作品タイトル不明
22「怪しい関係じゃね?」①
七森千手の掛け声で、由良夏樹と愉快な仲間たちは肩を組んで円陣となった。
「……あの、私を真ん中にするのをやめてもらっていいですか?」
円陣の真ん中に座らせられて、とても苦々しい顔をした月読訴えを受けて、円陣に彼を受け入れる。
「別に円陣を組みたいというわけでは……いえ、なんでもありません、話を続けましょう」
この場のノリに逆らってもきっといいことは起きないと、諦めた顔をした月読が円陣に加わった。
「――それで、夏樹くん。君に言われて気づきましたが、確かに赤嶺くんから神気……おそらく新たな神々のものが感じ取れます」
「はい。でもなんかどこかで覚えがあるようなないような」
「奇遇ですね……私も同じ感覚を覚えました」
夏樹と月読は赤嶺から感じ取れる力に既視感を覚えるが、その正体まではわからなくもやもやしていた。
ただし、正体はいずれわかるだろう。
「どうしますか? 拷――――えっと、なんだっけ、そうだ、やさしく拷問しますか?」
「なんで今、言い直そうとしたのに結局酷いこと言っているんじゃ!? やさしくしても拷問は拷問じゃろうて!」
「由良ぁ! さすがに学生になしだろう!」
「夏樹くん、そりゃないよ」
「あかんで、なっちゃん! めっ!」
「拷問なら任せてください、先日、覚えました」
「ひえっ、とらぴーの横から殺気が! このままじゃダーリンの子が……」
「虎童子黙ってろ! なんだ、このぐっだぐだは! 月読先生、もうお任せします! どうしますか?」
「――えー、あー、その、どうしましょうか?」
それぞれが言いたいことを言っている。
夏樹は赤嶺がそんなに悪い人ではないと感じていたので、できればい酷いことはしたくなかった。だからといって、ぶっ飛ばした少年少女たちは大した情報を持っていないはずだ。
仮に、夏樹が新たな神々の立場だったら、あんな使えない奴らを仲間にしない。
「はい、月読先生!」
「どうぞ、夏樹くん」
「赤嶺先輩は口はちょっと悪いけど根っこはいい人そうなので、素直に事情を話して協力して貰えばいいんじゃないですか? 自分のことを強いぜ、神だぜって言動もないから変な教育を受けていない可能性もありますし、仮に受けていても染まっていないようですし」
「……由良の割にはまともなこと言うな」
「偽物じゃ!」
「本物だよ!? いつの間に入れ替わったことになってるの!? そんな時間ないじゃん!」
「夏樹くんなら俺たちが感知できない速度で動けそう」
「うーん、多分できない。みんな強いもん」
夏樹に「強い」と言われた一同が「てへへ」と照れた。
「ごほん。では、赤嶺くんに話を聞きましょう」
「はーい」
円陣を解いて、夏樹たちが赤嶺を見た。
「――な、なにを。私に、何かするつもりか?」
「ナニモシナイヨー! ギャラクシー河童勇者コワクナイヨー! フレンドリーダヨー!」
夏樹が笑顔を浮かべて手を広げ、じりじりと距離を縮めていく。
「ギャラクシー? 河童? 君は何を言っているんだ?」
「ウチュウカラコンニチハ! アイトヘイワヲアイスルオウサツダイスキ!」
「……今、鏖殺って」
「イッテナイヨー!」
少しずつ距離を縮める夏樹に、小梅がぼそっと「なんであやつカタコトなんじゃ?」と疑問を浮かべるが、残念ながら誰にもわからなかった。
「チョットオハナシシタイダケヨー」
もう少しで手が届く。
そんな時だった。
「――私の赤嶺くんにさわるなぁああああああああああああああああああああ!」
体育館の入り口を扉ごと吹き飛ばして突進してくる女性がいた。
間違いない、神だ。
夏樹はにちゃぁ、と笑うと女性に向かって走った。