作品タイトル不明
第116話 戦闘スタイルがゴリラなんよ
四方八方から襲いかかってくるキノコの群れと、金本美久と恋音が激しく交戦する。
「動きもそんなに速くないし、防御力も低いっ……だけど、倒すたびに拡散させてくる糸がすごく厄介っ……」
「あと、数が多すぎると思います……っ!」
〈恋音ちゃんに同意〉
〈ほんと多いなキノコ〉
〈まぁそういうフィールドだからな〉
〈無数のキノコに攻められるアイドル……やばい興奮してきた〉
〈変態レベル高杉だろお前〉
キノコが撒き散らす糸に絡みつかれると、段々と身動きが取り辛くなっていく。
幸いそれほど強靭な糸ではないため、金本美久は剣で斬り裂き、巨人の腕力というスキルを持つ恋音は強引に引き千切っている。
〈恋音ちゃんのパワーで解決していくとこ好き〉
〈あんなにかわいいのに戦闘スタイルがゴリラなんよなw〉
〈ギャップ萌え〉
ちなみに何体かは俺と加賀麗華の方に来たが、火魔法で焼いてやった。
そうすると糸を伸ばすこともなく倒れ込む。
「キノコの菌は高熱に弱いので、焼けば簡単に死滅します。……うん、美味しそうに焼けましたね」
〈美味しそうとは?〉
〈どこがよwww〉
〈見た目がアレだから全然美味しそうに見えないんやが〉
〈絶対毒あるだろこいつら〉
「いえ、毒はないと思いますよ。ちょっと味見してみますね」
俺は焼いたキノコの一部を切り取り、口に入れてみる。
〈躊躇なく食べたwww〉
〈恐ろしく速い味見、俺でなきゃ見逃しちゃうね〉
〈さすがニシダ〉
〈かっこいい〉
〈かっこいい……?〉
〈こういう人のお陰で今この世界に色んな食材があるんだろうな〉
〈そう考えるとちょっとかっこいいかもしれん〉
「あー、これはあまり美味しくないキノコですね。えぐみとかはないですけど、単純に味が淡白すぎます」
残念ながら食材には使えそうにない。
〈たくさん確保できそうだったのになぁ〉
〈毒はなかったっぽい?〉
〈遅効性かもしれん〉
「ちなみにキノコの魔物は過去に何度か食べたことがありますが、中には旨味成分の塊のようなやつもいて、そこらの牛肉よりも遥かに美味しかったりします」
そんなことを話していると、どうやら無事にキノコの群れを全滅させられたようだ。
「ふぅ、何とかぜんぶ倒せたね!」
「はぁはぁ……ちょっと疲れましたっ……」
「よく頑張ったな。いったんポーションを飲んで怪我と体力を回復させるか」
ポーションを飲みながら金本美久が聞いてくる。
「このキノコって食材にできそうですか? なんか毒がありそうですけど……」
「いや、食べてみたが難しそうだ。ちなみに毒はない」
「食べたんですか!? いつの間に!?」
〈君たちが必死に戦ってる間に食べてたよw〉
〈俺たちは止めたんだが……〉
〈誰も止めてないやろ〉
「なるほど、美味しくなかったんですか……」
〈ちょっと残念そうな美久ちゃん〉
〈食べるつもりだったのかな?〉
〈代わりに僕のキノコを食べてほしいなぁニチャァ。うちキノコ農家なんだ〉
〈きもい粗チン野郎がおるなと思ったら本物のキノコで草生える〉
〈そこはキノコ生えるやろ〉
さらに先へと進んでいく。
この辺りの階は、端から端までがだいたい15キロある。
普通にのんびり歩いていると3~4時間もかかってしまうため、移動は軽いジョギングだ。
軽いと言っても、そこは一般人とは身体能力が違う探索者。
50メートルだとだいたい10秒くらいのペースであっても、一時間くらい余裕で走り続けることができる。
さすがに魔物やトラップにも注意を払わなければならず、もう少し速度は落ちるが。
だいたい1時間ほどで、地下14階へと続く階段を発見した。
なお、途中で遭遇した魔物は、先ほど遭遇した狂暴なウサギを筆頭に、クマ、狼などの動物系の魔物や、昆虫系の魔物、そしてやはりキノコの魔物が多かった。
階段を降りていくと、再びキノコが生い茂ったフィールドに出る。
「でも、心なしかさっきより大きいキノコが多いかも?」
「そ、そうですね……傘も大きくて、キノコの上を進めそうなくらい……」
魔物も地下13階とほとんど変化がなかった。
二人だけで撃破しながら順調に進み、再び下階への階段へと辿り着く。
「恋音ちゃん、ついに最下階だよっ!」
「き、緊張します……」
〈今のところ他の探索者見てないな〉
〈これマジで最速攻略できるんじゃね?〉
〈明日のネットニュースになるなw〉
〈二人だけでボス倒せるかなぁ?〉
最下階と推測される地下15階も、やはりキノコだらけのフィールドだ。
だがこれまでと違うのが、複数のキノコが積み重なっていることで、立体的なフィールドになっている点だ。
「地上は柄が複雑に絡まり合って、迷路みたいになってるね。これならキノコの傘の上を通って行った方が早いかも?」
「で、でも、どうやって上ったらいいんだろ……?」
「うーん……ゲームだったら、踏み台に使えるキノコがありそうだけど……」
「あ……それなら、あそこに、それっぽいのが……」
「ほんとだ!」
恋音が弾力性のありそうなキノコを発見する。
その上に飛び乗ると、トランポリンに乗ったときのように身体が跳ねた。
びよよよよよよよよよよよんっ!
「行けそうだよ!」
「で、ですねっ!」
〈これはゲームっぽいギミックw〉
〈楽しそう〉
〈くっ、スカートの中が見えそうで見えない〉
そうして二人はキノコを使って大きく跳躍し、近くの傘の上へ飛び乗ることに成功したのだった。