軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

盟約 ㉘

「あ。そっか」

「・・・だよね」

ルナリアと2人で頷き合う。

お母様やお婆様たちはシカ観察会に参加していたけど、現状確認と学術的知見を得られたなら現場に出っ放しになる必要は無い。

学者さんのフィールドワークなんて、そんなものだろう。

シカの観察はレイクスさんが続けると言っているし、アスクレーくんも続けるだろう。

サーレーンさんたちが採掘場に泊まり込むと聞けば、アスクレーくんも泊まり込むと言い出す可能性が高いね。

採掘場―――、ダンジョンの研究と知見の積み上げは、どのみち必要で、誰かがやらなきゃいけないことだもの。

魔獣に対する知見を深めることは、“魔の森”の畔に暮らす王国のためにもなる。

ちゃんとお母様たちの許可を取りに行けば、却下されることもないんじゃないかな。

アスクレーくんの引き籠もりが改善したことでお爺様たちも喜んで居るみたいだし、結構、自由にさせて貰えると思うよ。

昼間は剣術の訓練もさせるようエウリさんたちにお願いしておけば、しっかり鍛えてくれるはず。

あんまりにも夜更かしを続けられるとストップが掛かるだろうけど、採掘場なら頻繁に訪れる私も目を届かせやすいしね。

うんうん。何も問題なし。

私たちは私たちのすべきことに邁進すれば良い。

「じゃあ、朝食を摂って出掛けるわよ!」

「・・・うん。ケイナちゃんも呼んであげないと」

「行くわよ!」

やることが決まれば、即、行動だ。

テツさんたちと雑談しているケイナちゃんの捕獲に向かう私たちの後ろで、お母様がレイクスさんたちを誘っている。

「レイクス殿たちも朝食にしよう」

「ありがとう。ご一緒させて貰うよ」

レイクスさんたちも行動に移る。

今日も忙しくなりそうだなー、などと暢気に気合いを入れ直していた私は、採掘場に着いた途端、ネイアさんとオーリアちゃんに捕まっていた。

今は主に、ネイアさんに。

「私も手伝わせてください!」

「・・・部隊の指揮は?」

ここのところ、部下の掌握と部隊行動の訓練を兼ねて、ピーシーズは私たちの護衛から外れ気味だったからね。

何気に新鮮だし、一緒にやると言ってくれることが私も嬉しかったりする。

でも、ネイアさんには預かっている小隊の部下たちがいる。

「出荷と回収ぐらい、私が付いていなくても出来ます!」

「・・・大丈夫なの?」

「「「「「大丈夫です!」」」」」

ネイアさんたちを信用していないわけじゃないけど、一応、ネイアさんたちの後ろへ訊けば、ピタリと声を揃えた答えが返ってきた。

「・・・ああ。そう」

そりゃまあ、ピーシスガードの子たちもワナ猟を覚えたし、私の思惑通り自分の手で獲れた獲物の美味しさに気付いてくれたようで、出荷作業にも回収作業にも精力的に取り組んでくれている。

毎日のように顔を合わせて共同作業に携わっていれば、体内保有魔力増量に勤しんでいるエクラーダ系の子供たちとも仲良くなって、休憩時間には一緒になって模擬戦モドキをして遊んでいたりもする。

ここは信じてあげるべきだろう。

ピーシーズも通ってきた道だし、ピーシーズにピーシスガードが続いて道が完成すれば、エクラーダ系の子たちだけでなく領民たちが続きやすくなる。

領民強化計画も道半ばだしなあ。

領民全体の底上げが出来れば他領も続いて国力が引き上がる。

フィッツベルン領みたいに無茶な突撃をされても困るんだけど、知見を深めれば、そのうち無茶ではなくなるものだからねぇ。

あそこの領主が問題なのは、欲に駆られて岩塩鉱床を探させようと領民たちに無茶を強要したことで、変なプライドやスケベ根性を出さずに教えを請えば良いんだよ。

ともあれ、それぞれが前向きに取り組んでくれるのなら、形は個々に違えど成長エンジンになってくれるのは確かだ。

「・・・じゃあ、手伝ってもらおうかな。バンバン伐っちゃって」

「私も手伝います!」

なぜか風ジェットカッターにご執心なネイアさんに許可を出せば、オーリアちゃんにも即座に食い付かれる。

諸々の諸事情でオーリアちゃんは対人ワナにご執心なんだけど、風ジェットカッターもやるの?

形式上というか、一応、訊いておくかな。

「・・・部隊の指揮は?」

「出荷と回収ぐらい、私が付いていなくても出来ます!」

「・・・大丈夫なの?」

「「「「「大丈夫です!」」」」」

「なんで2回に分けたの?」

「・・・いや。何となく」

全く同じやり取りを繰り返したことでルナリアにツッコまれた。

「・・・じゃあ、オーリアちゃんもお願い」

「はい!」

ネイアさんとオーリアちゃんがフィティオスさんたち兄弟と作業手順の打ち合わせを始め、ピーシスガードの子たちはシカの囲いと崖下の森へ出荷と回収に向かう。

「・・・うーん」

リソース的に大丈夫かな?

もうすぐ第1次派遣の交代部隊に任務を引き継いだピーシーズの4人が帰ってくるから、伐採する木々を残しておく必要が有りそうなんだけどなぁ。

マーミナさんとマーリカさんは兎も角、新しいもの好きなクラリカさんとメイリスさんは絶対にやりたがる。

ピーシスガードの子たちも、そのうちやりたがるだろう。

無秩序な乱開発は拙い。

資源は有限で、長期的視野でのリソースのコントロールは必須なんだよ。

いや。エライワー畑が出来上がっていれば、クラリカさんたちはエライワーに目移りしてくれるかな?

王都で新しい農作物を買い集めてくれたのはクラリカさんたちだものね。

興味はこっちの方が引くだろうし、エライワー畑は良い目眩ましになってくれるかも。