軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

29「神の正体とかどうでもよくね?」①

「俺の霊能力は特別でな。俺自身の霊力は大したことがないが、俺の目に映ったものは一時的に時間を止め――」

「勇者パーンチ・雷」

ぐしゃり、と夏樹は男の顔面に拳を叩き込んだ。

無論、殺してはいない。いろいろ吐かせなければならないことがあるのだ。

鼻を潰され床をのたうち回る男の背中を踏みつけ、夏樹は笑顔を浮かべる。

「サングラス外していてよかったね。回復してあげることはできるけど、サングラスの破片まで取り除けるかわからないからさ」

「ぐぇぇええええええええええ」

足に力を込めると、男の肋骨が砕けていく感触が伝わってくる。

痛みで声を出すこともできなくなった男に、軽くヒールをかけて回復させると、髪を掴んで耳元でそっと尋ねた。

「宇宙人を捕まえて何するつもりだったの?」

「……て、てめ、俺にな」

「素直に答えた方がいいよ? 俺は苛立っているんだ。久しぶりに故郷に帰ってこられたと思ったら、日本はファンタジーだし、幼馴染みは想定外のクズだったし、元義妹は性格が死んでるし、もうひとりの幼馴染みもなんか企んでそうだし、どうしてくれるんだよ?」

「それ、俺、関係ない、だろ」

「関係ないとかあるとかは俺が決めるんだよ! だいたい、お前だってファンタジーの住人だろう! つーか、それ以前に、お前は映画見たことないのか! 宇宙人に敬意払わなかったら全面戦争だぞ! この方をどなたと心得る、みたいなことになってからじゃおせーんだよ! 責任取れるのか、ああ?」

学校で溜まっていた鬱憤をついでとばかりに男で発散しながら、髪を掴んだまま床に何度も顔面を強打させる。

そして、しばらくしてからヒールをした。

「はい、じゃあ、宇宙人を捕らえて何するつもりだったの?」

「……」

「ちなみに、素直に答えない場合は、もっと過激なことします」

「わ、わかった! もうやめてくれ! 俺以外の奴らは霊能関係を触りしか知らない奴らだ」

「なるほど、それで?」

「こいつらはグレイを見つけたのはいいが河童だと思い込んでいた。俺は宇宙人だとわかっていたが」

「……グレイと河童の共通点がわからない。頭に皿乗ってないじゃん」

「素人からしたら未知なる生物はなんでも同じなんだよ!」

夏樹は脳裏で、きゅうり畑を荒らしているグレイ型宇宙人を思い浮かべてみる。それっぽくはあるが、なにか違う。

色は緑じゃないし、皿も甲羅も装備していない。

もしかしたら、昔の人が宇宙人を見たのを伝言ゲームで伝わって今の河童像になった可能性もあるが、この男が宇宙人を河童として認識していない以上、河童そのものがいる可能性はある。

試しに尋ねてみた。

「河童いるよね?」

「いるに決まってるだろ、俺たちからしたら珍しくねえよ!」

少しだけホッとした。

「もしかして、ツチノコもいる?」

「都市伝説みたいな存在まで知るか! そういうのは院で研究している奴らに聞け!」

「そりゃ残念。で、だ。ここの施設の馬鹿共は河童だと思って宇宙人を解剖しようとしていたってのは、理解に苦しむけどよしとしよう。じゃあ、あんたはなんでスルーしてたの?」

河童を見つけて即解剖という流れも不明だが、宇宙人だと分かっていながら存在をきちんと理解していない人間が解剖しようとしているのを放置していた男も不思議だった。

「黙秘は自由だけど、俺が毎回ヒールしてあげると思ったら大間違いだからね?」

「……わ、わかった。もう勘弁してくれ。俺は、確かめたかっただけだ」

「なにを?」

「俺は、神々が宇宙から現れた存在だと考えている」

「んん?」

霊能力者の男から急に持論を展開されて、さすがに夏樹も戸惑った。