軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

プロローグ「なまはげ扱いじゃね?」

――由良夏樹は聖剣に選ばれた勇者であり、海を司る勇者でもある。

異世界に召喚されて、数年の歳月を戦い。

ようやく魔王を倒し、魔神を殺して日本に帰還したのだが、知らなかっただけで近所にファンタジーはたくさんあることに気づいた。

そして、夏樹は愉快な仲間たちと共に再び異世界に足を踏み入れることとなったのだった。

ゴッドによって異世界に転移されたのだが、インド神話から遊びに来たガネーシャ神が転移に無理やり乱入したことで、本来ならば異世界の魔王の城に静かに到着するはずが、勢い任せに魔王の城の壁を突き破ることなった。

「あいたた、ゴッドぉ。途中で、あ、とか言ったから嫌な予感したけど、流星のごとく異世界に吹っ飛ばしてくれちゃって……めちゃくちゃ痛いんですけど!」

魔王城に転移させると言っていたので、おそらくここは魔王の城なのだろう。

全員が綺麗に城の中の壁に突き刺さっている。

夏樹は、瓦礫を払うと、見知った顔を見つけた。

「あー! 魔王さんじゃん! ちーす! ギャラクシー河童勇者ツヴァイのなっちゃんでーす! おひさーっす! ふぅうううううううううううう!」

名前は知らないが、魔王に挨拶をする。

「あ、ああ、久しいな勇者よ」

手を挙げて気さくに挨拶をすると、魔王はなぜか戸惑った雰囲気で返事をした。

夏樹の記憶にある魔王は、瞳に人間への復讐を宿す、狂気に囚われていた。しかし、今の魔王は理性を取り戻し、知性的に見える。

また戦った時には、精神面が異常だったこともあり、魔力も不安定だったが、今の彼女の魔力は安定している。

「なっちゃんって呼んで呼んで。殺し合った仲じゃない」

「な、なんというか、雰囲気が変わったな……そなたは、そのもっと人形のように淡々と命を奪う恐ろしい存在だったはずだが……それに、その、なんだ、若返ったのか?」

「なんかやんちゃしていた頃のことを言われると、恥ずかしっ! 若返ったっていうか、俺の本来の年齢に戻ったというか。魔王さんは相変わらず幼女っすね!」

「いや、幼女ではないんだが」

「ロリババァでしたね、さーせん!」

「……なぜか馬鹿にされている気がするのは気のせいだろうか?」

ロリババァ扱いされた魔王は、夏樹の言葉通りの体型をしていた。

身長は百四十センチほどしかなかった。

銀髪を腰まで伸ばした、チョコレートのような褐色の肌を持つ。

実際年齢は知らないが、長い時間魔王として魔族の頂点にいたそんな彼女は、ぱっと見――十歳ほどだ。

真偽は知らないが、ダークエルフの血が濃いと聞いたことがある。

「祐介くんがいたら、魔王さんを見て狂喜乱舞して踊り狂ってくれるのに……残念だったね」

「よくわからんが、私の名前はギーゼラ・シラーだ」

「魔王さんの名前ってそんな感じなんだ」

「……そなたは戦った相手の名前を知らなかったのか!?」

「いやー、なんか申し訳ないっす。あんまり興味なかった」

「――なん、だと」

夏樹があっさり興味がなかったと言うと魔王ことギーゼラは絶句していた。

「あ、あの!」

「あ! 魔王の娘さんじゃん! わー、元気だった? ペガサスさん元気?」

「う、うん。元気だったよ。ペガちゃんも元気だよ」

「そっかそっか、ペガサスさんも元気か。そう言えば、君のお名前は?」

「ラーラ・シラーだよ。ラーラって呼んで」

「了解! 俺は由良夏樹! なっちゃんって呼んでね! ……にしても、見た目が母娘で逆じゃね?」

褐色ロリババァの魔王に対し、娘のラーラは十七歳ほどだ。

さすがにラーラが母には見えないが、姉と妹くらいには見える。

「……それ、よく言われるかも。私老け顔じゃないもん」

「そんなこと言ってないんだけど」

「待て、勇者よ! いろいろ聞きたいことはある! 談笑は後にしてくれ!」

「そうだったね」

「まず、そなたは故郷に帰ったはずだ! なぜいる!? 戻ってきたと言うのか!?」

「そっか、そこからだよね。俺は故郷に戻り――」

夏樹が説明を始めると、魔族の騎士が部屋の中に傾れ込んできた。

「――魔王様! ご無事ですか!?」

「ああ、問題ない」

「壁が……人間側の襲撃ですか!?」

「それを今、聞こうと思ってな」

「誰に? ――はっ、お、お前は?」

騎士たちが魔王の視線をたどり夏樹を見つけた。

歴戦の騎士であるはずの彼らは、幼い子が怯えるように身体を震わせる。

「やあ! ギャラクシー河童勇者ツヴァイのなっちゃんだよ!」

元気よく挨拶をした夏樹を見て、騎士たちは次々と失神した。

「えー?」