軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

間話「小梅と銀子の何気ない一日じゃね?」

――夏樹が遠野で河童さんたちとわっしょいわっしょいしている頃。

「照子ちゃん! あーそーぼー!」

「天照大神ぃ! 小梅様が遊びにきてやったんじゃぞ! もてなさんかい!」

水無月家の正門の前で、小梅・ルシファーと青山銀子が太陽の女神であり向島市の土地神業をしている天照大神を呼んでいた。

すると、誰かが出てくるよりも早く、ふたりの周囲が歪み、気づけば天照大神の部屋に移動していた。

「……おどれは、いくら引きこもりでも神の力を使って俺様たちを無理やり移動させるっつーのはどうなんじゃ?」

「少しは運動しましょうよ」

とくに慌てることのない小梅と銀子は、天照大神の横着さに呆れている。

だが、天照大神はベッドの上でじっとしたまま、ちらり、と視線を向けると、息も絶え絶えに訴えた。

「……運動をたくさんしているから、動けないんです。自分、筋肉痛なんです」

「神が筋肉痛ってどうなんじゃろうな?」

「というか、なぜそんなことに?」

芋ジャー姿の天照大神の部屋をくるりと見渡し「汚ねえ」と感想を抱いた小梅と銀子が不思議に思い尋ねる。

たまに外に出ていたものの、長い時間引きこもっていた天照大神が筋肉痛になるまで運動というのは珍しい。

尋ねたふたりに、「聞いてくださいよぉ」と天照大神は涙声を出した。

「雲海のおばあちゃんが、自分を運動させるために、ぼんっ、きゅっ、ぼんっ、のインストラクターさんを雇ったんです」

「はぁ?」

「なんすかそれ?」

「しかも、夏樹くんが先日壊したお家の一角をジムとサウナに改造しちゃって。……自分はここ何日か、プロによるダイエットプログラムをさせられているんです」

「いいことじゃろ」

「程よい運動は身体にいいっすよ」

「筋肉痛で苦しんでいるんですから、程良くはないですから! ああ、大きな声を出したせいで、身体中が痛いっ」

「神様パワーで筋肉痛を癒せばええじゃろうて」

「そんな万能じゃないんです! 筋肉痛を癒したら、使った筋肉もなかったことになってしまうんですから」

「不便っすねぇ」

近くに寄ってみると、天照大神は湿布臭い。

よほど頑張ったのだろう。

銀子は友人として、運動をきっかけに外に出るようになった天照大神と学生時代のように外で遊びたいと思っているので頑張ってもらいたかった。

「ところで、サウナがあると言っておったんじゃが。俺らも入ってもええんじゃろうか?」

「大丈夫だと思いますよ。今は、雲海のおばあちゃんと茅ちゃんとジェシーが入っていますけど、お二人なら顔パスですよ」

「……水無月家当主もサウナ入ってるんすねぇ」

「ここだけの話、現役を退いているのでお腹周りに肉がついてきたようで、ジェシープログラムを一緒にやってます」

「おどれの腹ほどじゃないじゃろうがな」

「ふははははは! 私だけ、だるんだるんですよ!」

「泣くなら言わんでええわい」

とりあえずつっこみを入れた小梅と銀子は、サウナに向かう。

水無月家の面々と、初対面のジェシーは小梅たちのことを歓迎してくれた。

サウナで談笑し、仲良くなった五人は、サウナから出ると天照大神を抱えて、その足でアルフォンスの食堂に向かった。そこでノルン三姉妹ともあっという間に意気投合し、ビールを飲み、中華を食べながらちょっとした女子会を行ったのだった。