軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ガルーダ戦④

天空から弾丸の如く突き進む黄金の残光。

ガルーダの急降下は空気を引き裂く咆哮そのものだった。しかし、悠太の築いた瞳が開いた瞬間、空間の支配権はあっさりと書き換えられた。

「撃て!」

その合図と共に、ドーム内に凄まじい衝撃音が連続して轟く。

シュパパパパパン!!

通常の八倍にまで跳ね上げられた魔素の弾丸。それはもはや単なる礫ではない。一発一発が鉄をも貫く破壊力を持ち、回避不能の速度でガルーダを襲う。

悠太を視界に捉え殺意の目を向けるガルーダ。その視線そのものが自分を穿つ死への誘導装置となっていることに気づくよしもない。

「グアアアッ!? まだ仲間がいたのか? どこから撃ってやがる! くそっ! 次から次へと訳の分からん攻撃を。小癪なやつめ!」

急降下していたガルーダの身体が空中で幾度も激しく弾ける。黄金の羽根が引き千切られ、鮮血が地上へと降り注ぐ。たまらずガルーダは防御姿勢を取り、巨大な翼を顔の前でクロスさせて悠太への視界を遮断した。

嘘のように止む銃撃。

「…はぁ、はぁ。なんだったんだ今のは……得体の知れない技を使いやがって……」

ガルーダが安堵し、翼の隙間から再び悠太を覗き込んだ瞬間。

シュパパン!!

「ぎああああああっ!!」

再び、無慈悲な狙撃が始まる。

見れば撃たれる。見なければ殺せない。ガルーダはこの理不尽な罠の仕組みを理解できぬまま、ジャイアントウルフをも一瞬で葬り去った破壊の雨に晒され続けた。

特に被害が集中したのは機動力の源である両翼だ。穴だらけになった黄金の翼はもはや風を捉えることができず、ガルーダは無様に地上へと墜落した。

「…なんてことだ。この俺が……地に這いつくばる、とは……」

四分間という、永遠にも感じられる殺戮の時間が終了した。悠太の額からは滝のような汗が流れ、魔素の枯渇による倦怠感に襲われながらも背後の仲間に向かって右手を挙げた。

「終わりだ!」

その声を合図に、四人がワイドシールドから飛び出す。

「よくも好き放題やってくれたな! くらえ、『一閃』『一閃』!!」

大輝が爆発的な踏み込みで肉薄し、右へ左へ剣を振るう。

ガルーダは満身創痍ながらも、地を這うような低空旋回でダメージが最小限になるよう受け流し、鋭い爪で大輝の剣を弾き飛ばそうと応戦する。

「 アイスランス!」

佐々木の氷槍が次々と飛来すると、ガルーダは片翼を引きずりながらも致命傷を避けようと岩陰へ飛び込む。だが、そこへ如月の『虚空穿』が空間ごと岩を削り取った。

「くそぉっ!!」

ガルーダは口から猛烈な衝撃波を放ち、大輝と如月を牽制した。しかし、多勢に無勢。

一閃がガルーダの脇腹を深く裂き、アイスランスがその脚を凍てつかせる。如月の不可視の刃が背中の羽根をさらに削ぎ落とし、黄金の怪鳥は血に染まり、膝をついた。

「これで……終わりだ!」

勝利を確信した大輝がトドメの一撃を振り下ろす。

しかし、窮地に陥ったガルーダが、喉の奥から絞り出すような咆哮を上げた。死を覚悟したかのようなその叫びと共に、ガルーダは折れかけた翼を無理やり羽ばたかせ、最後の力を振り絞って数メートル上空へと逃れた。

「あきらめが悪ぃんだよ! どうせもう死ぬんだから大人しくやられてろ!」

大輝は勝ち誇ったように剣を肩に担ぎ、余裕の笑みを浮かべた。

だが、悠太だけは違和感を覚えた。

「人間ふぜいがぁ、許さんぞぉおお!!」

空中に浮かぶガルーダの身体が急速にまばゆい光の球体に包まれていく。

「何か、おかしい。みんな、気をつけろ!」

悠太の警告が響く中、光の球体が弾けるように霧散した。

そこに現れたのは――

「…………なっ!?」

剛田が盾を落としそうになり、如月が絶句する。

黄金の羽根は一枚の欠けもなく再生し、銃弾で穴だらけだった翼も、一閃で切り裂かれた胸元も全てが元通りに再生されていた。傷一つない、完全な状態のガルーダが不敵な笑みを浮かべる。

「ハハハハッ!!」

ガルーダは愉悦に満ちた笑い声を上げ、最初に進入した時と同じように悠然と五人を見下ろした。

「回復できるのは、おまえたちだけとでも思ったのか? ……さて、第二ラウンドを始めようか。次は誰から絶望させてあげようかな?」

悠太の魔素残量はすでにほとんど残されていない。それは他の四人も同じだった。

完全回復した空の王を前に、五人の間に再び、重苦しい絶望が立ち込めた。