軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

43 暴露③

「ですので、この薬草を所持している事自体が罪であり、まして王太子殿下がそれを使用するなど、あってはならない事なのです」

私がそう言った時、サイモン様は必死になって弁解し始めた。

「違う! 私では無い! きっと誰かが私を追い込む為に仕組んだ罠だ! 私は何も知らない! 私がそんな危険なものを陛下に使用するはずがない! 陛下! どうか私を信じて下さい!」

「この会合までの殿下の動きは、付いていた影が全て見ています。お茶にその毒草を混ぜていた所も見ていると思いますよ。影が止めなかったのは、わたくしが、陛下や他の方々が飲まれる前に止める事を、予め伝えておいたからです。使用するかどうか、ギリギリまでサイモン様の良心に、期待したいという思いもありましたので」

サイモン様の弁解に、私がそう答えると、陛下は疲れた表情をして溜め息をついた。

「もうよい。サイモン、そんなにそこの娘を娶りたかったのか? 余を殺そうとしてまで……」

「ち、違います! 陛下を殺すだなんて思っておりません!」

「尋問すればわかる事だ。サイモンを連れて行け」

「陛下!?」

陛下の命令にて、サイモン様は騎士に拘束され、この場から連れ出されようとした。

「お待ちください! 私の話を! シンディ! お前のせいだ! お前さえ居なければ!!」

騎士に引き摺られながら、そう叫び、私を睨みつける。

自業自得ね。そんなにリリアが良かったのなら、王太子の地位を諦めて、早々に私と婚約を解消すれば良かったのよ。

そうすれば私もあなた達に殺されること無く、普通の人生を歩んでいたはず……

心の中でそう思いながら、引き摺られていくサイモン様を見ていた。

すると部屋を出る寸前、サイモン様はリリアを見る。

「リリア!」

そう言い残して部屋の扉は閉まった。

最後に名前を呼ばれたリリアは、真っ青な顔色でその場で硬直していた。

「リリア・ローガスト。この会合での件にそなたは直接関わってはいないだろう。しかし、そなたもこの一連の事に加担しているそうだな」

陛下に突然声をかけられたリリアの両肩は、ビクッと跳ねる。

リリアは、ゆっくりと色のない顔を上げて、ゆっくりと陛下の方を見た。

「わ、わたくしは、何もしておりません。わたくしが陛下やシンディ様の口にされる物に、手を加える事など出来ようもありません」

「直接関わらずとも、サイモン様が行動を起こすように、誘導し諭したのでしょうね。実際、サイモン様は陛下にこの毒草を使用するのを、始めは躊躇していたと聞いております」

「シンディ様!?」

リリアの言葉に、間髪を容れずに私はそう言った。実際、全てはリリアがサイモン様を上手く動かしていたのだ。実行犯でないにしても、教唆した罪は大きい。

「わ、わたくしは、ほ、本当に何も……王太子殿下とは、学生の頃から……シンディ様のお友達として、目をかけて頂いていたに過ぎません」

ふるふると震えながら、か細い声でそう話すリリアは、一見すると本当に何も知らずに巻き込まれた印象を受ける。

実際、その場にいた貴族たちも、にわかには信じ難い様子で、リリアに同情するような視線を向けていた。

「ローガスト伯爵令嬢、あなた方が内密に連絡を取り合い、何度も密会していたのは明白でございます」

「密会など! 王太子殿下と度々お会いする手段など、一介の小娘に出来るはずもございません!」

「リー商会」

リリアの反論に、その一言を告げると、分かりやすくリリアはビクッとする。

聞いていた他の貴族たちは首を傾げた。

「シンディよ、リー商会とは?」

陛下が私に質問してきた。すでに王太子妃と呼ばないところに、サイモン様の王太子剥奪は決定事項と確信する。

「この二人の連絡手段でございます。

リー商会とは、ローガスト伯爵令嬢がサイモン様に宛てる時に使う名。反対にサイモン様から受け取る時は、サン商会としていたようです」

「そこまで把握していたのか」

「ここ最近のものしか手に入りませんでした。以前からのやり取りがそれぞれの自室に残っていれば宜しいのですが……

後で証拠として提出させて頂きます」

ここ最近の、二人のやり取りした手紙の元本は残してある。流石に以前のものを、サイモン様の部屋までは探せなかったが、今回の事で調査が入るだろう。

「仮にわたくしとサイモン様が密会していたとしても、それが今回陛下に毒草を飲ませる事に加担したなどの証拠にはならないはずです!」

開き直ったのか、先程の弱々しいリリアの姿は一変し、私を睨みつけながらそう叫んできた。

「何を言っているのですか? 不義の関係を持っていた事も、少し気の弱いところがあるサイモン様に、薬草を使用するよう諭していた所も、全て影が見ておりましたと先程申し上げましたでしょう?」

「そんなの、その影が嘘を言っているかも知れないでしょう! そんなに詳しく見てるなんて出来るわけないじゃない!」

リリアのその言葉に、陛下が反応する。

「ほぅ……王家の影を愚弄するか。衛兵! 不愉快だ! 早くこの娘も連れてゆけ!」

陛下の命令にて、リリアも連れ出される事になった。

「へ、陛下! お待ちを!」

慌てるリリアは、他に自分を助けてくれそうな人は居ないか、周りを見回す。

リリアの父親はすでに諦めたように、頭を抱えており、リリアの方など見ていない。

すると、リリアはある人に目を向けた。

「ザイトヘル伯爵様!」

なんとリリアは、婚約を打診してくれているザイトヘル伯爵に助けを求めた。