軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

69話 初めての薬草採取

借家でみんなで生活を始めて4週間近く経った頃の事だ。

俺たちの冒険者ランクはとうとうDに上がった。

俺、ヨッシー、ユースケ、ダンの4人だ。

冒険者ランクDは、街の外での依頼が受けられるようになる。とはいえ、主に薬草採取やケモノ肉などが中心の依頼だ。

ゴブリン討伐の依頼などもあるが武器装備がないと無理だ。

装備も武器もない者は街からあまり離れずに採取などを行うようだ。そしてお金を貯めて徐々に武器装備を揃えていくそうだ。

俺たちはまだ武器も装備もない(俺除く)ので、とりあえず街から離れずに採取の依頼を受けてみようという話にまとまった。

もちろんDランクは街中のEランクの依頼も受けられるが、やはり達成金額が違う。Dの依頼の方が断然美味い。

そういうわけで、俺たちは初の街の外での採取依頼を受けた。

南門の門番の前を通り過ぎて外へ。

街の壁の周りはスラムのテントが広がり、痩せてボロい布を身体に巻いたような人らが座り込んだりしていた。

そこを背に少し進むと平坦な土地が広がり、少し先から小高い丘のようになっていた。

丘へ登る途中あたりから草が茂り始め、丘のてっぺんから向こう側あたり一面には草が生い茂っていた。

ゴルダの説明だとこのあたりで回復薬の葉が採れるとのことだ。

ギルドで依頼を受ける時に回復薬の葉の絵も見せてもらった。まずはここいらで薬草採取をすることにした。

アイテムボックスから防災グッズの軍手を人数分取り出してみんなに配った。

ゴルダの話ではイノシシやホーンラビットがたまに出ると言っていたな。ホーンラビットって、ファンタジー小説とかによく出てくるあのツノの生えたうさぎだよな?

ファンタジー小説では最も最初に出てくる雑魚中の雑魚だが、俺がやってたゲームには出てこなかった。

俺がやってたゲームの最初の魔物はゴブリンだったんだよな。

ツノの生えたウサギかー、どんなだろう?

初日にうちのイッヌ達が捕まえてたウサギにはツノなどなかった。あれはたぶん、普通のうさぎだ。

ツノがあるのは凶暴そうだな。草取りに熱中してて背中をブスリ、とか勘弁願いたい。やはりここは見張りとしてイッヌに出てもらうか。

「あのな、魔法でペットの召喚が出来るんだけど、警戒役の見張りとして犬を出すぞ」

軍手をはめてやる気満々なみんなにそう話しかけた。

「?」

「犬?」

「ペット召喚?」

皆ががハテナになっているが、説明が面倒だからもう出してしまえ。

「召喚! クラシック!カッモーン」

シェパードが現れた。

ヨッシー達は俺と犬を交互に見ながら目を剥いていた。

「魔法? 魔法で犬が出せるのか?」

「え? 犬? え? 魔法で?」

「魔法って何でもありですね」

羨ましげなユースケに言い訳をした。

「何でもは出せねーよ。ゲームの時に使えた魔法だけだから」

「どんなゲームだよ……。パリーホッターで犬出す魔法とかあったっけ?」

呆れたようにヨッシーが言った。

「犬じゃないけれどフクロウとか蛇とか出したシーンはあったような気がします」

ユースケは映画を思い出したようにヨッシーとパリーホッターの話をしはじめた。

「みなさーん、葉っぱ集め始めてくださーい」

みんなは犬が気になっていたようだが渋々四方に散って行った。

イッヌのクラたん(正式名はクラシックだけど)には、 敵(イノシシやウサギ) が来たら攻撃をするように命令をしておいた。

そして、自分も足元の 草っ原(くさっぱら) から回復薬の葉を探し始めた。

えぇと、モミジみたいな形でぇ?周りがちょっとトゲトゲェ?

モミジみたいでトゲトゲェ

モミジみたいでトゲトゲェ

始めてから30分くらいたった。

はふぅ。地面に座り込んだ。疲れた。

おかしいぞ?見つからない。

小説の主人公は"鑑定眼"とか"探索"とかのスキルを使って目的の草をサクサク採取していた。

俺にそんなスキルはない。(泣)

というか、俺がやっていたゲームにはそんな便利なスキルなかったし。だからステータスのスキル欄には鑑定なんてないし、魔法欄にも探索はない。

どれも同じように見える葉っぱの中から、回復薬の葉を探していくしかないんだ。ないんだよおおおお。

モミジないんだよおおおお。(号泣)

ううぅ、腰痛い。

年寄りに"しゃがみ体勢"はマジ辛い。

コンビニ前にしゃがんでダベってるパンツ見えてるJKとか、

ウンコ座りヤンキー(じゃないか、最近は普通の男子か)とか、

みんな10代じゃんかよ。みんなぴちぴちじゃん。

身体カチコチの49歳デスクワーカー舐めんなよ?

しゃがみ込み維持は無理。ん?ステータスは39歳?いや、アラフィフだろうがアラフォーだろうが無理は無理。

どうせ若返るなら10代にしてくれればよかったのにぃ(泣)

30分やってまだ一枚も見つからないのが辛さに拍車をかけていた。

自慢じゃないが、俺の人生において四つ葉のクローバーを見つけられた事はない。

回復薬の葉を見つけられる気がしない。

幼い頃に近所の子供らで四つ葉のクローバー探しをした事があったな。俺は見つけられなかったけどね。

あのときは時間を忘れて何時間でもしゃがんでいられた。それが出来る身体だった。だってまだ、年齢一桁だったし?

結局見つからなかったから次回からのお誘いはお断りしたがな。男子は“幸せの四つ葉探し”より“カブトムシ探し”のが好きだからな。

ブツブツと独り言を言いながら、たまらず立ち上がって腰を伸ばした。

「ふおおお‥‥」

すると向こうの方で釣られたようにヨッシーが立ち上がり雄叫びをあげていた。

「があー、腰痛え! 全然みつからねえぞ」

30代でも辛そうだな。

「こっち、結構ありますよ」

ダンが顔を上げて摘んだ回復薬の葉を見せた。

さすがだ!ティーン!

ダンの声を聞いてあちこちの方向から草をかき分け大人3人がダン目掛けて集まった。

あはは、みんな見つけられなかったな。

ダンの近くに来るとギルドで見せてもらった絵に似ている葉がたくさん生えていた。

しかし、それは“かわいいサイズのモミジ”ではなく、“デカいカエデ”に近かった。

しかも、天狗が持ってそうな大きさのカエデだ。かわいいサイズをいくら探しても見つからないはずだ。

葉っぱが見つかり始めると腰の痛さも忘れて、少し採取が楽しくなって来た。

ほどほどに摘むと4人でまとまって移動して、また採取をしていった。

時々クラたんが吠えていた。ウサギが出たのかな?

途中でお昼休憩をとり、自分含むみんなの腰にヒールをかけて午後も飽きずに採取を続けた。

各自に配ったエコバッグ(小)がいっぱいになったので引き上げる事にした。

ちなみにエコバッグはもちろん職場の資料庫に蓄えていた防災グッズのひとつだ。(百均で売ってるお買物エコバッグ)

警戒役で放っていたクラたんを呼び戻した。

そう言えば、クラたん時々吠えてたけど何か狩ったんかな?

ゲームでは、狩りのドロップ品は地面に落ちる場合とペットやサモンが収納してる場合の2択があった。

こまめにペットの"回収"ボタンをクリックするとドロップ品はこちらのアイテムボックスに移動するシステムだった。

が、ここではどうなんだろう?クラたんに回収ボタンなんてどこにもないぞ?

森から街へ移動の時、イッヌ達は獲物を咥えてその度に俺のところに持って来ていたな。

今回の採取中に何度かクラたんが吠えていたが獲物は持って来なかった。獲れなかったのか?

一応「回収」と言ってみた。

するとクラたんはササーっとどこかに走って行き、戻って来たときには獲物を咥えていた。

咥えていたウサギを俺の足元に落とすとまた走っていった。

数回繰り返し、俺の足元にはウサギ3匹とホーンラビット5匹が積まれた。エライぞ、クラたん。

ホーンラビット……額に結構長いツノが生えてた。採取中に後ろから刺されなくてよかった。

しかもものすごく怖い顔つきのウサギだった。この顔でラビットを名乗るとは不届千万。こんな怖い顔のウサギに襲われなくてホッとした。

クラたんを撫で回し、持っていた干し肉を与えた。

みんなも集まってきて干し肉を美味しそうに食べるクラたんを眺めていた。

「かなり大きいですけど、シェパードですよね?」

「そう。シェパードで名前はクラシック。略してクラたん」

「シェパードってこんなに大きいんだ?」

「カオさん、撫でてもいいですか?」

「おう、いいぞ」

ダンが恐る恐る近づいて俺が頭を押さえているクラたんの背中をそっと撫でた。

ヨッシーやユースケも寄ってきて撫でていた。

みんなに撫でられてクラたんは嬉しそうだった。シッポをはち切れんばかりに振っていた。

「家で飼えるかな」

「うぅん、どうかなぁ、今の家は借家だからなぁ」

持ち家になったら3匹出しっぱなしにして番犬にしようかとも思っている。

それから街まで歩き、南門から入ったあとみんなはそのまま家へ向かい、俺はテレポでギルドに飛んだ。

ギルドが混む夕方にはまだ間があるため、室内は閑散としていた。

ゴルダに戻ったと声をかけてから奥の買取窓口に向かった。

ホーンラビットからは角と魔石が取れ、肉も普通のウサギより美味しいということで1匹につき銀貨1枚で5匹買い取ってもらえた。

ウサギは3匹で銅貨150枚、回復薬の葉は10枚ワンセットで1銅貨、全部で55セットあり合計で55銅貨になった。

今日の儲けは5銀貨と205銅貨となった。

銅貨100枚で1銀貨なのだが、あえて細かい銅貨のままでもらった。

外に出てギルドの裏に回り近くに誰もいないこと確認してテレポで家へと帰った。