軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

11「魔眼VS筋肉じゃね?」

「がはははははは! 俺の名は、熊崎伍太郎だ! よろしくな!」

「熊みたいな男がマジモンの熊とかウケねえよ!」

剛毛に隠れていても、丸太のように太い手足に捕まれば、霊能関係なく締め殺されるか、手足がへし折られはするだろう。

巨漢の青年――熊崎伍太郎の腕は、千手の太腿よりも太い。

「こりゃ接近戦を避けた方がいいな」

「俺と相対した奴は、みんな同じことを考えるんだよな! 不思議でならない!」

「自覚しろや、筋肉の妖怪野郎が」

霊力を使い身体強化した熊崎が拳を振りかぶる。

千手は、背中に冷たいものを感じ、反射的に大きく背後に跳んだ。直後、熊崎の剛腕が千手が立っていた場所にクレーターを作った。

「……その体格で動きが速いとか反則だろ」

「筋肉は愛してやれば、愛しただけ応えてくれる。お前は見たところ、強そうではあるが、練度が足りない。もっと筋肉を愛してやれ。お前の筋肉がもっと鍛えてほしいと泣いている」

「勝手に人の筋肉と会話しないでもらえるかな。気持ち悪いんだよぉ!」

千手はサングラスを下にずらすと、魔眼を発動させた。

「てめぇみたいな力自慢は俺と相性がクソ悪いぜ。――停マレ」

「――な」

千手の魔眼によって、熊崎の肉体が硬直する。

首から上が何が起きたと動いていることに、千手は舌打ちした。

(……この熊野郎、かなり霊的耐性が強いな。安倍一門の傘下か関係者なんだろうが、七森のクソ親父やクソ兄貴よりも霊能力者としての質も、積み重ねてきたもんも上だ)

全身を停めるつもりで、魔眼を使ったはずが、熊崎の全てを停めることはできなかった。

相手は千手を殺す気満々だが、千手は無意味に命を奪うことを好まないので、停止させて終わりにする予定だったが、できなかった。

熊崎は、外見こそ筋肉自慢に見えるが、それ以上に内面的な霊力と防御力がかなり上位であるとわかった。

「なんてつまんねえことをしやがる。男は拳と拳で殴り合いだろうが! 俺は、この拳で妖怪どもをすり潰し、足で妖怪を踏みつけることが大好きなんだぞ!」

「知るか! この悪趣味野郎――寝とけ」

動けない熊崎に向かい助走をつけて跳び上がると、彼の顔面に霊力を込めた強力な蹴りを食らわせた。

硬直した肉体のまま地面を転がっていく熊崎。

気を失っていないのはさすがだが、動けないのなら脅威ではない。

千手は甚平のポケットから電子煙草を取り出し咥えると、大きく息を吸い、薄い煙を吐き出した。

「てめえが筋肉自慢だろうがなんだろうと、神のご加護を持つ俺に勝てるわけがねえだろ」