作品タイトル不明
55「挨拶代わりの一撃じゃね?」②
茨木童子の拠点は、かつて酒呑童子が拠点としていた屋敷だった。
しかし、酒呑童子が何を思ったのか人間側に付き、睨み合っていたはずの九尾の狐とも和解をしたことをきっかけに出て行ってしまった。
以後、茨木童子、星熊童子、虎童子、熊童子、金童子、五兄弟が暮らしていたのだ。
「ったく、姉ちゃんも安倍東雲に入れ込んでから変わっちまったなぁ」
「……だけどよぉ、同時期にありえねえくらい強くなりやがった。隠れて修行でもしていやがったのか?」
「べぁあああああああああああああああ」
「熊童子の言うように姉ちゃんは修行するような性格はしてないだろ」
「だよな。つーか、鬼はいちいち修行なんかしねえんだよなぁ。あたいら鬼の強さは生まれながらと、その在り方、そしてどんだけ食らったか、だな」
「べぁあああああああああああああああ」
金童子は負けて死んだが、悲しむことはしない。
長女が強いことも文句はない。
だが、何か理由があるならあやかりたいと思うのも事実だった。
「だけどさ、星熊姉貴」
「なんだよ」
「べああああ?」
「酒飲んでていいのかって? よくねえんだろうけど、とりあえず景気付けにな。どうせ俺ら鬼が動くのは夜だろ?」
「べあべあ」
「星熊姉貴がそういうのなら、飯食って腹一杯にしてからギャラクシー河童勇者をぶっ殺しに行こうぜ。つーか、河童はわかるんだけど、ギャラクシーも勇者も意味がわかんねえんだけど、どんな姿していやがるんだろうな?」
「知るか! どうせ皿を乗せた河童だろ! 河童を全部殺せば、そのうち見つかるだろう」
「あたいが知る限り、茨木姉貴に喧嘩売る馬鹿な河童はいなかったと思うんだけどなぁ。ま、いいか!」
いくら古くから生きる鬼であっても、ギャラクシー河童勇者の存在は理解の外だったようだ。
「とりあえず飯だ、飯!」
「あたい、鍋食いたい!」
「べあ!」
熊童子が返事をすると、エプロンをつけて台所に足を運んだ。
――その時、星熊童子、虎童子、熊童子がいた部屋に、何かが降ってきたと思うと、爆散した。
「ぎゃぁああああああああああああああああああああああ!」
「なんだぁああああああああああああああああああああ!?」
「べぁあああああああああああああああああああああああ!」
屋敷の外に吹っ飛ばされた鬼たちだが、さすが古い鬼というべきか、表面が多少焦げただけであり、あっという間に回復してしまった。
そんな彼女たちが襲撃だと理解し、それぞれ身構えると、空から陽気な幼い声が降ってきた。
「鬼ごっこしようぜ! 俺がお前らを追いかけるから、命乞いしながら必死に逃げろよ! タッチされたら、胴体が真っ二つになるけど、しーくーよーろー!」