軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

83「ビッグネームの過去やばくね?」①

安倍晴明と蘆屋道満。

ふたりの名を知らぬ霊能力者はいない。

――否。

ふたりの名を知らぬ日本人はいない。

「数々のビッグネームと出会ってきたがこんなに嬉しい日はない! せーめーさんとどーまんさん! 初めまして、僕、由良夏樹です! 異世界帰りのギャラクシー河童勇者です! 特技は殺戮です!」

「……嫌な特技じゃのう。あと、一番のビッグネームはこのルシファー様じゃろう!」

ドヤ顔をする小梅ではあるが、思春期真っ盛りの中学三年生には、ルシファーも安倍晴明も蘆屋道満も同じくらいビッグネームだ。

「いやぁ、小梅ちゃんの場合は小梅ちゃんだし。ルシファーさんって、名字でしょう? 日本で言ったら佐藤さん鈴木さんでしょう?」

「……よりによって最多の佐藤さんと次点の鈴木さんを例えに持ってくるんでない! ルシファーさんの希少価値が下がるじゃろうて!」

小梅が突っ込むも瞳を輝かせた夏樹の興味は安倍晴明と蘆屋道満に注がれていた。

「酒呑童子もビッグネームなんだけどなぁ。茨木童子だってそうだぜ? 虎熊童子、虎童子、熊童子、金童子はマイナーだけど」

「うるせえ、クソ親父! そもそもてめえが茨木童子を放置したからやりたい放題なんだろう!」

「また酒屋帰りを襲撃して泣かせてやるかんな!」

「くまくまっ! くまー!」

酒呑童子が自分もビッグネームであると主張するが、すでに邂逅を果たしたこともあり、いくら酒呑童子というビッグネームでも安倍晴明と蘆屋道満には届かない。

「ボクらに興味津々なんは嬉しいけど、まずは茨木童子の遺体をどうにかしよや?」

「そうだな。けし飛ばすことができれば一番だが、いくら俺たちでもできねえ」

安倍晴明と蘆屋道満は、茨木童子の亡骸についてのこれからを考える。

「酒呑童子はんはなんか手段があるん?」

「――いや、ただ静かに眠らせてやりたいと思っただけだ。袂を分かったが、娘だ。死んだあとくらいゆっくり眠ったっていいだろうよ」

酒呑童子は、娘の亡骸に目を向けてから、静かに黙祷する。

夏樹たちも、ひとまずの感情は置いておいて、黙祷した。

「せやね。なら、なおさら厳重に封じるか壊すかせんといかんよ。茨木童子の遺体なんて裏家業の人間からしたら、喉から手が出るほどやからね」

「もっとも、手に入れても扱えるかどうか疑問が残るが……それでも、安全は確保したいな」

ビッグネームたちが悩む。

「……えっと、じゃあ、俺のアイテムボックスの中に突っ込んどく?」

夏樹が提案すると、全員の視線が集まった。

「ちょ、なんなん? 夏樹くん、アイテムボックスなんて異世界の万能的ななんか持っとるん? せーめーさん的にも気になるんやけど?」

「へへへっ、せーめーの兄貴。あっしは、異世界でアイテムボックスをゲットしてるんでさぁ」

「なんで急に三下みたいな話し方しとんじゃ!」

「へー。ギャラクシー河童勇者とか言うとったからなんなんかと思ったら、ほんまに異世界帰りかぁ。なあ、どぅーまん。懐かしいねぇ」

「……はっ、俺は二度と異世界なんぞに行きたくねえ。しかも問題ばかり起こすトラブルメーカーとはな!」

「――え?」

今度は夏樹たちが安倍晴明と蘆屋道満に視線を向けた。

「なんだよ?」

「えっと、もしかして俺と祐介くんの先輩勇――」

「あ、ちゃうよー。僕は異世界に魔王として召喚されてもうたんよ」

「俺は巻き込まれ召喚だよ! くそったれ!」

「ほえぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」

ビッグネームふたりの想像を超えた過去に、夏樹たちは絶叫した。