軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

生態系の覇者 ⑬

迷宮ってダンジョンのことだよね!?

この渡河地点はレティアの町からたった2日間で来られる距離にある!

しかも、徒歩でだよ!?

迷宮化の疑いがある採掘場を見ても分かる通り、ダンジョンというものは何の原価を掛けることもなく魔獣が湧き続けるんだよ!!

これは、すごいことだよ!!

一週間掛も掛けて死霊系のダンジョンに行かなくても無限に魔石が採れる!!

ふおおおおおおっ!!

欲しい!! 絶対に欲しい!!

何としてもウォーレス領のものにしたい!!

安価な魔石が無限に手に入れば、スライム畑計画が一気に進展する!!

「新たな迷宮の発見など数百年ぶりだぞ!」

「フレイア! 何が根拠だ!?」

「慌てるな。可能性の一つと言っただろう」

大声で食い付かれたお母様が五月蠅そうに顔を顰めて耳の穴に指先を突っ込む。

ドネルクさんの驚きは難しい表情から安全保障上の懸念から来るものじゃないかと推察できる。

バルトロイさんの驚きは魔法に対する興味と同じで学術的なものじゃないかと察せられる。

「魔力による知覚を阻害されるということは、何らかの形で魔力が存在するのではないかというのが推論の一つだ。バルトロイ。お前は地中の魔力溜まりなんてものを聞いたことが有るか?」

「いいや。無い」

明確に首を振るバルトロイさんにお母様は肩を竦めて見せる。

「そうだろう? そして、さっきも言ったようにフィオレは魔力に対する感度が鋭敏だ。魔力的な脅威に本能的な不安を覚えているのではないかというのが別の推論だ」

「魔力的な脅威・・・。ふむ。魔石を怖れるスライムと同じか」

お母様が提示した仮説にバルトロイさんが納得の色を見せる。

精霊の存在を上手く隠してバルトロイさんを納得させちゃった。

でも、ねえちょっと、バルトロイさん? 私とスライムを同列に論じるのは止めてくれるかな。

私の中でスライムと言ったらおトイレのイメージなんだから。

6歳の幼女をおトイレ扱いって、ジアンさんじゃないけど事案だよ?

「どこまで行っても現状では仮説の域を出ん。だが、可能性が僅かでも有るならば、万全に備えておく必要が有る」

「砦を機能させるには、レティアからの中継地点、あるいは街道の整備が必要にならんか?」

真面目に語るお母様の信念にドネルクさんが別の懸念を提示する。

中継地点を作るか街道を作るか、か。

ドネルクさんが言いたいのは兵站の問題だろうね。

砦を機能ってことは兵力の常駐を前提に考えてるのだろうし、人を置くのなら食料や武器の補給は必須になる。

ドネルクさんの懸念も尤もだ。

「国防の要だ。必要と有れば、やるしか有るまい」

「妥協は無しか。ウォーレス家らしい考え方だな」

揺るぎない目で淡々と述べるお母様にドネルクさんが口元に小さく笑みを浮かべる。

砦を作る方向で決まりかな? そろそろ良い?

「・・・はい!!」

詳細が決まってしまう前にシュバッと手を挙げてアピールする。

一旦、意見が纏まってしまうと要望をねじ込むのも労力が必要になる。

根幹に関わる部分ともなれば、最初から前提条件に織り込んで貰わなければ妥協を迫られちゃうからね。

私の思惑を読んでいるっぽいお母様が口元に笑みを浮かべて顎先で私を指す。

「何だ? 言ってみろ」

「・・・やるなら街道を付けたいです!」

“街道で繋がれた人が常駐する防衛拠点”が存在すれば、“何”が出来る?

私の主張にお母様が面白そうに目を笑わせて口角を引き上げる。

対照的にドネルクさんは怪訝な顔をする。

「街道だと?」

「何を考えているのかの想像は付くが、採掘場に街道を付けたときの3倍の距離だぞ?」

ドネルクさんへの説明をサラッと素っ飛ばして、お母様は具体的なハードルを私に提示する。

納得させてみろと?

これはつまり、具体性と実現性を伴った案ならお母様が後押ししてくれる可能性が高いということだ。

むむむむむむ! 考えろ!

お母様を頷かせられる具体案を捻り出せ!

頑張れ私の脳細胞!

アレだ。採掘場の直線道路は役10キロメートル。

その計画地上に有る樹木の伐採と製材作業を私たちは12日間でやり遂げた。

伐った巨木は1000本以上。

路面の整地や圧縮硬化作業は工兵部隊の魔法術師さんたちがやってくれたけど、今の私なら、一人ででも出来るだろう。

簡素化と規模縮小で仕事量を減らせば、余ったリソースを作業速度の向上に回せないかな。

イケそうじゃない?

伐った巨木も一先ず街道脇に寝かせておけば、必要になったときに拠点へ引っ張っていくことだって出来るだろう。

私なら魔力の手6本に巨木を掴んで、6本の「足」で同時に運べる自信が有る。

「・・・道幅を狭くして、邪魔になる木だけを進路上から退けるのなら、もっと楽に作れるんじゃないかな。極力、真っ直ぐな道にしてあげれば、馬は速度を落とさずに走れるよね?」

「騎馬はそれで良いだろうが、輜重はどうする?」

輜重ってことは荷馬車の使用を想定してる? でも、それは大丈夫だ。

「採掘場への直線道路みたいに荷馬車が擦れ違える道幅を全区間に持たせる必要は無いだろうし、所々に擦れ違いのための待避所を設けておけば街道としての機能は果たせると思う」

そんなの単線の鉄道路線と同じで良いじゃん。

自分でもビックリするぐらいにペラペラと説明が口から滑り出て来て、お母様は面白そうに目を細めている。