軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

生態系の覇者 ㉖

「・・・みんなを後退させて! 早く!」

「「「「「は、はい!!」」」」」

咄嗟に出した指示に、非常事態慣れしてきた感のあるピーシーズが素晴らしい反応を見せて身を翻す!

最初と較べて気付いたのが少し送れた分、魔獣が地上に顔を出すまでの猶予は残り少ない!

「退避―――ッ!!」

「敵襲―――ッ!!」

「「「「「ええっ!?」」」」」

新人さんたちだけでなく、お母様たちまで驚いている!

ようやく終わったと気を抜いたところだろうから、驚くのは分かるよ!

でも、驚いてる暇なんて無いからサッサと下がって!

1人がハッと我に返って身を翻せば、他の新人さんたちも後に続く!

何とか間に合いそう! ホッと胸を撫で下ろす暇も無く、亀裂が押し広げられた穴の縁が下から持ち上げられて盛り上がる!

「・・・デカッ!!」

地表を押し上げているのは超巨大蜻蛉の頭だ!

ただ、これまでの超巨大蜻蛉と較べて顔の時点で、さらに数倍の大きさが有る!

さしずめ、超・超巨大蜻蛉と言ったところか!

自由にさせてしまった場合の脅威度は、ドーナツ状に死体の山を築いている超巨大蜻蛉なんかとは比較にならないはずだ!

「・・・このぉ! 固まれ―――ッ!!」

アクティブソナーのために地面へ突っ込んだままの「足」から全力で魔力を流し込んで掌握を試みる!

どうにかして穴の周りだけでも土を掌握してしまえば、アレが地上へ出て来るのを阻止できる!

ところが、私の魔力に伝わってくる感触は硬いゴムに爪を立てるような反発力だ!

「・・・ぐぬぬぬぬぬ!!」

“他者の魔力には干渉できない”という“常識”が頭の隅を過ぎる!

そう、他者の魔力だ!

そして、その他者とこの超・超巨大蜻蛉の魔力は“質”が違う!

その“他者”とは誰なのか!?

雲を掴もうとするように実体が無く、濃密な霧が掛かったようなこの魔力!

強力な超・超巨大蜻蛉の魔力と較べても桁違いに強く馬鹿みたいに大きな魔力からは意志を感じない!

意志は感じなくても、確かにそこに在る!

初めて触れるけど、これが何なのかの想像は付く!

恐らくは、これがダンジョン!

私たちは今、人智を越えた存在と対峙しようとしているのかも!

原因が何だったのかは分からない!

分からないけど、何かを切っ掛けにダンジョンの魔力が漏れ出して、周囲の地面を掌握してしまったのだとすれば!?

だったら、制御を奪い取ろうとするだけ無駄なんじゃ!?

周りの地面を掌握するのではなく出て来ようとする頭を直接的に押し戻す方針に切り替える!

「・・・引っ込めえええええええええっ!!」

抵抗は有る!

抵抗は有っても、超重量物である“蒼焔”の核に較べれば羽根のように軽い!

通ってきた穴を逆戻りさせるように、グイグイと力任せに超・超巨大蜻蛉を地面の奥底へと押し戻す!

「・・・イケる! イケるけど・・・!!」

この超・超巨大蜻蛉が地上へ出て来たがっているのだとすれば、目の前に出口が見えているのだから諦めるわけがない!

何度押し戻しても上がってくるに違いない!

いつまで続く!?

私も疲れを感じ始めている今、ずっと不眠不休で監視を続けることなんて不可能だ!

だったらどうするか!?

この場で倒してしまう他にない!

腹を括れ!

やれるかどうかなんて、やってから考えろ!

この場で私に出来ること!

私の手持ちに切れる 手札(カード) なら有る!

その手札を使うために必要なのは―――。

「・・・ルナリア―――ッ!!」

「えっ!! わたし!?」

ノーア保護を理由として蚊帳の外に置かれていたルナリアは、驚いた声を上げたくせに、どこか嬉しそう!

ただ守られているだけのお姫様じゃないものね!

これがテレサだったとしても、私たちはただ守られているような真似はしない!

頼りになる“相棒”に容赦なく要求を突き付ける!

「・・・土っ!! 土、作って!!」

「つ、土!? 土なんてどうするの!?」

今のルナリアは、爆速モコモコをさせれば右に出る者の居ない爆モコのプロフェッショナル!

左側には私が出るけどね!

「・・・“獰猛くん”で抑え込む!!」

ルナリアの表情に理解が走る!

自分にも出来る手慣れた作業と聞いてルナリアがペッタンコの胸を張る!

「どのぐらい作れば良いの!?」

「・・・たくさん!! コイツ、めっちゃデッカい!!」

「分かったわ!」

デカい魔獣ならルナリアは巨大スライムとの戦いを間近で目にしている!

敵がスライムから虫に変わったところで、デカいぐらいじゃルナリアはビビらない!

ビビらないはず、たぶん!

ルナリアに代わって新人さんたちが5~6人ノーアを囲んで壁を作り、腰のポーチから魔石を取り出したルナリアが駆けてくる!