軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

82「戦いの終わりじゃね?」②

夏樹に問われた鬼たち。

代表して星熊童子が応じた。

「……俺たちは別に姉ちゃん――いや、茨木童子を倒されたからって仕返ししようなんぞ思ってねえ」

「ならよかった」

「正直、お前が茨木童子を殺せるとは思わなかったぜ。見かけによらないっていうか、逆に怖いぞ」

「こわくないよー! ギャラクシー河童勇者こわくないよー」

「……お前、別に河童じゃねえだろ。姉ちゃんは最後までお前のことギャラクシー河童勇者とか言っていたけど」

「ふっ。ギャラクシー河童勇者は魂の名だ。人としての名は、由良夏樹! ぴっちぴっちの十四歳! 中学三年生だよ!」

「……最近の中坊は怖いなぁ」

星熊童子は戦うつもりがないようだ。

夏樹はもう戦いには飽きたので、これ以上の戦闘にならないことを安心した。

「……ところで」

「あん?」

「えっと、確か虎童子さん? が、千手さんの腕を絡めて頬を染めているんだけどいいの?」

「いいも何も! 虎童子の初キッスを奪ったんだから、責任とって娶ってもらうぞ! 拒むなら、京都中の鬼を集めて第二ラウンドだぞ! 姉ちゃんとちがって、俺たちは配下の鬼に好かれているからマジで集まるぞ!」

「……ちょいちょい茨木童子が悲しい」

強大な強さを持ちながら、家族愛を持たず、配下にも好かれず、茨木童子を寂しい奴だと思う。

最期に言った「愛されたかった」というのは、心からの言葉だったのかもしれない。

「付き合いまでどうこう言うつもりはないけど、千手さんは霊能者なんだからその彼女が人食うとか勘弁してよ」

「あ、あたい、別に人間とか食わねーし。お前にぶっ潰されたけど、庭で野菜とか育ててたし!」

虎童子が千手をちらっちら見ながら、ちくり、と夏樹に苦情を言う。

東雲も、茨木童子はさておき、彼女の妹たちまでどうこういつもりはないようで、笑っている。

「俺はどうすりゃいいんだろうなぁ」

困ったように頬をかく千手に、祐介が嫉妬丸出しの顔をした。

「……夏樹くん。僕は今からダークサイドに堕ちるよ」

「やめて! 相手する余力がないの!」

事後処理は必要だが、なんとかなるだろう。

「さて、俺は強欲だが有言実行をする異世界帰りの勇者! 茨木童子との戦いで全力以上を出してもう倒れそうだけど、安倍家もちゃんと潰すぜまもんまもん!」

「……おどれは海の力を使ったせいでなんか動画配信を司る魔族に精神乗っ取られておらんか?」

「気のせい、気のせい。――ところでさ、茨木童子の亡骸どうする?」

夏樹の力では茨木童子を消し飛ばすことができなかった。

幼い頃に襲われた因縁はあるが、亡骸を晒すほど夏樹も残酷ではない。

「……娘の亡骸はおっちゃんに任せてもらいたいな」

背後から声がして振り返ると、作業着姿の酒呑童子がいた。

彼だけではない。

安倍きらら、安倍音叉、熊崎伍太郎、そして白いスーツの優男、グレーのスーツの男が頭から水浸しになり疲れた顔をしている。

「……えっと」

「ああ、安倍円が茨木童子に連れて行かれたときに居合わせてな。安倍さん一派はついてきたんだが、なっちゃんとの戦いがヤバかったから玉藻前に預けておいた。んで、こっちが」

まったく知らない糸目の白髪の青年がにこにこと、

「こんにちはー。ボク、安倍晴明ですー。よろしゅう」

黒縁眼鏡をかけたグレースーツの青年が不機嫌に手を上げた。

「よう、俺は蘆屋道満だ。お前が裏京都をぶっ壊さないように、死ぬ気で守ってやってたんだ! 感謝しろ! あと、ダメになった煙草を弁償してくれ!」

「え、ちょ、ま……かなりのビッグネームきたぁあああああああああああああああああああああああああああああ!?」

「せーめーもどぅーまんもそう大物じゃないじゃろう。俺様のパシリじゃぞ」

「小梅ちゃんもしゅげぇええええええええええええええええええええええええええええええ!」