冒険者との兼業とゆーか、「トマティ商会に所属する冒険者」みたいな立ち位置だ。

繁忙期には商会側のお仕事を、閑散期には迷宮の攻略を任意で――という契約で、いろいろ便利に動き回ってもらう予定である。

リーダーのブルトさんは建築関係に強いし、魔導師のシィズさんは魔力が必要な魔道具各種を使用できる。狩人のウェスティさんはいろいろ器用で頭の回転も速く、戦士のバーニィ君は真面目で労働を 厭(いと) わない。見た目のステータス以上に優秀な方々である。

ちなみにバイオリンが上手いハズキさんは、オルケストの街で少しずつ演奏家活動を始めている。プレゼントした魔道具のバイオリン「夜の猫」との相性も良いようで、先日のお茶会でもステキな曲を弾いていただいた。そろそろ店頭でリピート再生する予定のトマト様販促ソングも作り始めるか……(案件+1)

しかし優秀なケーナインズの皆様も、数字に強いわけではなく、事務処理や法律関係には疎いので……今回求めている商会事務系の人材とはちょっと方向性が違う。やはり人には得手不得手があるのだ。

さて、面接の一人目は三十代の男性商人。にこにこと愛想の良い人で喋りもなめらか、一目で「あ、有能そう!」という印象である!

リーデルハイン領には以前から興味があったそうで、ライゼー様が面接担当であったことには驚愕しつつ、良い感じに話が進行した。

そして退出後に、猫は一言。

「不採用で」

「ん」

待たせている次の方が外にいるので、ライゼー様もいちいち詳細は聞かぬ。今回の採用・不採用は猫に一任されているのだ。

……結論から言えば、今の人は他の商会から派遣されてきたスパイである。

事業が有望そうなら情報や商材を盗み、警戒にも値しないレベルなら「一身上の都合」でさっさと退職するという、毒にしかならぬ輩……求人でこういう人材が紛れ込むのは警戒していたが、「じんぶつずかん」さんは本当に頼りになる!

ちなみにステータス的にはまぁまぁ優秀だったので、スパイ目的でなければ採用決定であった……惜しい。

その後もぼちぼちと面接は進み……二人目は数字に弱く、三人目はお店のお金を使い込む常習犯ということでスルーし、四人目。

金髪ショートで、凛とした雰囲気の涼やかなびしょうじょ……えっ。若っ。

「王立士官学校、技術課程を今年卒業見込みの、ナナセ・シンザキと申します。よろしくお願いいたします」

なんと知ってる人が来た!!

この方はクロード様の先輩で、弓の試技にも参加していた子である! メイドカフェで接客もしてもらった。

シンザキ商会のご令嬢という話だったが、なんでこんな得体の知れない商会(※自虐)の求人に応募を!?

俺は猫特有の虚空を凝視する仕草で、こっそり堂々と「じんぶつずかん」をチェック。

もちろんウェルテル様もすぐに気づいた。

「あら? あなたは、クロードの先輩の……?」

「は、はい。先日の学祭では、お越しいただきありがとうございました。あの……今日の面接は、トマティ商会の方がいらっしゃるものと思っていたのですが……もしや、ウェルテル様が商会の長ということで……?」

ナナセさん、ライゼー様のことはご存知ないらしい。メイドカフェにも行ってないしなー。

ウェルテル様が慌てて否定する。

「あ、違うの! 私と夫のライゼーは、王都での面接代行を頼まれただけで……トマティ商会の社長さんは今頃、リーデルハイン領のほうでお仕事をしているわ」

……という設定である。実際はテーブルの上で毛づくろいしてるけどな!

ちなみに「商会」なのに、「会長」ではなく「社長」なのは、ちょっと不思議に思えるかもしれないが……我が商会の場合、「会長」職は社長引退後の名誉職にする予定であり、実務のトップは社長という設定になっている。

つまりルークさんが将来、「おしごとつらたん……」となった時、たぶん後任者に社長職を譲り、猫は会長になって優雅にお昼寝三昧の生活をするのだ。ヒャッハー!

……だいぶ将来の話になりそうだな……?

「夫って……ライゼー子爵……!? し、失礼しました。まさか、領主様が面接をされているとは思っていなかったもので……」

「はは、驚かせてすまんね。私は三男坊だったものだから、一時期、商家へ養子にだされていたんだ。元商人でもあるし、商人ギルドの登録もまだ残っていて……その縁で、地元の商会主、ルーク・トマティ氏から今回の面接代行を依頼された。王都へ来る用事があったものだから、そのついでだ」

「そうでしたか。ルーク氏……そちらの猫さんと同じお名前なのですね」

ぎく。

メイドカフェにもいたし、周囲の女子高生どもが俺を『かわいー! かわいー!』と構ってくれていたので、まぁ、名前は知られているだろう……

しかし「ルーク」という名前自体は人でも猫でも別に珍しくないので、そのまま世間話的に流される。

「……つまりトマティ商会には、リーデルハイン子爵家の後ろ盾がある、と解釈しても?」

「後ろ盾……まぁ、そうだな……いや、どうかな……逆かも」

……なんで迷ってんの、ライゼー様。逆って何。「トマティ商会がリーデルハイン子爵家の後ろ盾になる」とでも?

ウチなんて王弟(将来の国王)と宮廷魔導師が共同出資しているだけの、猫(※亜神)が社長やってるただの新興商会じゃないですか――って、よく考えたら充分やべぇわ。なんだこの商会。

「ま、まぁ、友好的な関係であることは間違いない。ただ、リーデルハイン家の傘下ではないから、そこは誤解しないでくれ。あくまで領内に本社があって、友人関係というだけだ」

これはまぁ建前である。子爵家でも後ろ盾としては機能するのだが、たとえば軍閥内部の他の貴族から「頼み事」の形で不利な取引とかを拝み倒されてしまうと……ちょっと断りにくい。要するに角が立つ。

これに対して「いえいえ、その商会はうちの領内に本社があるだけで、別にうちの持ち物ではないので――」と言い訳するためには、こうした建前が有効なのだ。

「後ろ盾がないと普通に圧力をかけられるのでは?」という懸念もあろうが、これに対してはより上位のルーシャン様や王弟ロレンス様の存在が効いてくる。この二人に圧をかけられる人材はそう多くない。

「ではまず、志望動機を聞こうか。あ、その前に確認なんだが……シンザキ商会のご令嬢とのことだが、ご実家で働くという選択肢はなかったのかね? いや、トマティ商会は新興の……身も蓋もない言い方をすれば、実績も信用もない新参者だ。そちらのご実家のほうが、就職先としてはよほど魅力的かと思うんだが」

自虐ではなく、これは俺も「アレ?」と思った点である。

ナナセさんは苦笑い。

「令嬢などでは……ただの次女ですし、兄も二人いますので、家からはむしろ『よそで働いたほうがいい』と言われています。シンザキ家には、『家業が潰れても誰かが生き残れるように、後継ぎ以外はなるべく他業種へ進出しておく』という基本方針がありまして……また、そうやって各分野に親族が定着した結果、その縁を良い商売につなげられる環境も整いつつあります。シンザキ商会は建材、家具、調度品や文房具など、木製の工業製品を中心に扱っていますので、農産加工品・飲食物を扱うご予定の御社とは、あまり接点がなさそうですが――同時に競合する部分もありません。一族のリスク分散として家の方針には合致していますし、御社で建築資材が必要になった場合などには、多少の融通をつける形でお役に立てるものと思います」

若いのにたのもしい……

いざとなったら実家の力も利用する! という交渉術には異論もあるかもしれぬが、ルークさん的にはむしろ大歓迎。「立っているものは親でも使え」の精神である。味方につける商人はこういう効率的な人のほうがいい。ここで「実家に頼るとかちょっと……」みたいな意地を張ってしまうタイプよりだんぜん頼りやすい。

そしてナナセさんは、やけに力のこもった目で笑った。

「それから、志望動機についてですが――商人としての直感、などと言っては生意気ですが、私は御社の……トマティ商会の可能性を疑っていません。実は先日、魔導研究所にいる知人から、『トマト様のバロメソース』を分けていただきました」

え。誰だ? じんぶつずかん、じんぶつずかん……あ! この子、アイシャさんの知り合いだ!

そういや「士官学校に友達がいる」って言ってたな……以前、アイシャさんはクロード様の「ドラウダの魔弓」というあだ名を知っていたのだが、あれもこの子が情報源か。

シンザキ商会は王立魔導研究所とも取引があり、ナナセさんは家業のお手伝いでたまに出入りしていたようである。で、年の近いアイシャさんと知り合い、仲良くなったと記述されていた。

王立魔導研究所には、試食品としてまとまった数のバロメソースを渡してある。「宣伝用に、口コミで噂を広げてくれそうな知り合いへバラまいてください!」ともお願いしたので、そのうちの一本が彼女へ渡っていたのだろう。

「あのソースは衝撃でした。食味の素晴らしさはもちろんですが、他の作物では代用できない味です。トマト様という新しい作物には興味以上の期待を持ちましたし、そのポテンシャルと可能性は、商人としての人生を賭けるに値するものだと判断しました」

採用ー。この子、採用ー。

ルークさん的にはもうこの時点で決定なのだが、しかし面接は続く。

「ふむ。我が領地は、王都から馬車で片道一週間ほどもかかる僻地だが、移住に問題はないかね? 王都育ちの若い君に、田舎暮らしは退屈ではないかとも懸念しているんだが……」

「はい、それは問題ありません。トマト様の交易事業はおそらく多忙になりますので、退屈を感じる余裕などはないものとも考えていますが……リーデルハイン領まで行ったことはありませんが、母の実家がラドラ伯爵領にあり、祖父母も健在ですので、どのような土地なのかは概ね把握しています。また、士官学校でお世話になったクロード様からも領地のことをうかがっています。人は少ないものの、自然が豊かで水が豊富で、気候の穏やかな生産性の高い領地であると……つまり、トマト様の増産によってこれから発展する余地が多く、トマティ商会はきっとその原動力になれるでしょう」

要は「田舎なのは知ってる」「空き地が多いのは発展の余地があって良い」「すべてはこれから!」という、実に頼もしい認識である! ちゃんといろいろオブラートに包めているのも良い。本当にアイシャさんの友達か? あの子にこんなまともな友達がいたの?(偏見)

「ついでにいえば……王都は人口が多い分、販売店などは成立しやすいのですが、今いる商人達の権益やつながりが強すぎる上、広い土地がもう残っていないため、拠点としては手狭で……有望な特産品さえあれば、その産地に拠点を構えるのは良い策だと考えます。ドラウダ山地に隣接するリーデルハイン領は、交易の『中継路』には不向きですが、輸出品の『出発地点』としては何の問題もありません。そこに本社を構えるというトマティ商会の判断には、領内の経済を活性化させる目的もあるものと推測していますし、領主のライゼー様がわざわざ採用面接までされていることで、改めてそう確信しました。次の領主がクロード様ならばなおのこと、私にとっては安心して働けそうです」

……満点では……?

ウェルテル様とライゼー様まで「ほう……」と感心してしまっている。

なお、じんぶつずかんのステータスがこちら。

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■ ナナセ・シンザキ(17)人間・メス

体力C 武力C

知力B 魔力D

統率C 精神C

猫力77

■適性■

弓術B 商才B 経理B 話術B

法務C 税務C 算術C

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まだ学生なのに商才B、経理B、話術B! これぞ 老舗(しにせ) の英才教育の賜物であろう。しかも士官学校でもちゃんと学んできたことがわかる適性の幅広さ!

法務とか税務あたりは、B評価でほぼ一流、C評価でも現場レベルでは十分に「有能!」と断言できる。これがA評価になるのはもう専門の学者さんクラスなので、年齢を考えれば破格の有能さといって良い。

ククク……実に良い人材を手に入れた。これだけでも秋の王都へ来た甲斐があったというもの……こんな逸材をわざわざよそに放出していただけるとは、シンザキ商会さんは太っ腹である。

まぁ、そこそこメリットがあるのもわかりますし、こちらとしても良好な関係を築ければ嬉しいのだが。

採用確定時にはルークさんからの自己紹介もするとして、猫力もまぁまぁ高い。面接中にもちらちらと俺へ視線が飛んでくる。モフりたそう。

そんなわけで、まずは採用一人目が確定!

……そしてこの後にも、ちょっと想定外な人物が現れ、面接担当ルークさんはしばし考え込む羽目になるのだった。