軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第111話 もしかして心の中読まれてる

伊達政宗を新たな英霊として従えた俺は、無事に予約していた新幹線にも乗ることができ、その日のうちに立川に戻ってこれた。

そして翌日、いつも通りの開店時間に、営業をスタートしようとしたのだが、

「「「キッチンザムライ!」」」

「「「厨房武士!」」」

「「「サムライ・ド・キュイジーヌ!」」」

「「「サムライ・ニャーベップ!」」」

めちゃくちゃ外国人がいる!?

「え、何でこんなに外国人が並んでるんだ?」

今までもちらほらと海外からの客が店に来てはいたが、ここまでの人数は初めてだ。

お陰で色んな言語が飛び交っている。

困惑していると、アルバイトの田中正憲が苦笑気味に教えてくれた。

「何でって、魔族を倒した英雄を一目見たいと、旅行客が殺到してきているんですよ」

「そうなのか?」

「はい。臨時休業だと知らずに、昨日も大勢集まってきていて、近隣に住む常連客の方たちが急遽、外国語の張り紙をしてくれたくらいです」

「マジか」

どうやらそれだけ魔族の討伐はインパクトがあったらしく、配信の切り抜きが世界中で拡散されまくっているようだ。

「同時にこの店のことも拡散されてるみたいですから」

「……どうしよう。こんなにいたら、さすがに対応できないぞ」

英語だけならまだしも、色んな国の言語に対応するのは不可能だ。

外国語用のメニュー表すらもない……これは早急に用意したいところだが、生憎ともう今日の開店には間に合わない。

「そうですね……僕も英語とドルツ語と漢語くらいしかできないです」

「むしろそんなにできるのか」

田中正憲は優秀だ。

「卑弥呼の言霊で、同じメニューを注文させられたりできないか?」

「もちろん可能ぢゃが、後で我に返ったときに、なぜあれを注文したのかと後悔することになるかもしれぬぞ」

「なるほど、それはそうだな。せっかく食べに来てくれたのに、食べたいものを食べれずに帰すのはよくない」

どうしたものかと頭を悩ませていると、アルバイト初日の伊達政宗がなぜか自信満々に言う。

「儂に任せるでござるよ」

「妙案があるのか?」

「うむ、儂の〝目〟を使うのじゃ」

伊達政宗が右目の眼帯を外した。

するとそこにあったのは、不気味な光彩を放つ瞳だった。

「儂のこの魔眼にかかれば、欲しているものくらい簡単に見抜けるでござるよ」

どうやら特殊な能力を持つ目らしい。

「え、そんなこと分かるのか?」

「あの金髪の大男はハンバーグ定食でござるな。その隣の美女はお魚定食じゃ」

「本当に……?」

「ドルツ語っぽいので、念のため確認してみますね」

田中正憲がその二人の外国人に、ドルツ語で訊ねる。

「グーテンターク! ヴィルコメン! ズィント・ズィー・ブレアイト、ツー・ベシュテレン?」

すごい、本当にドルツ語で話しているぞ。

全然分からないが。

すぐにこっちに戻ってくる。

「確かにハンバーグ定食とお魚定食でした!」

「マジか」

「どうでござるか。儂の魔眼にかかれば、この程度は朝飯前じゃわい」

「ああ、凄いな。これならいちいち注文を取らずに、どんどん料理を出していけるぞ」

こうして外国人からは注文を受けずに料理を出していくことになった。

「グリルチキン定食が一つ、ハンバーグ定食が二つ、それからバナナカレー定食が一つじゃ」

店に入ってきた時点で伊達政宗からオーダーを教えてもらい、調理を開始する。

料理が完成するまでだいたい一分くらいなので、テーブルに腰かけて日本語のメニューを見ながら困り顔をする頃には、テーブルに料理が運ばれていく。

これなら外国語のメニュー表を作る必要もない。

当然ながら大いに驚かれたが、この店はこういうスタイルなのだと納得したようで、意外とすんなり受け入れられた。

しっかり自分が食べたいものが出てくるのだから不満もない。

「というか、日本人相手でもこれでいいんじゃないか?」

そうすることにした。

結果、お客さんの回転率も向上。

しかも早めにオーダーが分かることで、調理も効率よくできるようになった。

さらに田中正憲がある方法を提案してくる。

「もう客が外に並んでいる時点で、政宗さんにオーダーを取ってもらえばいいのでは?」

「それだ」

そうすることにした。

◇ ◇ ◇

【英霊バイト増加中】ケンちゃん食堂part135【独眼竜政宗】

無名の探索者

新しい英霊バイトは伊達政宗

無名の探索者

どう考えても単語の組み合わせがおかしいwww

無名の探索者

けど客をずっと見ているだけで何もしてない

無名の探索者

どういうこと?

無名の探索者

働けよ

無名の探索者

見てるだけ?

無名の探索者

謎だなwww

無名の探索者

てか、注文しなくても料理が運ばれてくるようになったんやが

無名の探索者

は?

無名の探索者

どういうこと?

無名の探索者

こっちが聞きたい。席に着いたと思ったらもう料理がくるのもおかしい

無名の探索者

ニシダのお任せになったってことか?

無名の探索者

大量の客を捌き切るためについに禁断に手を出したか……

無名の探索者

食べたくないやつ来たらどうすんだよ?

無名の探索者

それが、いつも注文しようと思ってたやつなんだよな

無名の探索者

え、もしかして心の中読まれてるwww

無名の探索者

その可能性はある

無名の探索者

注文決めてない場合は?

無名の探索者

それでも普通に出てくる。そして美味しそうだから「食べたかったのはこれだ!」ってなる

無名の探索者

なにそれこわい

無名の探索者

伊達政宗が来てからだな

無名の探索者

もしかして政宗が何かしてる?

無名の探索者

そういやいつも右目がめっちゃ光ってるな

無名の探索者

何かの能力じゃね?

無名の探索者

見てるだけじゃなかったのか……

無名の探索者

政宗に謝れwww

無名の探索者

面白そうだから今度めっちゃマイナーなメニュー頼みに行ってみよう

無名の探索者

それでちゃんと出てきたらマジですごいな