軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

64「風間さん家の次女じゃね?」②

数年経っても、まつりの恋心は消えていない。

最近は、幼い頃遊んでもらったことを覚えている妹も「征四郎お兄ちゃんと結婚したい」と言う始末で、なにか手がないものかと悩んでいた。

だが、姉はやらかした。

征四郎を弄び、彼の弟礼央と結婚し、子供を産んでいた姉は自分の息子が神奈家の跡取りだと絶好調だった。

しかし、そうはならなかった。

征四郎が、素盞嗚尊から神剣十束剣を譲り受け、月読命から神剣を貰い受けるという前代未聞の状況となった。

さらに、院の上層部から、朱美が征四郎にしたことを非難され、また次期当主として偉そうな顔をしていた神奈礼央が神奈家の血を引いていないことが判明した。

長年、やりたい放題だった姉に愛想が尽きていた父は、院からの連絡を受け、すぐに絶縁を決め、神奈家に式神を送った。

その際、まつりが結婚したい旨を伝えてもらうことをお願いしたのは言うまでもない。

初め、父は渋ったが、泣いて懇願したまつりに負け、神奈家にまつりの気持ちを伝えてもらうことに成功した。ちゃっかり柚子まで加わっていたことに納得はできないが、些細な問題だ。

征四郎を弄び、弟と結婚した朱美を快く思わない神奈妙子は、自らの夫を含め関係を数年の間断っていたが、まつりはそんな妙子の元へ定期的に通っていた。

自分で言うのはなんだが、好印象を得ていたと思っている。

「……あの女ったら、お父様を頼って連絡してきたけど、素盞嗚尊様と月読命様と縁ができた征四郎様を弄んだ女を助けるはずがないじゃない。神々から不興を買ったら、なんて思ったらゾッとするわ」

すでに朱美は神奈家を追い出されている。

行く当てがないので、とりあえず風間家に戻ってきたいそうだが、父は「無理だ」とつっぱねた。

だが、絶縁するにも着の身着のまま放り出すのは気がひけるのだろう、わずかではあるがお金を用意しているようだ。

それ以上のことをして、神々や院から不興を買うのは困るため、父もそこまでが限界のようだ。

「あの女が家に来た時に、どちらさまですか、と嫌味を言ってあげましょう。散々、いじめられたのですから、仕返しの時です。それはさておき、美容院の予約を……明日、正式に謝罪をしに神奈家に向かう時についてきて良いと言われたのですから、征四郎様に好いていただけるよう頑張りませんと!」

むん、と意気込むまつりは、明日、征四郎に会うためにどの服を着よう、と悩み始めるのだった。

後日、朱美が風間家を訪れるも、父は家に一歩も入れることなく十万円を包んだ封筒を渡しただけだった。

「これだけでやっていけるわけがないでしょう!」

叫ぶ朱美に、まつりと柚子が家から顔を見せ、

「誰あの人、こわーい。警察呼ぼうかしら?」

「呼んじゃえー!」

些細ではあるが、長年の復讐を果たしたのだった。