軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

618 クラン 2

「……で、どうするのよ?」

あの後、詳しい話はまた明日、ということにして、自分達の部屋へと戻った『赤き誓い』。

明日にはクランについての返事をしなければならないため、今夜のうちに結論を出さねばならない。

「……私は、皆さんの意見を聞いた後で……」

そしてマイルが、そんなことを言い出した。

自分が希望を言えば、皆はそれに反対しづらくなるのではないか。

そう考えての言葉であろう。

そして、マイルならそう考えるだろうと思ってか、黙ってそれを受け入れたレーナ達。

「まず、メリットとデメリットは、マルセラが言った通りよね。私達にとって、メリットはかなり大きく、デメリットも『ワンダースリー』相手ならそう心配するようなことはないわ」

レーナの言葉に、大きく頷く3人。

「敢えて言うなら、私達が黙って勝手に移動するわけには行かず、旅に出る時には必ずあの連中にも事前に知らせる必要がある、っていう面倒があるくらいかしらね。

まぁ、それも別に許可が必要とかいうわけじゃないし、ついて来ないならそれで良し、何ならその時点でクランを解消しても構わないわけだしね。

別に、解約できない契約を結ぶというわけじゃなし。何なら、『お試し期間』ということにしてもいいし……」

どうやらレーナは、クラン結成にかなり前向きな考えであるらしい。

「……私も、それでいいと思います。メリットが大きく、デメリットは殆どありませんし……。

それに、レーナが言う通り、駄目だったらその時にクランを解散すれば済むことですからね。

反対する理由はありませんよ」

「私も、同感だよ。そしてマイルは……」

改めて聞くまでもなく、こくこくと頷いているマイル。

「じゃ、そういうことでいいわね?」

「「「おおっ!!」」」

* *

翌朝、マルセラ達にクランのことを了承する旨の返事をした、『赤き誓い』。

そして朝食後、にこにことした『ワンダースリー』と共に、丸々一日、この大陸について話し合う一同であった。

* *

「えええ! 海って、魔物の 巣窟(そうくつ) ぅ?」

「この大陸にも古竜の里があって、そこにも 伝手(つて) ができたぁ?」

『赤き誓い』からの説明に驚く、マルセラ達。

「えええ、ケラゴンさんが王都の孤児達にそんな大サービスを?」

そして、『ワンダースリー』の説明に驚く、マイル達。

「ケラゴンさんって、子供好きだったんだ……」

「子供というか、小さい動物を可愛く感じているだけなんじゃないの? 人間にとっての、雛鳥とか、生まれたての子猫とかいう感じで……。

マイル、あんたも御使い様だから尊敬されているというだけじゃなくて、その枠に入っているんじゃないの? ペット枠というか、愛玩動物枠というか……」

「……え?」

マイル、愕然。

「いや、今の話だと、孤児がどうこうという話じゃなくて、ただ単にウロコの間に挟まったゴミを取るのに子供の方が都合が良かっただけなんじゃあ……。

子供の方が手が小さいから狭い隙間にも手が入るし、敏感なウロコの下を大人に乱暴に扱われるのが嫌だとか……」

「「「なるほど……」」」

さすがメーヴィス、客観的な考察である。

「まあ、可愛くて庇護欲をそそるという意味では、納得ですわね……」

「何ですか、それはああああぁ〜〜っ!!」

マルセラの言葉に、吠えるマイル。

記憶を取り戻すまでにアデルとして生きた期間を加えれば、海里、アデル、マイルの期間を足して、精神年齢としてはまもなく33歳である。ここにいる大半の者の2倍くらい生きている。

それを、『可愛い』はともかく、『庇護欲をそそる』と言われては……。

しかし、幸いにもマイルは、『実は、本当の年齢はもっと上なのでは?』という疑惑だけは、絶対に抱かれる心配がない。

……本人は、それに納得がいかないようであるが……。

「まぁ、それはどうでもいいとしまして……」

「どうでもよくはありませんよっ!」

「王都での生活についてですが……」

マイルの抗議をスルーして、さっさと話を進めるマルセラ。

さすが、マイルの扱い方には慣れているようである。

「7人となりますと、宿を取るのもアレですから、パーティハウスといいますか、クランハウスといいますか、……一軒家を借りてはどうかと思いますの。

私達、アイテ……収納魔法のおかげで稼げますし、金貨や素材は国元からたくさん持ってきましたからね、収納に入れて。

金貨は、こちらでは地金の価値しかありませんけど、それでもそこそこの値は付きますからね」

確かに、と思った、『赤き誓い』の4人。

7人だと、4人部屋を2部屋取ることになる。

常に宿屋に2部屋空いているとは限らないし、みんなで話すにはどちらかの部屋に集まることになる。それだとかなり手狭になる。

また、7人となると、宿泊料も食費も、それなりの額になる。

それなら、家を借りた方が安くて便利なのではないか、ということである。

それに、宿屋だと、マイル謹製のお風呂、トイレ、ふかふかベッド等が使えず、そしてマイルが作る料理が食べられない。

なので……。

「「「「了承!!」」」」

* *

「……ところで、皆さんは料理が作れますか?」

翌日、7人揃って徒歩で王都へと向かいながら、マイルが皆にそう尋ねた。

何しろ、7人である。一日三食、全てマイルが作るというのは、あまりにもハードルが高すぎる。

勿論、聞くまでもなく、『赤き誓い』のメンバーの料理の腕前は把握している。

マイル自身は、料理好きの家庭の主婦レベル。

そこに、稀少なハーブや香辛料をたっぷり使い、調理に魔法を使い、そして地球の調理知識を用いることによって、この世界の一流料理人並みの腕を振るう。

……ズルである。

別に、桂剥きができるとか、優れた包丁技術があるとかいうわけではない。

……力があるから、何でも簡単に切ってはいるが、切断面とかも、そう綺麗なわけではない。

ポーリンは、一般家庭の奥さんレベル。

そこそこ美味しい、家庭料理的なものを作る。彼氏に作ってあげれば絶賛されるレベルである。

メーヴィスは、日本でたとえるならば、中学1年生の女の子が料理に挑戦、といった感じ。

常識的な、ごく普通の素人料理であり、問題なく食べられるが、そう美味しいというわけでもない。

そしてレーナ。

相手は死ぬ(エターナルフォースブリザード) 。

……せかいがはめつする。