作品タイトル不明
14「興味津々じゃね?」①
食事を終えて、一息つく夏樹たち。
祐介は久しぶりにちゃんと食事をしたせいか満足そうにしていた。
自分たちの存在が、祐介の役に立つのならよかったと思う。
「えーっと、んじゃ、お話タイムにしましょう」
「え? あ、うん」
夏樹が話し始めると、ちょっと戸惑いながらも祐介が頷いてくれる。
(まずは小粋なトークで和ませてから、サキュバスまで話を持っていくぜー!)
「とりあえず、佐渡くんって、これからどうするの?」
「これからか……まず家族に心配かけたことを謝らないとね。大学も数日休んだくらいじゃ問題ないけど、ちゃんと行けるようになるといいかなって思っているよ」
「うんうん。ご家族には異世界のことまで話せないと思うけど、元気になったよって言ってあげればきっと安心すると思うよ」
「……だが、異世界のことを言えないんだから、なんで塞ぎ込んでいたのかを聞かれる可能性があるんだが、どう説明するつもりだ?」
千手の問いかけに、祐介が少しだけ泣きそうな顔をしたが、口を開いた。
「失恋でもしたって言うよ。実際、失恋ではないけど、女の子相手に酷い目に遭っちゃったしね」
「……なんか悪い。別にそういうことを言わせるつもりはなかったんだが」
「あ、いいんです。こういうことを少しずつ乗り越えていかないといけないってわかっているんです。だけど、まだちょっと勇気がないっていうか」
こうして部屋から出ることができたからって、祐介が立ち直ったわけではない。
夏樹は内心「うーん」と唸る。
千手やリリスの言うように、サキュバスセラピーを勧めるべきなのだろうか。
(悪化しなけりゃ良いんだけど)
とはいえ、誰かと関わることはいいことだと思う。
出会ったばかりの夏樹や千手よりも、同じく出会ったばかりのサキュバスだったとしても、もっと違う反応を祐介はするかもしれない。
この場で、良し悪しを決めることはできなかった。
(蓮くんみたいにマモンとサマエルさんに任せ……いや、まもんまもんになって戻ってくるだけか)
一瞬、妙案が浮かんだと思ったが、駄目駄目と首を横に振った。
「会ったばかりであまり根掘り葉掘り聞きたくはないんだが、その勇者の力はどうするつもりなんだ? このおガキ様は、山崩したり、ビル倒壊させたりしているけどな」
「……許容範囲の出来事です」
「うわー。由良くんて、わんぱくなんだね」
「……佐渡、由良をわんぱくで済ますな。やべぇぞこいつは」
「宇宙人さらって解剖しようとしたおっさんに言われたくねーよ!」
「それについては悪かったよ!」
「ふたりとも……えっと、こっちの世界の標準がふたり、なわけないよね?」
祐介が顔を引き攣らせた。
夏樹が勇者の力で大暴れしたのもそうだが、千手が宇宙人を解剖しようと企むような人間には見えなかったらしい。
「え? ちょっと待って、いるの? 宇宙人いるの!?」
「あ、これは隠しておいた方がよかったかな?」
「もう遅いけどな」
「まあいいか。佐渡くん悪い人じゃなさそうだし。機会があれば、UFOでドライブしようぜ!」
「……うわぁ」
展開に追いつけていない祐介に一度落ちついてもらう。
彼は水を飲み干し、ふう、と大きく息を吐く。
「それでな、佐渡」
「はい?」
「お前のために提案させて欲しいんだが」
千手が勿体ぶる言い方をするので、祐介は首を傾げた。
「――サキュバスに興味はないか?」
「――詳しくお願いします」
「あれ? 佐渡くん、めっちゃ食いつくじゃん? 女性にトラウマあった割にはめっちゃ食いつくじゃん! え? なに? ふり? ふりだった?」
身を乗り出して詳細を尋ねる祐介に、今度は夏樹が困惑した。