軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

88「事後処理じゃね?」②

星熊童子たちの今後の扱いは、東雲に任せればいいと夏樹の中で結論付けた。

反発する者もいるだろうが、それはそれ、だ。

なんとなーく、向島市に着いてきそうな雰囲気もあるが、その場合は千手がちゃんと面倒を見るだろう。

次に、と東雲が続ける。

「音叉ときららに関してやけど、このふたりのことも夏樹くんと、ここにはいない一登くんに心から謝罪をします。強硬派の連中を焚きつけたこと、危険に晒すことはできんかったみたいやけど、害しようとしたんは事実やほんまに申し訳ございません」

「いいよ、いいよ。ふたりは天照大神さんからお仕置きされたようだし」

「じゃが、次またなんかやったら鼻フックじゃぞ!」

指を二本立てる小梅に、きららが「ぐぬぬ」と唸る。

(そう言えば、俺に喧嘩売ったおばさんどうしたんだろう? 月読先生に回収されていたけど――はっ、まさか「くっ、ころせ!」みたいな展開に!?)

「強硬派を安部家がいいようにしとったとはいえ、霊能者として二度がないよう仕置きする予定や。ただ、中には鬼や妖怪への復讐を望んでいる人もおるから、その辺りは話し合いやね」

「鬼も茨木童子というおっかねえ鬼がいなくなったら、それぞれ好き放題にするだろうさ。もう古い鬼は俺ら以外いねえから、若い奴らが好き勝手やって、結果人間に殺されても文句は言わねえよ」

酒呑童子が言うには、星熊童子たち以外の古い鬼はすべて茨木童子に殺されたか食われたかしているらしい。

要は派閥争いに負けたということだ。

今の鬼達は、平安の時代から生きる鬼ではなく、割と新しい鬼らしいので酒呑童子も仲間意識はないようだ。

そんな連中を茨木童子は強さと恐怖だけで従えていたらしい。

一方で、星熊童子たちは他の鬼と交流を持ち、反発する鬼はいるようだが、それでも慕われていたようだ。

星熊童子たちが他の鬼にも声をかけて、今後人間たちと揉めないように訴えてくれるらしい。それでも折り合いができないのであれば、討伐対象になるのは仕方がないとのことだ。

この辺りの割り切りは鬼たちのほうが潔い。

「京都のことは京都のみんなに任せるよ。あ……そういえば、今って何時? 俺ってどのくらい寝てたの?」

「もう十七時になるんよ」

「なんだ、なっちゃん。もう腹減ったか? おっちゃんが晩御飯も奢ってやるよ。美味しい湯豆腐の店があってな。美味い日本酒も出してくれるんだよ」

「それはええのう! 日本酒かぁ! 最近飲んどらんかったのう! 熱燗も好きじゃが、冷たいのもええのう!」

酒呑童子と小梅が、もう戦いは終わったとばかりに打ち上げを始めようとしている。

だが、夏樹は納得できなかった。

「違うよ! 俺、まだ安倍家更地にしてないじゃん! 有言実行は大事! さあさあ、安倍家滅ぼすぞ! やー!」

「……おどれ……ぶっ倒れたのにまだやるんか。放っておいても東雲たちが勝手に潰すじゃろうて……」

「せやで、夏樹くん。安倍家のことば自分に任せてほしい。きちんとけじめをつけることを約束するんよ」

「や!」

「……や、って言われても」

「俺はね! 円ちゃんと仲直りして、酒呑童子と安部家をぶっ潰すために京都にきたの! 酒呑童子のおっちゃんもなんか話と違うし、すっきりしない! そうなったら安部家潰すしかないじゃん! 更地にするしかないじゃん!」

「えー」

小梅や祐介、千手はすでに神奈家に殴り込みをかけた過去があるのでそう驚かないが、東雲と酒呑童子の京都勢は夏樹の行動理由に驚きだ。

「とーにーかーく! 安倍家潰しにいくぞぉ!」

夏樹はそう言ってアイテムボックスから「ざまぁ」と書かれた半被を取り出し羽織った。

「ついてこれるかい?」

半被を装備した夏樹を見て、一同は唖然とした。

「……小梅様はこっそり思ってたんじゃが、こやつはちょっとやばいじゃろう!? くぉら、円ぁ! 夏樹は昔からこんなんだったんか!? 二度目じゃからそんな驚かんと思っとったけど、十分にびっくりじゃわ!」

「うーん、昔も一度はっちゃけるとずっとテンション高かったし、こんな感じだったかなぁ。懐かしいなぁ」

「懐かしんどってええんか!? おどれの大事な幼馴染みがバグっとるぞ!?」

困ったような顔をしながらも、茨木童子の呪いが解けて過去の思い出がクリアになった円が懐かしむ。

すると、夏樹がハッとした顔をした。

「俺、思い出した。京都のお祭りで半被を着た愉快なおっちゃんが、――屋台で買ったプラカップに注いだだけのビールってなんでこんなにうめえんだ! ふぅうううううううううう! って、言っているのを見て、半被を知ったんだよ」

「絶対、酒呑童子のおっさんじゃろ! さらっと地元の方々に混ざって祭りをエンジョイすんな!」

「いやいやいやいや、俺かもしれないとかの前に、俺ほどの地元民はいねえよ!」

平安時代から生きる酒呑童子の言葉に、「そりゃ確かに」と小梅を含む全員が納得してしまった。

「まあ、いいさ! 湯豆腐の前に、安部家潰しだ! やー!」