作品タイトル不明
間話「酔っ払ったまもんまもんじゃね?」
――青森某所
「ただいまもんまもん!」
「酒くさっ!? ちょ、飲み過ぎだろう、マモン! お前がそんなご機嫌に酔っ払う姿なんて……あ、割と見てるな」
青森から飛んでいったマモンが酒臭くなって帰ってきたことに驚いたサマエルだが、彼のいでたちに目を丸くした。
震える声で問う。
「……なんで、この令和の時代に、頭にネクタイ巻いてお土産片手にかえってくるんだよ! そんなおっさんもういねえよ! 絶滅したよ! 昭和すぎだろ! 頑張ってもギリ平成初期だぞ!」
「まもーん。まさか宇宙の平和をまもんまもんするためにまもんまもんしたら、まさか異世界にまもんまもんされるとは、このマモンをしてもまもんまもんでした」
「え? なにそれ? 異世界ってどういうこと?」
異世界という単語が飛び出たので、丸テーブルで動画編集しながら一杯飲んでいたサマエルが手を止める。
「実は……まもんがまもんでまもんまもんのまもんまもんがまもんまもんでまもんまもん」
「さすがにその展開はありえないだろー! つーか、私も宇宙行きたかったなぁ! ドップニャーニャー海賊団? とかいう宇宙海賊とバトりたかったなぁ! 私の封じられし力が宇宙で解放されたかも知れないのに!」
「まもんまもんまもまもんまもんまもんまもん!」
「厨二病じゃねえよ! もう卒業したから!」
サマエルはとりあえず酔っ払ったマモンの写真を撮ると、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、手渡す。
「まもんまもん」
水を飲む、マモンにサマエルは悩む。
(うーん、嘘を言うような奴じゃないんだけど、酔っ払ってるからなぁ。いくらなんでも異世界なんてそうそう行けないだろうし。それよりも、酔っ払った状態で空飛ぶって飲酒運転か?)
異世界に興味があるが、酔っ払っているマモンの話に信憑性はない。
世界と世界は次元の壁によって隔たれているので、世界を越えるにはゴッドのような高位存在の干渉がなければ難しい。
もしくは、奇跡が必要だ。
「まもまもまもんのまもんがまもんでまももんまもまも」
「ああ? 異世界のお土産だって? いいだろう、見せてみろ」
「まーもーんー!」
マモンが床に「お土産」を並べた。
サマエルが絶句する。
「ちょ、なにこの血がついた王冠、禍々しい呪われた剣、なんかわからないモンスターの首とかいらねえ! ゴミだろ! 私のコレクションにもっとすげえのあるから! いや、まて、これが異世界のものだと価値が……証明ができねえ! おい、マジでどうなって……玄関で寝るなよぉ」
満足したのか眠ってしまったマモン。
「できれば異世界じゃなくて宇宙のお土産が欲しかったなぁ。ビームでる銃とかさぁ」
ちょっと残念に思いながら、次に宇宙的なイベントがあったら自分も行こうとサマエルは決めた。
サマエルはマモンを担ぐと彼の部屋に連れて行く。
ベッドはないが、分厚いマットレスが敷いてあるので投げて、傍にミネラルウォーターを置いた。
「さ、私も寝ようっと」
明日の朝に異世界について話を聞こうお決めると、サマエルはビールを冷蔵庫から取り出すと、ぐいっと一気飲みして部屋に戻るのだった。
――ちなみに、この日のマモンの姿をショート動画にアップしたら、めっちゃバズった。