軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

153話 地図作成

山さん、キック、ナオリン、俺カオの4人は翌日からダンジョン探索の一員(主に手伝い)として駆り出される事になった。

ギルドに向かうとゴルダからAランクパーティ“星影”のメンバーを紹介された。

リーダーのラルフ。

ガタイのよい大男なのでてっきり盾系かと思いきや、前衛だそうだ。腰に長剣をぶら下げていた。

フィル。

細マッチョでイケメン、まさかのこっちが盾持ちで戦う時は短剣だそうだ。マジか。

リザイア。

ショートカットの女性、女性の年齢はわからん。肩に弓をかけていたので後衛か。

3人とも冒険者ランクはAでパーティランクもA、現在この街にいる冒険者で一番ランクが高いパーティだそうだ。

「「「「よろしくお願いします」」」」

「おう、よろしくな。ゴブリン氾濫の時は別の街からここへ急いで向かったんだが、間に合わなかった。スマン。しかし、ゴブリン氾濫に続いてダンジョンとはな」

「でも私達ラッキーだったわね、ダンジョンの初探索に参加出来るなんて」

「リザ、気持ちはわかるが気を引き締めていくぞ?」

「わかってる、リーダー」

ほおお、さすがはAランクパーティ、カッコいいな。

ダンジョンの探索は彼らとゴルダに俺ら4人を入れた8人で行う。まずは死霊の森のすぐ外、草原まで俺のテレポートで皆を運んだ。

「おおう」

「便利だな」

「そうね、うちのパーティに欲しいわね」

ラルフ達にテレポートのブックマークを説明して、この場所をブクマしてもらった。

それからテレポートスクロールを数枚ずつと、もしもの時用に帰還スクも2枚ずつ渡した。

「頼む」

ゴルダの合図と共に俺は魔法を森に向けて放った。

「イラプション!」

バリバリバリバリッ

木々を薙ぎ倒しながら地割れが出来た。星影の3人は目を剥いていた。

深さはそんなでもない、とは言え、5メートルくらいか?地割れの長さは100メートル…目測だから正確にはわからん。

うち(日本)のアパートからコンビニくらいの距離だ。(絶対かと聞かれると知らん。)

「ううむ、邪魔な木々は無くなるが、地割れの中を馬車が進むのは無理だな」

そう。まずはダンジョンまでの道作りのための魔法の確認だ。俺が魔法を打つ間、ラルフ達は周りの警戒をしてくれている。

「ダンジョンまで地割れを作るのはできても馬車道にはならないぞ」

「そうだな、どうするか…」

「あ、カオくん。こっちにもう一本地割れを作れるかな?間を5、6メートルくらい開けて」

「わかった! 地割れと地割れの間に道を作るんですね?」

「なるほど。その手があったか」

「溝と溝に挟まれれば魔物からの直接攻撃も防ぎやすいな」

「間は10メートルくらいあった方がよくない? あんまり狭いと馬車が地割れに落ちたら困るし」

「あの……問題の、真ん中の……木は、どうします?」

「ウインドカッターでいけるかな? ちょっと試してみる」

まずイラプションを、さっきの割れ目から10メートルほど間を開けた場所に放った。左右の溝にさらにイラプションを撃って溝を深くした。

次は地割れと地割れの間の木々に向かってウインドカッターを放つ。

「ウインドカッター! ウインドカッター!」

ウインドカッターを放ちながら間の道を進んで行く。

「ある程度の整地は必要だが、いけそうだな」

そうだな。だが太い木の根が残ってるから、これでは馬車が通るなんて到底無理だ。

地面スレスレに魔法を撃て? ムリムリ。俺にコントロールを期待しないで。いや…待て。立ったまま撃つからダメなのか?

俺は腹ばいに地面にうつ伏せた。

地面にピッタリと伏せてバンザイをした状態で、魔法を放つ。

「ふぃんど、かったぁー」

この体勢、胸が圧迫されて何か詠唱し辛い。けど手の先から何かが出た気がする。

立ち上がって前方を確認すると、さっきまでそこにあった木の切り残しがゾリっと無くなっていた。

どうよ、俺。フフフン。ゴルダが満足そうにうなづいた。ラルフ達はちょっと微妙な顔をしていた。

イラプション!イラプション!伏せ。

ウインドカッターウインドカッターウインドカッターウインドカッタ。立ち上がり、

イラプションイラプション伏せ、ウインドカッタウインドカッタウインドカッタウインドカッタ。

時々MPバーを確認しつつ魔法を打ちまくる。ゲームではとっくにMP切れになっているところだ。

この世界で俺ラッキーと思ったのは魔法使用時に消費されるMP量がかなり少ない事だ。本当にありがたい。

その後もイラプとウインカを打ちまくり、ようやくやまとビル、いや、ダンジョンの入口まで到着した。

MPバーはまだ半分も減っていなかった。(だが気持ち的には体力は大幅に減った。だって、伏せて立って伏せて立ってって何の訓練だよ!)

「あれだけ派手に音を立ててたのに、魔物が近寄ってこなかったな」

「あんな大魔法を連続で打ったら大概の魔物は寄ってこないわよ」

リザイアさんが呆れたように笑っていた。マップで確認してみたが近くには赤い点は無かった。

ラルフ達にダンジョン前のこの場所もブックマークしてもらった。

ナオリンはガウディ…いや、ダンジョンをスマホでパシャパシャと撮影していた。

俺は青P(魔力回復薬)を飲んで座って休んでいた。明日筋肉痛になりそうなので、足にヒールもした。あと、顎にも。伏せて顔を上げた時に擦りむいていた。

「さて、どうする? ゴルダ」

「うむ。一旦休憩をとるにしても中に入ろう。中の方が安全だ」

「そうですね」

ゴルダが押し開いた大きな石の扉をくぐり中へと入った。ちなみにこの扉は見た目ほど重くはなかったし、閉じても中からも普通に開く事は出来た。

って事は、ゴブリンとか魔物も中に入って来るのでは?と思いゴルダに聞いてみたが、ダンジョンは特殊な空間なので外の魔物が入り込むことは無いそうだ。

逆に中の魔物が外に出る事はあるそうだ。怖っ。

ダンジョンの中に入った。

22階……実際は地上1階だが、マップを開くと前回通った道が表示された。敵(赤い点)は表示されていない。

「地図の作成を頼む」

ゴルダの指示により持ってきた道具を山さんとキックに渡す。

ナオリンのマップはまだグレー状態なので今日の地図作成は3人だけだ。

やまとの事務室からパクってきたバインダーに紙(コピー用紙)を数枚挟んだ物とシャーペンと消しゴムを渡した。

天井には明るいライトを設置した。長テーブルとパイプ椅子を出して俺達はそこに腰掛けて地図作成を始めた。

「マップのサイズをA4と同じくらいにして、目の前に引っ張ってくると写しやすいぞ」

「あ、ホントだ。右上見ながらだと目がキツかったけど描きやすい」

「紙の真上にしたらトレース出来るかな? あ、ダメだ。自分の手が邪魔」

ブツブツ言いながら俺たちはマップ作成をしていく。

ナオリンはゴルダとリザイアさんの護衛の元、22階をぐるっと周ってきていた。

ラルフさんとフィルさんは念のため俺らの護衛としてここに残ってくれていた。

「ううん、イマイチな出来だけどいいか」

山さんの呟きが聞こえたのでチラッと覗いてみた。

ウマ……。

「俺に絵画センスなど無い!」

「カオくん。地図に絵画センスは必要ないから」

「あの……あとで、3人で合わせましょう」

「そうだね。それがいい」

「どこでも見れればいいのにな。マップ」

「見えないやつからしたら、垂涎物だぞ。俺も欲しい。そのスキル」

ラルフさんは本当に羨ましそうにしていた。

ゴルダに描き終わった事を伝えた。ナオリン達も戻っていたので23Fへの階段へ進むことにした。右回りで進むとすぐだ。

凹んだ地面を踏み、開いた壁の中へ。23Fへと階段をのぼった。

マップを開くと前回通った23Fの地図が表示された。

「23Fはスライムか」

そう、前回このフロアにはスライムしか出なかった。マップを確認しても赤い点はない。少なくとも近くにスライム以外の敵はいないはず。

「どうする? またここで描く?」

「スライムだけというのが確実でない限り、二手に分かれるのは得策ではないな」

さすがAランクパーティのリーダー。ラルフの進言によりここからは全員で動く事になった。

まずはここで俺ら3人が地図作成、他の5人は警戒待機となった。

さっきと同様に地図作成を始めたが苦労した。

「22Fは一本道だから描きやすかったですね」

「そうだね。ここは道が複雑で描き漏れを出さないようにしないと」

「だ、だめだ、すでに紙をはみ出た!」

「何で(笑)」

山さんが笑いながら俺のバインダーを覗き込んだ。

「ふはははは、カオくん、 絵力(えぢから) すごいな」

「み、みるなっ! あぁ、上もはみ出る」

「先にこの階をクリアして私が作成に加わった方が良かったですね」

「ぐすん……次から頼む。ナオリン」

アイテムボックスからセロテープを取り出して、上と右に紙を貼り足した。左下から描き始めたら、どんどんと右上が広がってしまったのだ。

出来上がった地図を比べる。山さんとキックの地図は概ね似ていた。

俺の描いたモノは、合計4枚貼り合わせた地図になった。

大きくなった俺の地図を見ながら作戦会議をした。(よし!役に立ったぞ、ドヤ)

「今回、スライムの捕獲や討伐はしない。なので次の階、24Fへの最短距離を進む」

ゴルダは俺から渡された赤ペンを使い、24Fへの階段のあった場所まで赤線を引いた。

ふっ。俺の(巨大な)地図が役に立ってるようだ。大きくて見やすかろう。(ドヤドヤ)

山さん達は自分の描いた地図と見比べていた。

「あ、ここ行き止まりです。次の角がそこと繋がってます」

「あと……ここも、道がある。曲がるのは3つ目の角」

おおう、よかった。俺の地図だけだと完全に迷子だな。(マイナス1ドヤ)

「スライム以外が出ない保証はない。皆、気をつけて進んでくれ」

手直しされた俺の地図を片手に持ったゴルダを先頭に階段目指して俺たち一行は進んでいった。