軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第24話 だったら案内してやるよ

スキンヘッドに連れられてやってきたのは、下の階層に繋がるという場所だった。

円形の空間の中央には扉のついた小さな建物があった。

「ここだ。いえ、ここです。あの建物の中に階段があって、下の階層に続いています」

すっかり態度が変わったスキンヘッドが教えてくれる。

「そうか。助かった」

俺はスキンヘッドに礼を言って、その建物へと近づいていった。

だがそのとき強烈な殺気を感じ取り、その場から飛び退いた。

直後、頭上から巨漢が降ってくる。

その手には巨大な戦斧が握られており、ギロチンのような刃がさっきまで俺がいた場所へと振り下ろされた。

「オァァァァ……殺スゥ……殺スゥ……」

巨漢は全身が包帯に覆われた異様な姿で、ぶつぶつと物騒な言葉を呟いている。

「ふむ、これはどういうことだ?」

俺は振り返ってスキンヘッドに尋ねる。

するとさっきまでの態度はどこへやら、口端を吊り上げながら、

「くくく、そいつは中層への門番だ。かつて一晩で百人を惨殺した殺人鬼で、ここの通過を許されたやつ以外は問答無用で殺しにくる。中層に行きたけりゃ、そいつを倒すんだな。まぁ、適当に健闘を祈っておいてやるぜ」

それだけ言い残すと、さっさと逃げていった。

「ふむ。ではそうさせてもらう」

「殺スゥゥゥゥッ!」

包帯男が戦斧を振り回して再び襲い掛かってくる。

躱す必要もない。

俺は片手で斧を受け止めた。

「ッ!?」

包帯男が包帯の奥で息を呑んだのが分かった。

必死に斧を振り切ろうとするが、俺の方はビクともしない。

俺は握力だけで刃を握り潰すと、そのまま力任せに斧をぶんどってやった。

「~~~~ッ!」

まさか自分より明らかに小さな相手に力で負けるとは思ってもいなかったのか、顔に包帯を巻いていても驚愕が伝わってくる。

「さて、次はこっちの番だな」

「~~~~~~~~ッ!?」

意外と小心者だったようで、包帯男は慌てて背を向けて逃げ出した。

「おい、これ忘れてるぞ」

その背中に奪い取った斧を投げ、返してやる。

「グゲェッ!?」

後頭部に柄の部分が直撃し、包帯男は倒れ込んだ。

気を失ったようで起き上がってこない。

包帯男のことは放っておいて、俺は扉へと近づいた。

やはりここも鍵がかかっているようだ。

針金を使って開錠しようとする。

ふむ、さすがに重要な扉だからか、鍵の方もしっかりしている。

お陰で少し時間はかかってしまったが、それでも五分くらいで無事に開けることができた。

扉の先にあった階段を降りてく。

「ここが中層か」

中層の雰囲気は上層と似たようなものだった。

ただ上層より重罪人を収容していただけあって、牢屋はずっと堅固な造りとなっている。

それから、かつては懲罰のために利用していたのか、拷問器具のようなものがあちこちに設置されていた。

近づいてよく見てみると、比較的最近のものと思われる血が付着していたので、もしかしたら今でも使われているのかもしれない。

「おいおい、見慣れねぇ顔だな。新参者か?」

「へへ、こりゃ、たっぷり可愛がってやらなきゃなんねぇなァ」

そこへ五、六人組が近づいてきた。

中層の住人たちだろうが、例のごとくどう見ても堅気ではない。

いきなり俺を取り囲んでくるし、友好的な関係にはなれそうになかった。

「ひぶぐっ!?」

「ぐがぁっ!?」

なので力で屈服させる。

「わ、悪かったっ……勘弁してくれっ!」

「こんなに強ぇとは思わなかったんだ……っ!」

敵わないと知るや即座に頭を下げてきた。

悪人たちの組織は上下関係が非常に厳しいので、力のある者に対しては無条件で従ってしまうのかもしれない。

「別にあんたらをどうこうする気はない。それより教えてくれ。どうやったら下層に行くことができる?」

「か、下層……?」

「あんた、下層に行きたいのか?」

「ああ、そうだ」

「だ、だったら案内してやるよ!」

ありがたいことに、その場所まで連れていってくれるらしい。

「この部屋だ」

「ふむ、ここから下層に行けるのか?」

部屋の中に足を踏み入れる。

本来はそれなりの広さがあるのだろうが、箱のようなものが大量に積み上げられているため手狭に感じられた。

「ああ、そうだ――なぁんて、大人しく教えてやるわけねぇだろうがよォッ!」

恐らくこいつの仲間だろう、箱の後ろから次々と武器を持った者たちが現れる。

まぁ気配で分かっていたけどな。

やはりそう簡単に他人に屈服するような人種ではないようだ。

「オレたち武闘派盗賊団〝レッドスカーフ〟に喧嘩を売りやがったこと、後悔させてやるぜ!」

一斉に躍りかかってくる。

「……ふむ、上層に比べると多少は戦い慣れした連中が多いようだ」

各自がバラバラに動くのではなく、しっかりと連携を取りながら攻撃してくるのだ。

今も一人が複数のナイフを投擲して俺の注意を引きつけておきながら、別のやつが死角からその隙を狙ってきた。

もっとも、その程度では俺を倒すことはできない。

見ることもなくナイフを片手で掴み取りつつ身体を反転、背後から斬りかかってきた男に蹴りを見舞う。

「こいつ、目が後ろにでもついてんのかよ!?」

「狼狽えるんじゃねぇ! まだまだ加勢がくる! 休む暇なく攻め続けろ!」

どうやらさらに応援がくるようだ。