軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

迫る影 ㉜

私は「剣」で在ることに集中できるし、ピーシス領軍の強みも失わずに済む。

先ずはエターナさんたちに下地を作って貰って、私が「盾」に仕上げればいい。

やって、やれないことはない。

迷わず行けよ行けば分かるさ、と、偉いんだか有名なんだかのお坊さんも赤いタオルの人も言っていたはず、ダー。

エターナさんたちの限界を超えさせる。

「ボクがかんがえたさいきょうのぶたい」ってのを作るよ。

フンフンと脳内検討会の結果に満足していると、聞き慣れた声に現実世界へ引き戻された。

「ルナリア様。フィオレ様。大奥方様がお呼びです」

「・・・あ。うん。ありがとう」

「分かったわ!」

呼びに来てくれたレヴィアさんに返事を返して、大勝利でご機嫌のルナリアと一緒にセリーナお婆様の下へ急ぐ。

エイラさんは観衆からたくさん励ましの声が掛かって捕まったようだ。

レヴィアさんとエターナさんを引き連れてルナリアと2人してトタトタと戻れば、顔見知りの兵士さんがお婆様たちと一緒に待っていた。

きっと住居建設の件だな。

笑顔で軽く会釈する工兵部隊の魔法術師さんに小さく手を挙げて応える。ヤッホー。

微笑ましそうに笑う魔法術師さんの傍にいるセリーナお婆様の前に、ルナリアと2人で並んで立つ。

「・・・お待たせしました」

「勝ったわ! お婆様たち!」

話が始まる前にいきなり脱線させたルナリアに、大人たちが揃って表情を緩める。

「ええ。見てましたよ」

「腕を上げたのね。これからも励みなさい」

「分かったわ!」

さすが子育て経験者。

褒めて励ましてアッサリと脱線を終わらせた。

お婆様たちに褒めて貰えてルナリアもご満悦だね。

忙しい魔法術師さんの時間を無駄にしないように用件の本題に斬り込む。

「・・・それで。住居建設の件ですか?」

「早速、明朝から手伝って欲しいそうよ」

セリーナお婆様の取りなしに魔法術師さんが頭を下げる。

「済みません。お手を煩わせます」

「・・・仕事を増やしてるのは私なんだし、手伝うのは当たり前」

今、訓練場には5000人ほどの難民たちが到着している。

恐らく今日中には1万人近くまで増えて、明日中には2万人を越える。

空きの有る住居が5000戸有るとしても、緊急避難的措置として1戸に4人ずつ入って貰わないと住居が足りない。

難民たちが予想よりも早くに到着し始めたことで一気に余裕が無くなった分の住居を、大急ぎで建てなきゃいけない。

完成状態には程遠くても、せめて屋根と壁の有る仮設住宅的なものぐらいは用意してあげないと。

こんなの、一番負担が掛かる魔法術師さんに謝られることじゃない。

むしろ私が謝るべきことだと首を振れば、魔法術師さんも首を振る。

「いえいえ。本来、私たちの仕事ですから」

「・・・ううん。ただでさえ忙しいのに、ぜひ、手伝わせて欲しい」

いえいえ、イヤイヤと、井戸端会議の謝罪合戦みたいになってきたと思えば、魔法術師さんは目を細めて優しく笑う。

「フィオレ様はお優しいですね」

「・・・そんなことないよ。エクラーダの民が押し寄せた原因は私なんだから、後始末に付き合わせてるみんなに申し訳ないぐらい」

いや、マジで。

これは私がすべき後始末だからね。

全部は無理でも、私に出来ることぐらいは手伝わせて欲しい。

1000キロメートルも離れた外国に売り飛ばされたフレーリアは故郷に帰れなかったけど、故郷の人たちがフレーリアを追い掛けてきてくれたんだから。

フレーリアが生きた故郷の人たちが居る、フレーリアの故郷に似た穏やかな場所を作るぐらいはしてあげたい。

エクラーダの民が安心して暮らせる場所を作るのは、私がすべき仕事だ。

私はいつも、みんなを巻き込んでいる。

受け入れてくれるからといって、それに甘えてばかりなのは違うだろう。

ウォーレス領の人たちが嫌がらない形で作り上げてみせる。

引き摺られてるなあ、とは自分でも思うけど、これがフレーリアの体で今を生きている私の正直な思いだよ。

何かを感じ取ったのか、セリーナお婆様の手が私の頭に乗せられた。

フッと表情を緩めて私の髪を撫でる。

「責任感が強いのは美点だけれど、余り背負い込みすぎないようにしなさいな」

「そうですよ。皆が自分自身のために力を合わせようとしているのです。人に頼ることを恥じるものでは有りませんよ」

「・・・はい。ありがとうございます」

諭す色の穏やかな声が心に染みた。

お婆様たちに頭を下げる。

くっ。ちょっとウルッと来ちゃった。

背負い込む・・・。

そうか、私は背負い込んでいたのか。

「私も手伝うわよ!」

「・・・うん。ルナリアもありがと」

ルナリアの元気な意思表明に元気を貰う。

動員―――、やって貰うという押し付けの意識は有ったけど、与えるんだと上から目線になって、自ら「手伝おう」と言ってくれる人たちの自由意志を、私は軽視しては居なかったか?

エクラーダ関連の件に関して、どうにも私は冷静じゃない。

どう自分を抑えれば良いのか分からないけど、反省しなきゃな。