軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

33「ありがたい信託じゃね?」①

「あれ? ここは……俺は、寝ていたはずじゃ」

夏樹は、数日ぶりに自宅のベッドで眠ることができてご満悦だったはずだ。

しかし、気づけば星々の煌めく空間にいた。

「――なにこれ宇宙!? ついに眠っている間に宇宙にいっちゃったの!? それとも惑星召喚!?」

混乱するのもわかる。

夢の中にしてはあまりにもリアルすぎる。

視界の中で輝く星々を夢と呼ぶには、無理があった。

「……っ、これはまさか、そうなのか? 来るのか? 来てしまうのか?」

夏樹の身体が小刻みに震えた。

恐怖ではない。

高まる期待からだ。

「――由良、夏樹よ」

凛とした女性の声が背後から響いた。

(はい、来たぁあああああああああああああああああああああ!)

以前、邂逅した時よりもはっきりと聞こえる声に夏樹は振り返った。

「お久しぶりですね、由良夏樹。わたくしは、河童大神様に仕える女神――河童美脚乃神です」

「河童美脚乃神様!? 美脚なのです、か……って見えねぇええええええええええええええええええええええええええええええ!」

黒髪を伸ばした凛とした二十歳ほどの女性は、どこか日本人に見えた。

背はすらりと高く、艶やかな黒髪の上には月のように輝く皿が載っている。

河童大神様に仕える女神様のご尊顔を初めて見ることに興奮を隠せない夏樹だったが、肝心な彼女の足は光に隠れて見えなかった。

「残念ですが、あなたはまだ我々を完全に目視するステージに立っていません。私の力を抑えることで、あなたに姿を見せることができているのです」

「……悔しいです!」

「悲しむことはありません。あなたは着実に我々のステージに近づいています。その証拠に、私がこうして力を抑えているとはいえ姿を見ることができるのですから」

励ますように夏樹の髪を撫でて微笑んでくれる女神に、涙を流し拝んだ。

「由良夏樹よ、あなたには感謝を。異世界に迷い込んでいた数多の同胞を救ってくれましたね」

「河童の守護聖人として当たり前のことです!」

「そう言ってくれると嬉しく思います。誰もがあなたのように高潔な者ではありません。可愛らしい同胞たちの姿を見て欲に駆られた者が今まで何人いたか……」

河童美脚乃神は、悲しげに目を伏せた。

夏樹もつられて泣いた。

おいおい泣いた。

「あなたと最初に出会った河童は、いずれ我々のいるステージに上がることのできる可能性を持った河童でした」

「なん、だと」

「河童界では期待された河童でした。まだ本人はその本質に気づいていませんが、いずれ……。その可能性が異世界で潰えなかったことに、私はもちろん河童大神様もとても感謝しておられます」

「ははぁ!」

夏樹はひれ伏した。

誰かに褒められたかったわけじゃない。

しかし、自分の行動を見てくれて、褒めてくれる河童様がいることは嬉しかった。