軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

SS⑬ カオの過去①

「俺得」ではほとんど触れられる事がなかったカオの過去(実家)の話です。ファンタジーではないです。

【ご注意】少しもちゃぁとする話ですので、「元気いっぱいだ、どんと来い!」の方だけ、ご覧ください。

疲れている方はストレス(ヘイト?)が溜まるかも知れません。またのご利用をお待ちしています。

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異世界に転移して9年が過ぎた頃の話。

地球から転移してきた者たちはすっかりこの世界に馴染み、毎日を送っていたある日。

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『カオの過去①』

俺たちがこの世界(魔物がいて魔法もある世界)へ来て9年が過ぎた。

この街で始めたやまと屋と言う弁当屋もそれなりに繁盛し、一緒に住む仲間たちとも上手くやっている。

9年前に突然この世界この街に、日本で働いていた職場のフロアごと転移をしたのだ。

社員101人プラス派遣の俺の合計102名という大所帯でだ。

とは言え、俺は最初は彼らとは別行動をとり、数人の仲間のみと借家で生活を始めた。

そう、異世界転移あるあるの「冒険者登録」をして稼ぎながら暮らす事にしたのだ。

他の社員らは、確かあの当時8割は開拓村へ、残り2割が神殿で寝起きをしながら仕事と家を探すはずだった。

だが俺が派遣されていた職場はまぁ、アレな人間が多く、自らが頑張って生計を立てようとする者は少なかったようだ。

そんな時に、街の近くでゴブリン氾濫が起き、それに被せるように開拓村から社員らが脱走する事件が起きた。

あ、そうだ、ちょうどそのタイミングで俺らの借家が土屋たちに乗っ取られたんだったな。

土屋たちというのは神殿に残ったお局グループのモンスター社員だ。

氾濫、乗っ取り、脱走と、異世界転移の序盤にしてはイベントが多すぎないか?まぁ、終わりよければすべてよしなんだが。

借家を追い出されて教会にお世話になったんだが、何とそこでゲームの時に使用していた倉庫女神像を発見!

倉庫の中にはゲームの時の金貨やアイテムがたんまりと入っており、おかげで街の中央に大きな店舗付き家屋を購入できたのだった。

その時の店が、現在もそれなりに繁盛している弁当屋の『やまと屋』だ。

その後に起きたアンデッドの氾濫で、ゲームの仲間たちと再会出来たのも僥倖だ。俺にとっては良い事尽くめだ。

あ、そうそう。

やまと商事の社員達はゴブリン氾濫の時に半数くらいお亡くなりになった。

残った社員達も、部長が手を尽くして道を示したが、結局さらに半数くらいはダメな方向へ自ら進んだようだった。

だが残った社員達は王都で家族と再会したりで今も開拓村や王都で頑張っている。

最初の年に起こったイベントはまだあった。

俺たちはこの街の近くにある死霊の森という所に職場のフロアごと転移してきたのだが、その建物がある日ダンジョンになっていた!

もう一度言おう。会社の建物がダンジョンになっていたんだ!

元の世界の会社のビルが地上40階地下2階建てだったのだが、転移してきた俺らがいたフロアである22階が死霊の森ダンジョンの地上1階になったせいでビルの半分以上が地下ダンジョンと化した。もちろん地上もダンジョンだ。

そして大事なのは、地下2階だ。

B1のダンジョンボスを倒すと行けるようになるB2には、かつての職場ビルB2にあったマツドマルドとスターガッコスカフェ、セボンイレボン、薬局のマツカワチヨコがあったのだ。

ここはさらに大事なのでもう一度言おう。ダンジョンのB2が嬉しい事になったのだ。

何とそこにマッツとスタガとセボンとマツチヨがあった!日本人には嬉しい4店舗だ。

ダンジョン自体もドロップが美味しくて良かったが、B2はあっという間に人気になったな。

とは言え、転移してきた稀人(地球人)しか行けない謎フロアだった。この世界へ転移して来てから生まれた者はB2には行けなかった。

実はつい先日だが一緒に転移してきたあっちゃんの息子君で試したのだ。彼は転移時に妊娠中だったあっちゃんがこっちに来て出産した子だ。

まだ8歳なのだがパラさん達にしっかり護衛されてボスクリアまでいった。だが彼が貰ったメダルには『B2』の表示は無かったのだ。

という事は、『B2』は期間限定のフロアと言う事だろうか。

恐らく転移して来た稀人が全員死んだら、B2も消えて無くなる気がする。

まぁ、B2発見当時からいつ消えてもいいように、行ける時は毎日でも行ってショップで購入しまくっているからな。

それが出来るのも無限に収納できるアイテムボックスがあってこそだ。

B2は転移で来た稀人の憩いの場になっている。

こちらの世界に馴染みつつも時々は日本を懐かしむ、たぶん、そうやって一生を終えるんだろうなと思っている。

実は、地球はもう無い。

巨大な隕石が衝突したからな。(俺は後で知った)

俺たちは片道切符で異世界転移した、この世界で生きていくしか無い。

俺は店番をしながらそんな事を回想していると、やまと屋の店舗側からミレさんが入ってきた。

「よっ、カオるん、久しぶりだな。元気だったか?」

「おう、ミレさん。今日はひとりか?」

ミレさんはゲーム仲間のひとりで、ゲームではダークエルフ、キャラ名はミレイユだ。

ちなみに俺はウィザードでキャラ名はカオ。本名の 鹿野(かの) 香(かおる) から付けた名だ。

ミレさんの本名は 上杉(うえすぎ) 悠人(ゆうと) だそうだが、ミレイユとは全く被っていない。以前にキャラ名の由来を聞いた時は笑って誤魔化された。

俺の推理だが、恐らくミレさんの前妻(バツイチと聞いた)は北欧系の女性で名前がミレイユ、きっとミレさんは捨てられても忘れられずにその女性の名を……。

「カオるん? 何か変な妄想してる?」

「え、や、し、してないぞ? でで、他の皆は?」

吃ってしまった俺をミレさんが怪しげな目で見た。

「ま、いっか。タウさんとカンさんは山脈の向こう、ダルガの国へ向かってる。船で移動と言ってたからまだ海の上かなぁ」

「そうか。船だとぐるりと大陸の南側を回らないとならないから大変だな。でも態々船で?」

「要所要所の港をブクマして行くって言ってたな。ダルガに上陸したら一度戻ってから向こうの国を回るって言ってたな」

「アネさんやゆうご君は? 一緒に行かなかったのか?」

「ああ、アネさんとゆうごと俺はこちら側の街や村を北側から隅々まで回ってる。俺はちょっと休憩だな」

ミレさんはちょっと疲れたような寂しいような複雑な顔をした。

タウさんとカンさんは別れ別れになった家族(奥さんや子供)を探している。

ミレさん、アネさん、ゆうご君は配偶者や子供はいないけれど、やはり親兄弟を探しているようだ。

「こんにちわぁ、ミレイユさん。カオさん、お店番は私が変わりますから奥でゆっくりしてください」

ミレさんが俺を訪ねて来た事を誰かが知らせてくれたようで、キッチンで作業をしていたレモンさんが交代を申し出てくれた。

ちなみにレモンさんもゲーム仲間で本名は、本名は……あ、 佐藤(さとう) 紗織(さおり) さんだ。普段からゲーム名で呼び合うせいか本名は俺の記憶に中々定着しない。

レモンさんはキックと結婚してこの店の裏側にある一軒家に2人で住んでいる。

キックと言うのは同じ職場で一緒に転移してきた社員のひとりだ。

しかも俺がやってたゲームをキックもやっていたという偶然。

キックの本名は、菊田……菊田、菊田何某だ!

勤めていた頃は社員さんのフルネームを言えたのに、最近はもうダメだ。転移した時点で俺は49歳だったし、あれからもう9年だから58歳!

俺ってば、あと2年で還暦じゃないか!

ステータス上では48歳なっている。そう転移した時何故か10年若返ったからな。(ラッキー!であるが結局アラフィフには違いない)

そう言えば、レモンさんもキックもずっとこの店で働いてくれている。

家族を探したりしないのか?センシティブな問題は聞きづらい。

リビングに入るとそこにキックがいた。

両手剣の刃の部分を磨いていた。武器の整備をしているみたいだ。入ってきたミレさんを見て会釈をした。

「ミレさん…ども。ご無沙汰してます」

「お、キック、こんちわぁ」

キックはコミュ障なのだが、ミレさんとは結構打ち解けている。

と言うのもキックもゲームキャラがダークエルフなので、色々とミレさんに相談をする事があるみたいだ。

キックはレベル30でゲームをやめてしまったが、ミレさんはレベル89まで行っていた。

ダークエルフの武器や装備、スキルなどの相談をよくしているのを見かけた。

レモンさんには聞きづらかったが、キックに聞いてみるか。

「キックはさ、家族捜しとかしないのか? キックもレモンさんもこの街からあまり出ないだろ?」

キックは目を見開いた後俯いてから、ゆっくりと話し始めた。

「……そうですね。会いたくないかと聞かれれば会いたいと答えます。

僕は……両親が遅くに授かったひとり息子で大事にされてきましたし、両親には感謝しています。………俺、ここに来た時には50手前だったから…」

ああ、そうだ。キックは俺と同い年で当時は49歳だったはず。

「今はもう58歳……こっちじゃもうお爺ちゃんです。両親もこっちに転移していたとしても、もう……」

「そっか。ごめん。変な事聞いて」

「いえ、紗織…レモンさんと以前そのあたりの話をしたんですが…、彼女はあまり良い家族に、その、恵まれてなかったみたいで。この世界ではふたりで楽しく生きようって決めました、から」

「そうか。うん。そうだな」

俺もそうだが、家族を捜さない者はそれなりの理由があるって事か。

家族を捜しているが見つからないミレさんやタウさん達と、捜したい家族がいない俺やレモンさん達、どっちが辛いんだろう?

いや、俺は別に辛くないか。ずっとひとりだったからな。

「カオはさ、捜したい人、いないのか?」

ソファーに座ったミレさんが、聞いて良いのか悪いのか悩み、トーンダウンした声でボソリと口にした。

「ああ、うん。いない」

俺は即答である。別に隠しているわけではないからな。誰にも聞かれなかったから今まで言ったことがないだけだ。

「よくある話だと思う。この歳になった今ならどこにでも転がってる話だってわかるんだが、当時は自分の中で拗れててなぁ」

俺はポツリポツリと、自分の過去を話し始めた。

うん、話す事で自分の中を整理したかったのかも知れない。

「あのさ、俺が生まれたのって地方の超ど田舎、山に囲まれて民家の数も少ない村でさ。こっちに来る50年くらい前ってさ、日本なのに江戸時代かってくらい遅れてるような場所だったよ。いや、江戸は言い過ぎかw信号もバスも無い、学校は山を越えた向こう、町はさらに山を越えないと行けないような地域でさ、うちは親父が9人兄弟姉妹の長男で本家で、長男偉い、本家偉い、みたいなとこで俺は次男として生まれたんだ」

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次話からカオの過去話になります。

すみません、オモロないです。魔法とか出てこないし。(~_~;)